瀬越憲作先生のコメント
「秀策先生は、強力と読みの深さを奥深く蔵して、碁の複雑性を簡明にしている」
石田芳夫先生のコメント
「秀策先生の布石の骨子は、局面を簡明化し、先着の効を確実に維持させるところにある。これで勝てると見れば無理をせず、一番わかりやすい手を打つ」
李昌鎬(韓国の大棋士)のコメント
「私は一生かけても秀策先生には及ばないだろう」
瀬越憲作先生、石田芳夫先生のコメントにあるように
「碁の複雑性を簡明にしている」
「勝てると見れば無理をせず、一番わかりやすい手を打つ」
これが本因坊秀策の碁ではないかと思われます。
そうであれば、我々アマチュアとって最高のお手本となるのではないでしょうか。
本因坊秀策は「ヒカルの碁」の影響もあり、日本で特に有名な棋士のひとりとなりました。
これより、しばらく、本因坊秀策の碁を並べてみたいと思います。
黒:太田雄蔵、白:本因坊秀策
黒:太田雄蔵、白:本因坊秀策
嘉永六年六月五日、二十一手打掛、同十五日、八十六手又打掛、同二十一日打次終。
三十番碁第十七局互先、先番:太田雄蔵、
嘉永六年一月一日を西暦にすると、1853年2月8日だとのことです。
ウィキペディアによると秀策のお誕生日は、文政12年5月5日(1829年6月6日)とありますので、現在の数え方だと24才となります。
三十番碁の第17局目、雄蔵は互先の手合を維持しています。
大健闘といえるでしょう。
秀策は、以前にご紹介した第3局と第13局でも白番を入れることに成功しました。
そして、第16局を秀策は先番で勝利し、対戦成績を9勝6敗1持碁としました。
4つ勝ち越すと手合が変わるのが昔のルールです。
つまり、この第17局は互先を維持できるかどうかの雄蔵のカド番の局であります。
秀策の父への手紙
実戦図:白14まで
棋譜再生実戦図:白14まで
黒1、白2、黒5と三隅で目外しです。
右ピッチャーの投球フォームより、左ピッチャーの投球フォームの方がかっこよく感じるのは、私だけでしょうか?
同じように私は小目より、目外しの方がかっこよく見えるのです。
さて、白10、12、14の三手が秀策の新趣向として有名だとのことです。
黒9と詰められし時、白は11の所か、いの所へ打つを通常とす。
然るに10、12、14と打ちしは新工夫なり。
これを案出せんがために、およそ三刻を費せり。
一刻は二時間ですから、3手に六時間の長考をしたということになります。
秀策のこの局に対する意気込みととらえてよいでしょう。
秀策の新工夫
右下隅は秀策の新工夫により、新型が出現いたしました。
雄蔵も新型に対して、正確に対応することはむつかしく黒21とトビましたが、その後の研究で次の手が発見されております。
後に研究された定石
黒21では上図の黒21と置く手が後の研究で発見されております。
白30まで利かして、黒31にトブ方が実戦より勝ったようです。
評価値を下げた黒27
黒27が評価値を3.8目落としました。
ここでも前出の右下隅のオキが良かったようです。
黒27のAIの参考図
AIの一手(無料のAIソフト)はここでも上図の黒27のオキを示しました。
黒33まで、序盤から互角の形勢、つまり現代のコミ分が黒リードでありました。
白36ポンヌキ
白30としっかりと地を持って治まり、白36のポンヌキを決めては素人目にも白が好調に見えます。
ここまでも形勢は、すでに黒が約1目リードとなっております。
秀策の気迫に押されてか、序盤から雄蔵は不調のように感じます。
最後の大場白52
黒49と黒51に対して、白50と白52の方があきらかに勝っております。
白52の時点で形勢不明ながら白が若干のリードとなりました。
現代であれば、白52は黒3の左にツケる方がアマチュアの方でも多いかもしれません。
打ちまわす秀策
黒53のカタツキから黒57のツケと雄蔵は左上を消しに行きます。
白60のツギは堅いです。69サガリが普通です。
黒61のケイマも普通は二間ビラキでしょう。
白62が厳しく、黒65のタケフに白66も厳しいです。
黒79と生きるのは辛いです。
白80と二間にヒラキ、白が打ちまわしております。
白88と収まりしなり
「白84、86を先手に打ち、下辺白88のおさえが勝利の宣言であった」
と石田芳夫先生のコメントがあります。
いわゆる、「勝ちました」ですね。
AIの一手の評価値は、白が約5目ほどリードとなっております。
黒87と打ちし時、白の方すでにその算の多きを見て、白88と収まりしなり。
これにて四番勝ち越し、この局自慢可なりの出来と存じ侯。
この碁は228手まで打たれ、白番秀策の三目勝ちとなっております。
88手で勝ちを確信し、その後簡明に収束させる秀策の力量はやはり、超一流ですね。
三十番碁の成績は、10勝6敗1持碁となり、四番勝ち越し手合を先相先へと打ち込みました。
石田芳夫先生は「一手の非難の余地もない、秀策の名局である」とコメントされております。
(。・(エ)・。)ノ↓ランキング参加中、ポチ応援をいただけると励みになります。
マイナビ 天頂の囲碁7 Zen(対応OS:その他) 目安在庫=△ |
基本布石事典(下巻)新版 星、小目、その他 [ 依田紀基 ] |
ヒカルの囲碁入門 ヒカルと初段になろう! [ 石倉昇 ] |
ひと目の詰碁 (マイナビ囲碁文庫) [ 趙治勲 ] |
0 件のコメント:
コメントを投稿
コメントありがとうございます。
大切に読ませていただきます。