第1回南洋杯世界囲碁マスターズ
第1回南洋杯世界囲碁マスターズが現在行われております。
新設された世界戦です。
1回戦から準決勝までが2024年11月2日から6日にかけて、中国・四川省成都市で行われます。
日本代表として、許家元九段、余正麒八段、大竹優七段、福岡航太朗七段、上野愛咲美五段が出場されました。
福岡航太郎七段が1回戦で周泓余七段(中国)に勝利し16強入りとなりましたが、2回戦では、李軒豪九段(中国)に惜しくも敗れ、残念ながら日本勢は姿を消してしまいました。
フィッシャー方式は、日本勢には馴染みのないルールであります。
申眞諝さん
申眞諝(シンジンソ)さんは、人類最強の棋士です。
2000年生まれですからまだまだ若いです。
5才で囲碁を覚え、8才でネット碁9段。2010年に世界子供大会優勝。2012年プロ入り。
韓国囲碁棋士ランキングでは、2017年2月に2位、2019年2月に1位、2020年1月から2023年6月まで42ヶ月連続1位。
第1回南洋杯世界囲碁マスターズ1回戦より、人類最強の碁を、特に序盤を見ていきたいと思います。
黒:范廷鈺 、白:申眞諝
第1回南洋杯世界囲碁マスターズ1回戦(2024年11月2日)
中国ルール:コミ7目半
持時間各2時間、着手ごとに15秒加算(フィッシャー方式)
黒:范廷鈺 (中国)、白:申眞諝(韓国)
黒は金毛流、白は星と小目の布石で始まりました。
黒7の秀策のコスミ対しては、白8としっかりと二間に構えるのが良いようです。
黒7をコスミではなく、ケイマ受けをした場合を次の図に示します。
絶芸の参考図
黒7ケイマ受けには、金毛流対策として、白8のスソガカリを示しました。
このスソガカリは、先の名人戦第4局でも現れました。
何故、このように打つのかの詳細な解説が欲しいところですね。
注目は、絶芸が示した白12、16のハサミです。
初期のAIは、ハサミをあまり打ちませんでした。
それを見て、人間もハサミを打たなくなりましたが、AIの進化により、このようにハサミが復活しつつあります。
特に白12の一間高バサミが、現在、実戦例が増えているとのことです。
流行の一間高バサミ
実戦図:白14まで
棋譜再生
実戦図:白14まで
申眞諝さんも白10と流行の一間高バサミを打ちました。
白10の一間高バサミには、手抜きと自分は覚えていました。
白14から外勢を作られても、黒は手抜いたわりには、それなりの地を持てるとの評価だったと思いますが、それすらも、最近では評価が変わっているのかもしれません。
絶芸は、実戦の白12でも、白14を示しておりました。
白の次の一手は?
さて、黒19まで進みました。
申眞諝さんの次の一手を考えてみましょう。
ちなみに、申眞諝さん(人類最強)の次の一手と絶芸(最強のAI)のそれは、一致しております。
ということは、盤上この一手ということになります。
白先:いかに
人類最強とAI最強
実戦は白20でした。
同じ方はいらっしゃいましたでしょうか?
私などは黒19に手抜くことなど考えもしませんでした。
絶芸先生によると、そもそも黒19では、B9に大ゲイマすべりを示しておりました。
盤外:一間バサミ定石
旧一間高バサミ定石:黒17~黒29
棋譜再生
旧一間高バサミ定石:黒17~黒29
ところで、脱線いたしますが、一間高バサミ定石を復習しましょう。
一間高バサミには、黒13、15のツケギリが有力とされておりました。
白16ノビに対して、黒17のケイマがけが手筋とされており、白18受けに黒19とアテから25としぼります。黒27がまたまた好手となり、黒29まできれいに止めて、黒の外勢はなかなかのものであります。
これは、旧定石とされており、現代では黒17のケイマに対して、白18と受けません。
AIによる新手のコスミ
AIは白18のコスミを示しました。
黒19と押さえると白20からぶち抜きます。
黒23に慌てて黒2子を取ってはいけません。黒に急所の24を占められてはいけません。
白24、26が大切な一手となります。
以下、黒39まで。これは白先手です。
ゆえに、黒13、15のツケギリは、あまり打たれなくなったようです。
形勢は白優勢
黒47の三々入りが評価値を下げました。
黒は大石の根拠を持って良さそうに見えますが、先手を取っての白54の打ち込みが急場だったようです。
この白54打ち込みで絶芸の評価値は白94%となり、形勢は白優勢となったようです。
この碁は、228手まで打たれ、白番の申眞諝さんの中押し勝ちとなっております。
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