こんにちは。こんばんは。
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管理人の柿門です。(。・(エ)・。)ノ
今回は、「棋書の紹介その52(井山、黄の定石研究 進化する流行定石)」をご紹介いたします。
湯飲み格言「名人に定石なし」
購買層が限られておりますので、出版してしばらくすると絶版になってしまいます。
ゆえに、ここでご紹介した棋書もすでに書店の店頭にはないかもしれません。
その点はご了承をお願いいたします。
発行所:公益財団法人日本棋院 発行人:山田至宝 著者:井山裕太、黄翊祖
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井山、黄の定石研究: 進化する流行定石 |
はしめに
本書は、2007年から2008年にかけて「週間碁」(日本棋院発行)に連載されていた「イソと井山の最新定石ファイル」を、単行本用に加筆修正し、まとめたものです。
テーマに取り上げた定石型および派生型を井山裕太、黄翊祖の二人が知性をぶつけ合って、明快に断を下していて、連載当時から話題を呼びました。
今では二人ともトップ棋士へと成長を遂げましたが、連載開始当時の両者はというと、先に最年少リーグ入り記録を打ち立てた黄七段に対し、井山七段が初のリーグ入りを決め黄の記録を塗り替えたばかりという状況でした。
井山18歳、黄20歳。
非常に良質な内容でありながら長い間お蔵入りしたままでしたが、このたび単行本として刊行する運びとなりました、刊行にあたり、共著者・井山、黄が改めて当時のテーマを検証し、結論の変わったものには大幅な変更を加えて、書き下ろしました。
囲碁ファンにとっては読み応えのある内容になっております。
2014年6月
日本棋院出版部
「はじめに」にありますように、本書は、2014年発行でありますから、今から10年前となります。
そして、その元記事は2007年~2008年のものですから今から16年~17年前となります。
定石は時代とともに進化発展しております。
それはAI登場後に加速致しました。
ゆえに、本書に掲載されている定石等が実戦ですぐに役に立つことはないかもしれません。
それでも、当時の最先端を若手トッププロが研究発表しているわけですから、アマチュアには、その考え方は大いに勉強になると思います。
本書の長所は、井山さん、黄翊祖さんの考え方を会話形式にしている点です。
Wikipediaで井山さんを調べると2007年には、次の記載がありました。
2008年に名人位挑戦、2009年に名人位奪取ですから、連載当時は、一般的には若手の有望株といったところでしょうか。
現在だとと福岡航太朗さん(18才七段)くらいの立ち位置だったと思われます。
本書の構成
第1章:小目、高ガカリ(テーマ1~12)
第2章:小目、小ゲイマガカリ(テーマ13~19)
第3章:小目、星(テーマ20~28)
第4章:目ハズシ、高目、中国流(テーマ29~33)
本書は上記4章から構成されております。
第1章のテーマ数が多いのに時代を感じますね。
現在であれば、第3章の星が多くなりそうです。
いや、星だけで一冊になるかもしれません。
それぞれのテーマについて、井山さんと黄翊祖さんが自分の意見をぶつけあいます。
読み物としても十分楽しめます。
ゆえに週間碁において人気だったのでしょう。
テーマ図:ブツカリが最強?
テーマ33より
「ブツカリが最強?」をご紹介いたします。
黒1、白2の時に、黒AやBではなく「黒3のブツカリが最強、最善なのでは?」と加藤 充志九段。
この問いに、黄と井山が立ち向かう。
テーマ図:黒3まで
テーマ図:黒3まで
テーマ33より「ブツカリが最強?」
プロ棋士の加藤 充志九段からの質問がテーマです。
加藤さんは、井山さんより15才年上で、当時、棋聖戦リーグ入り、NHK杯ベスト4等、最盛期のころだと思われます。
植木善大(八段)の新手
植木善大(八段)の新手
1図:白1~黒15まで
黒6とブツカる手が20年ほど前(週間碁連載当時の2007年から20年前と思われ)、植木善大さんによって打たれました。
当時の「棋道」の新手大賞を受賞とのことです。
後に黒aから動き出しも狙えます。
加藤充志(九段)の質問は、黒bも加わっていますので、よりブツカりが有力となるはず。
よって、テーマ図の黒AやBのハネダシは、いずれ打たれなくなるのではないか?
という質問です。
それでは、井山さん、黄翊祖さん、お答えください。
加藤さんの言われていることは、よく分かります。
1図でさえ黒が十分に打てるのですから、ケイマ受け(黒b)が加わったテーマ図がさらに有利であることは間違いありません。
ただ「黒AやBのハネ出しが打たれなくなる」というのは、どうでしょうか?
ケイマ受けの存在は間違いなくプラスで、マイナスになることは絶対にありませんが、果たして、「そこまでプラスかどうか」ということです。
検討図A
黒の厚みが立派すぎるので、白10は、廃案です。
黄翊祖さんは、植木善大(八段)の新手の1図の白13と切っていくのは、右下隅ケイマ受けも働き、白が戦えないとのことで、テーマ図以降の図の白10で次の手を示しました。
井山、黄の定石研究: 進化する流行定石
検討図B
テーマ図以降B図:白12まで
テーマ図以降B図:白12まで
検討図C
検討図D
テーマ図以降D図:白20まで
テーマ図以降D図:白20まで
と、お二人の検討はまだまだ続いていきます。
このテーマ図のお二人の結論としては、次の2つの図でした。
2つの結論図
このように本書は、高段者向けといえるでしょう。
内容の理解よりも、お二人の検討の流れや雰囲気を味わうのがよいかもしれませんね。
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大切に読ませていただきます。