




【「今日の格言」と「漢字の読み方」】
布石に関する格言「四隅取られて碁を打つな」
漢字の読み方「幾何」(いくばく):「いくなん」ではありません。
いくらぐらい。どれほど。少しばかり。あまり。
白:本因坊秀甫、黒:土屋秀栄
十番碁第10局、白:本因坊秀甫、黒:土屋秀栄
明治19年(1886年)、明治19年8月6日、方円社にて、秀栄の定先
過去記事にて、本因坊秀策、秀甫の十番碁をご紹介いたしましたが、その十番碁から約23年後に、秀甫、秀栄の十番碁が実現いたしました。
時に秀甫は48才。秀栄は33才。
秀栄は、秀策、秀甫の師匠である、本因坊秀和の次男です。
秀栄は、林家の養子となり十三世を継ぎましたが、十五世本因坊の長男の秀悦の急死、十六世本因坊の三男の秀元の実力不足などがあり、林家を絶家として、十七世本因坊に就くとともに方円社の秀甫を訪れ、十番碁を申し込みます。
秀甫は八段(方円社の八段)、秀栄は五段ながら定先で立ち向かいます。
しかし、この二人、12年ほど前には、年齢差はあるものの2人で美濃、尾張、伊勢などを遊歴し、あまりの放埓に宿賃に窮し人質になった逸話があるとのことで、元々は仲が良かったものと思われます。
まるで、落語の「居残り佐平次」のようですね。
十番碁第9局終了後、秀甫が第一人者であるのは明らかとして、秀栄は、宗家として秀甫に八段を贈り、同時に十八世本因坊を譲りました。
十八世本因坊となった秀甫は、即日その名において秀栄に七段を進めました。
生涯の夢が叶った秀甫は、それはそれは喜んだとのことです。
「ひと戦(いくさ)して隈(くま)もなし竹の月」と詠んだ秀甫は、最終の第10局の2か月後に亡くなりました。
十八世本因坊として残した棋譜は、十番碁のこの第10局のみでありました。
この第10局は「絶局」としても有名であります。
十番碁の成績
【十番碁の成績:秀栄の定先】
秀甫、秀栄ともに早打ちで、この十番碁はすべて一日で打ちきったとあります。
十番碁第10局:秀栄4目勝ち
大斜定石で先端開く
実戦図:白8まで

棋譜再生
第1局から第8局まで6か月を要しました。
第8局から第9局まで3か月を要しました。
第9局から第10局までは、8か月の期間を要しました。その間、秀栄は葛藤していたのでしょう。
本因坊秀甫と土屋秀栄七段の十番碁の最終局は、秀甫が本因坊となった一週間後に行われました。
絶局として世に知られております。
黒1、3、5の秀策流の布石で始まりました。
白9と大斜かけです。
第8局では、簡明な定石を選択した秀栄ですが、この局は難解型大斜定石の真っ向勝負となりました。
新型の分かれは互角
実戦図:白38まで

棋譜再生
実戦図:白38まで
右下隅の一間ジマリがバックにあるので、黒は戦いを恐れることはありません。
黒21では当時はケイマにすべるのが定石だったそうですが、実戦の黒21の方が良さそうです。
黒37まで、当時の新型でありますが、互角のワカレのようです。
白38は下辺の黒模様を意識した手です。
ノゾキに反発からの小競り合い
実戦図:白60まで

棋譜再生
実戦図:白60まで
黒39に手抜いて、白40は秀甫が大好きな一手です。
黒41は少し堅かったかもしれません。
黒45のノゾキに白46と反発して小競り合いが始まりましたが、白60と上辺を構えると、この折衝は、白が一本取ったような感じがします。
ツケからのサバキ
白62も好点には違いありませんが、ほとんどの方が白62では63と打つのではないでしょうか。
当然の黒63ですが、白64とハザマをつき、黒65を誘っての白66ツケ!
秀甫の有名な一手であります。
どちらをハネてもキリチガエてサバキを狙います。
秀甫の華麗なサバキ
白66から華麗なサバキを魅せた後、今度は、白82から手をつけていきます。
秀栄も黒87とがんばった手は好手でした。
白100までうまくさばいた感じですが、形勢は先の利を黒がまだ守っています。
敗着は白148か
白148が敗着でしょうか。
白148の参考図
白148の柿門の参考図:白1~黒6まで

白148の柿門の参考図:白1~黒6まで
白148は、白1で良かったようです。
以下、黒6までをAIの一手(無料のAIソフト)は示しておりました。
ちなみにAIの一手は白148で白3を示していました。
この参考図でほぼ互角の形勢不明となります。
この碁の棋譜は、173手まで残されており、黒番の土屋秀栄の4目勝ちとなっております。
これで十番碁の成績は5勝5敗の打ち分けとなり、秀栄は面目を保ちました。
近代非凡人三十一人
ところで、歴史の教科書に登場する中江兆民(東洋のルソー)の著書「一年有半」(明治34年発行)の中で「近代非凡人三十一人」を選出しております。
「余近代において非凡人を精選して、三十一人を得たり」
31人は次のとおりです。
藤田東湖、東京亭猫八(物真似)、紅屋勘兵衛(三味線)、坂本竜馬、麗々亭柳橋(落語)、竹本春太夫(三味線)、橋本左内、豊沢団平(三味線)、大久保利通、杵屋六翁(勧進帳を作曲)、北里柴三郎(生物学者)、桃川如燕(講釈)、陣幕久五郎(相撲)、梅ケ谷藤太郎(相撲)、勝安房(勝海舟)、三遊亭円朝(落語)、松林伯円(講釈)、西郷隆盛、松永和楓(長唄)、常磐津林中(浄瑠璃)、岩崎弥太郎(実業家)、福沢、越路太夫(三味線)、大隅太夫(三味線)、市川団洲(歌舞伎)、村瀬秀甫(囲碁)、市川九女八(歌舞伎)、星亨、大村益次郎、雨宮敬次郎(実業家)、古川市兵衛(実業家)
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今日は「秀甫、秀栄、十番碁第10局」を拝見しました。(*^-^*)
返信削除Ounaさま、こんにちは。いつもありがとうございます。
返信削除(*- -)(*_ _)ペコリ
6/18
返信削除「秀甫、秀栄、十番碁第10局」を拝見。
秀甫と秀栄は2人で美濃、尾張、伊勢などを遊歴し、あまりの放埓に宿賃に窮し人質になった逸話。('◇')ゞ
秀甫の句「ひと戦(いくさ)して隈(くま)もなし竹の月」(*゚∀゚*)イイネ!!
Ounaさま、こんにちは。いつもありがとうございます。
返信削除宿賃を支払わず居残りする落語を映画化した「幕末太陽伝」という名作映画があります。主演のグランキー堺さん他、名優が多数出演されています。機会があったらぜひぜひ。
(。・(エ)・。)ノ
6/19
返信削除こんにちは♪
「秀甫、秀栄、十番碁第10局」を拝見しました。(*'▽')
Ounaさま、こんにちは。いつもありがとうございます。
削除(*- -)(*_ _)ペコリ
6/20
返信削除「秀甫、秀栄、十番碁第10局」を拝見しました。(*^-^*)
Ounaさま、こんにちは。いつもありがとうございます。
削除(*- -)(*_ _)ペコリ
6/21
返信削除おはようございます♪
今日は「秀甫、秀栄、十番碁第10局」を拝見しました。(*^^*)
Ounaさま、おはようございます。いつもありがとうございます。
削除(*- -)(*_ _)ペコリ