



【「今日の格言」と「漢字の読み方」】
湯飲み格言「眼あり眼なしは唐の攻め合い」
漢字の読み方「強か」(したたか):「つよか」ではありません。
しぶといさま。九州の方は「つよかー」で正解とします。
白:秀甫、黒:秀栄
十番碁第6局、白:秀甫、黒:秀栄
明治18年(1885年)4月19日、方円社にて、秀栄の定先
過去記事にて、本因坊秀策、秀甫の十番碁をご紹介いたしましたが、その十番碁から約23年後に、秀甫、秀栄の十番碁が実現いたしました。
時に秀甫は47才。秀栄は32才。
秀栄は、秀策、秀甫の師匠である、本因坊秀和の次男です。
秀栄は、林家の養子となり十三世を継ぎましたが、十五世本因坊の長男の秀悦の急死、十六世本因坊の三男の秀元の実力不足などがあり、林家を絶家として、十七世本因坊に就くとともに方円社の秀甫を訪れ、十番碁を申し込みます。
秀甫は八段(方円社の八段)、秀栄は五段ながら定先で立ち向かいます。
しかし、この二人、12年ほど前には、年齢差はあるものの2人で美濃、尾張、伊勢などを遊歴し、あまりの放埓に宿賃に窮し人質になった逸話があるとのことで、元々は仲が良かったものと思われます。
まるで、落語の「居残り佐平次」のようですね。
十番碁第9局終了後、秀甫が第一人者であるのは明らかとして、秀栄は、宗家として秀甫に八段を贈り、同時に十八世本因坊を譲りました。
十八世本因坊となった秀甫は、即日その名において秀栄に七段を進めました。
生涯の夢が叶った秀甫は、それはそれは喜んだとのことです。
「ひと戦(いくさ)して隈(くま)もなし竹の月」と詠んだ秀甫は、最終の第10局の2か月後に亡くなりました。
十八世本因坊として残した棋譜は、十番碁の第10局のみでありました。
その第10局は「絶局」としても有名であります。
十番碁の成績
【十番碁の成績:秀栄の定先】
秀甫、秀栄ともに早打ちで、この十番碁はすべて一日で打ちきったとあります。
十番碁第6局:秀甫中押し勝ち
十番碁第7局:秀栄7目勝ち
十番碁第8局:秀甫2目勝ち
十番碁第9局:秀栄12目勝ち
十番碁第10局:秀栄4目勝ち
星打ちは趣向
実戦図:黒15まで

棋譜再生
実戦図:黒15まで
福井正明先生によると、白番の星や小目への二間高ガカリなどは、秀栄の多用した手として知られてるが、実際に打ち始めたのは、白番が多くなった明治30年以降とのことです。
白2と秀甫が星打ちしています。この時代ですから、星打ちは趣向とされています。
白6はこの時代の打ち方です。何はともあれ、黒7と空き隅に先着するのが、現代ではよいとされています。
白12は秀甫が大好きな手です。
黒15のヒラキが囲ってる感があってなんとなくぬるく感じます。
左上隅に何かしらの挨拶をするか、右下隅にカカリなり、三々入りするなりしたく思います。
序盤は黒がポイント
白20と厳しく迫りました。
普通は、33とカケるところです。
白24のボウシは良い手ですね。白28のシマリも好手に見えます。
黒は33から39と中央に頭を出して、白42などの連絡を催促します。
ここまでの布石は、黒がわずかながらにポイントを取っているようです。
白66アテコミ
黒43と深く踏み込みました。
秀甫はあっさりと白44と受け、黒49の連絡を許し、先手を取って白50のカタツキ。
消しに回ったと思いきや、白52と分断しての強烈な攻めを見せました。
これは凄いのひとことです。
白66のアテコミが好手です。こういう手に気がつけるようになりたいものです。
さて、白68のハネにほとんどの方が、黒70と受けると思います。
実戦の黒69は、勘違いだったのでしょうか?
柿門の参考図
黒69を普通に黒1と受けた時の参考図です。
黒の眼形ははっきりとしませんが、黒11まで頭を出せば十分のような気が致します。
この碁は120手まで打たれ、白番の秀甫の中押し勝ちとなっております。
秀甫がパワーで押しつぶしたような感じがしました。
第6局までの対戦成績は、秀甫の4勝2敗です。
十九世本因坊秀栄は、偉大な大名人と称されていますが、秀栄が強くなったのは、40才を過ぎてからからでした。いわゆる晩成型で、この十番碁当時は、秀甫に定先を保つのがやっとだったようです。
近代非凡人三十一人
ところで、歴史の教科書に登場する中江兆民(東洋のルソー)の著書「一年有半」(明治34年発行)の中で「近代非凡人三十一人」を選出しております。
「余近代において非凡人を精選して、三十一人を得たり」
31人は次のとおりです。
藤田東湖、東京亭猫八(物真似)、紅屋勘兵衛(三味線)、坂本竜馬、麗々亭柳橋(落語)、竹本春太夫(三味線)、橋本左内、豊沢団平(三味線)、大久保利通、杵屋六翁(勧進帳を作曲)、北里柴三郎(生物学者)、桃川如燕(講釈)、陣幕久五郎(相撲)、梅ケ谷藤太郎(相撲)、勝安房(勝海舟)、三遊亭円朝(落語)、松林伯円(講釈)、西郷隆盛、松永和楓(長唄)、常磐津林中(浄瑠璃)、岩崎弥太郎(実業家)、福沢、越路太夫(三味線)、大隅太夫(三味線)、市川団洲(歌舞伎)、村瀬秀甫(囲碁)、市川九女八(歌舞伎)、星亨、大村益次郎、雨宮敬次郎(実業家)、古川市兵衛(実業家)
(。・(エ)・。)ノ↓ランキング参加中、ポチ応援をいただけると励みになります。




![]() マイナビ 天頂の囲碁7 Zen(対応OS:その他) 目安在庫=△ |
![]() 基本布石事典(下巻)新版 星、小目、その他 [ 依田紀基 ] |
![]() ヒカルの囲碁入門 ヒカルと初段になろう! [ 石倉昇 ] |
![]() ひと目の詰碁 (マイナビ囲碁文庫) [ 趙治勲 ] |
おはようございます♪
返信削除今日は「秀甫、秀栄、十番碁第6局」を拝見しました。(*^-^*)
Ounaさま、いつもコメントをありがとうございます。
返信削除(*- -)(*_ _)ペコリ