瀬越憲作先生のコメント
「秀策先生は、強力と読みの深さを奥深く蔵して、碁の複雑性を簡明にしている」
石田芳夫先生のコメント
「秀策先生の布石の骨子は、局面を簡明化し、先着の効を確実に維持させるところにある。これで勝てると見れば無理をせず、一番わかりやすい手を打つ」
李昌鎬（韓国の大棋士）のコメント
「私は一生かけても秀策先生には及ばないだろう」
瀬越憲作先生、石田芳夫先生のコメントにあるように
「碁の複雑性を簡明にしている」
「勝てると見れば無理をせず、一番わかりやすい手を打つ」
これが本因坊秀策の碁ではないかと思われます。
そうであれば、我々アマチュアとって最高のお手本となるのではないでしょうか。
本因坊秀策は「ヒカルの碁」の影響もあり、日本で特に有名な棋士のひとりとなりました。
これより、しばらく、本因坊秀策の碁を並べてみたいと思います。
黒：太田雄藏、白：本因坊秀策
黒：太田雄藏、白：本因坊秀策
嘉永六年二月五日、於田村松斎宅、手合いは互先、雄蔵の黒番です。
嘉永六年一月一日を西暦にすると、1853年2月8日だとのことです。
ウィキペディアによると秀策のお誕生日は、文政12年5月5日（1829年6月6日）とありますので、現在の数え方だと23才となります。
秀策と雄蔵の対局棋譜は86局伝えられております。
秀策と雄蔵の手合は２子局から始まり、８年かかって互先となりました。
ここに著名な秀策、雄蔵の三十番碁が始まります。
三十番碁第１局は先番の雄蔵の中押し勝ち、第２局は先番の秀策の中押し勝ち。
そして、ここに紹介するのが第３局であります
目外しの連打
実戦図：黒５まで
棋譜再生
実戦図：黒５まで
黒１、白４、黒５と目外しです。
私はずいぶん前ですが大斜定石が好きだったことにより、この目外しが大好きでした。
雄蔵はこの目外しをよく打ちます。
秀策も負けじと黒５の目外しです。
高いカカリはダメよ
実戦図：白12まで
棋譜再生
実戦図：白12まで
たんたんとした布石ですが、当時の定石とはいえ、黒７の高ガカリは評価値を２目ほど下げております。
白12までのAIの一手（無料AIソフト）評価値は、黒が約４目リードとなっております。
見事なワカレ
白20から白26まで見事なワカレです。
両者のレベルの高さが垣間見れる変化です。
AIの一手（無料AIソフト）による評価も互角のワカレとなっております。
とくに黒23は神の一手の評価を得ております。
しかし、当時は白不利なワカレと評価されていたようです。
秀和の解説
白20の秀和の参考図
棋譜再生
白20の秀和の参考図
秀策の師である本因坊秀和は、白20で上図を示しました。
我々アマチュアにとっては、こちらの図の方が自然な進行で分かりやすいかと思います。
打ちまわす雄藏
黒39と左上を模様化し、黒43から右下の白模様をを削減し、黒49といっぱいに詰め、雄蔵が打ちまわしております。
黒49まで、AIの一手の評価値は、黒7.6目のリードとなっており、序盤は黒が優勢です。
追い上げる秀策
秀策は白50のカタツキから手をつけました。
雄蔵は左上の黒模様を意識して、黒53から迫りました。
黒57は手筋です。
黒65は63の右（S11）のナラビの方がよかったかもしれません。
白88の一間トビで黒模様を削減し、形勢は急接近し黒が約３目のリードとなっております。
黒67のコスミで石田芳夫先生は次の図を示しておりました。
黒67の石田先生の参考図
石田芳夫先生は黒67の出から77までを示しました。
実戦の進行に比べて、黒模様が雄大です。
自然な白94
雄蔵の黒89、91は、打ちすぎだったようです。
しかし、白100のコスミまで黒が約５目のリードとなっております。
黒93のツケに白94、黒95は自然な手に見えますが、白94が評価値を大きく下げました。
白94のAIの参考図
白94のAIの一手の参考図
白94のAIの一手の参考図
AIの一手は、実戦の白94で白１のハネを示しました。
以下白９までのを示し、この図での形勢は白0.5目のリードとほぼ互角となりました。
敗着は黒155
敗着は諸説あります。
秀和は「黒129悪し。他に打てば黒が少し勝ったかもしれぬ」とコメントを残しております。
AIの一手は、黒155で2.4目評価値を落としました。
黒155のAIの参考図
黒155のAIの一手の参考図
黒155のAIの一手の参考図
AIの一手は黒１を示しました。
ほとんどの方が、すなおにこの黒１を打つと思われます。
この図で黒0.8目ほどリードとなっております。
この碁は244手（半コウ白勝ちツグ）まで打たれ、白番の本因坊秀策の二目勝ちとなっております。
コミ無しの番碁では先番を確実に勝って、白番をいくつ入れられるかが勝負であります。
３局目にして早くも白番が入り、秀策は優位にたちました。
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コメントありがとうございます。
大切に読ませていただきます。