一力さんが決勝戦進出!
本日(2024年7月9日)、第10回応氏杯世界選手権の準決勝3番勝負の第3局が行われました。
結果から申し上げます。
白番の一力遼さんが中押し勝ちを修めました。
一力さん、おめでとうございます。
これは、嬉しいです。あの柯潔さんに連勝ですから、嬉しさもひとしおです。
ここまで来たら、日本悲願の世界一の座をぜひとも勝ち取ってほしいものです。
他の国内棋戦はほっといて、この応氏杯決勝戦にむけて、体調を整えてほしいです。
4年に1回の大会
この応氏杯世界選手権は、4年に1回、オリンピック開催の年に行われます。
台湾経済界の重鎮であった応昌期さんが私財を投じて1989年に創設されました。
第2回(1993年)、第3回(1996年)に大竹英雄先生、依田紀基先生の準優勝が日本の最高成績となっております。
応氏ルール
主催: 応昌期囲棋教育基金会(応昌期基金)
賞金:優勝40万米ドル、準優勝10万米ドル
2024年7月6日現在のレートで、10万ドルは約1,600万円でした。
台湾、日本、韓国、中国、米国、欧州などの各国・地域から、主催者の招待により、出場選手は選抜されているとのことです。
創設者である応昌期さんは、元々、囲碁ルールの研究者でありました。
1952年に囲碁ルールの改良を目指し、1973年に発表。
1977年に中国でそのルールが採用されました。
当時の中国と台湾の関係が垣間見れます。
その後、ルールの改良を重ね、1988年にルールが完成したとのことですから、実に36年の年月であります。
応昌期ルール、応氏ルール、台湾ルールと呼ばれております。
元になっているのは、中国ルールで、無勝負が生じないこと、判例による判断を不要としてすべて実戦的に解決するなどの工夫が為されているそうです。
地の大きさと生き石の数で勝敗を決めます。3コウ、長生など同形反復禁止。
面白いのは日本での「自殺手」である「着手禁止点」を打てることです。
下図の×に黒は打てるのです。瞬間的に取り上げられることになりますが、白は二眼を作るためには、白×に一手必要となります。コウ材として使えるのです。
時間管理が重要
パスは認められ、双方が連続してパスをした場合に終局となり、開始時に独自の碁笥を用いて黒白180個ずつの碁石を確認しておき、終局時にこれらの石を盤面の双方の地中に埋めて、残った空点の数で勝敗を判定するとのことです。
この終局のやり方は、アマチュアの実戦では面倒に感じられそうな気が致します。
コミは8目で、持碁は黒勝ちです。
準決勝の持ち時間は2時間30分、使い切ったら、二目のコミを出して25分延長できる(3回まで)という独特のルールで、持ち時間管理がとても重要に思われます。
黒:柯潔、白:一力遼
一力さんが白番を当てました。
やはり、コミ7.5目は大きいです。
絶芸の評価値も最初から白がリードしていますから。
黒1、3の小目から黒5と小ゲイマにシマリました。
昔から打たれている布石です。
右下隅は一間バサミ定石。
左下隅は大斜定石。
定石だと思いますが、私は微妙に初めて見る形です。
早くも下辺で難解な戦い
下辺で難しい戦いが行われております。
白64に黒65は、とても自然な手だと思いますが、絶芸の評価値を下げました。
絶芸は黒65では、白66の右のケイマツケを示しておりました。
敗着は黒69
黒69が大きく絶芸の評価値を落としました。早いですが、敗着といってよいかもしれません。
以降、黒が評価値を挽回することはありませんでした。
黒69では118と一間トビの間に割り込む手が良かったようです。
その後は、黒は勝負手の連発ですが、一力さんが冷静に対応しています。
左上隅のコウも白122と換わって、黒三子をを捕獲し、素人目にも気持ちが良いです。
この碁は、200手まで打たれ、白番の一力さんの中押し勝ちとなっております。
一力さんの名局でしょう。
一力さん。おめでとうございます。
悲願の世界一の座を勝ち取ってください。
みんなで、応援いたします。
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