秀甫、秀栄、十番碁第6局

2025/03/16

09.古碁を楽しむ

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こんにちは。こんばんは。

ご訪問いただきありがとうございます。

管理人の柿門です。(。・(エ)・。)ノ

今回は、「秀甫、秀栄、十番碁第6局」をご紹介いたします。


【「今日の格言」と「漢字の読み方」】

湯飲み格言「眼あり眼なしは唐の攻め合い」

漢字の読み方「強か」(したたか):「つよか」ではありません。

しぶといさま。九州の方は「つよかー」で正解とします。


白:秀甫、黒:秀栄

十番碁第6局、白:秀甫、黒:秀栄

明治18年(1885年)4月19日、方円社にて、秀栄の定先

過去記事にて、本因坊秀策、秀甫の十番碁をご紹介いたしましたが、その十番碁から約23年後に、秀甫、秀栄の十番碁が実現いたしました。

時に秀甫は47才。秀栄は32才。

秀栄は、秀策、秀甫の師匠である、本因坊秀和の次男です。

秀栄は、林家の養子となり十三世を継ぎましたが、十五世本因坊の長男の秀悦の急死、十六世本因坊の三男の秀元の実力不足などがあり、林家を絶家として、十七世本因坊に就くとともに方円社の秀甫を訪れ、十番碁を申し込みます。

秀甫は八段(方円社の八段)、秀栄は五段ながら定先で立ち向かいます。

しかし、この二人、12年ほど前には、年齢差はあるものの2人で美濃、尾張、伊勢などを遊歴し、あまりの放埓に宿賃に窮し人質になった逸話があるとのことで、元々は仲が良かったものと思われます。

まるで、落語の「居残り佐平次」のようですね。

十番碁第9局終了後、秀甫が第一人者であるのは明らかとして、秀栄は、宗家として秀甫に八段を贈り、同時に十八世本因坊を譲りました。

十八世本因坊となった秀甫は、即日その名において秀栄に七段を進めました。

生涯の夢が叶った秀甫は、それはそれは喜んだとのことです。

「ひと戦(いくさ)して隈(くま)もなし竹の月」と詠んだ秀甫は、最終の第10局の2か月後に亡くなりました。

十八世本因坊として残した棋譜は、十番碁の第10局のみでありました。

その第10局は「絶局」としても有名であります。


十番碁の成績

【十番碁の成績:秀栄の定先】

秀甫、秀栄ともに早打ちで、この十番碁はすべて一日で打ちきったとあります。

十番碁第1局:秀栄中押し勝ち

十番碁第2局:秀甫8目勝ち

十番碁第3局:秀甫2目勝ち

十番碁第4局:秀甫4目勝ち

十番碁第5局:秀栄3目勝ち

十番碁第6局:秀甫中押し勝ち

十番碁第7局:秀栄7目勝ち

十番碁第8局:秀甫2目勝ち

十番碁第9局:秀栄12目勝ち

十番碁第10局:秀栄4目勝ち 


星打ちは趣向

実戦図:黒15まで

棋譜解説図(数字、記号入り)
棋譜再生

実戦図:黒15まで

福井正明先生によると、白番の星や小目への二間高ガカリなどは、秀栄の多用した手として知られてるが、実際に打ち始めたのは、白番が多くなった明治30年以降とのことです。

白2と秀甫が星打ちしています。この時代ですから、星打ちは趣向とされています。

白6はこの時代の打ち方です。何はともあれ、黒7と空き隅に先着するのが、現代ではよいとされています。

白12は秀甫が大好きな手です。

黒15のヒラキが囲ってる感があってなんとなくぬるく感じます。

左上隅に何かしらの挨拶をするか、右下隅にカカリなり、三々入りするなりしたく思います。


序盤は黒がポイント

実戦図:白42まで

棋譜解説図(数字、記号入り)
棋譜再生

実戦図:白42まで

白20と厳しく迫りました。

普通は、33とカケるところです。

白24のボウシは良い手ですね。白28のシマリも好手に見えます。

黒は33から39と中央に頭を出して、白42などの連絡を催促します。

ここまでの布石は、黒がわずかながらにポイントを取っているようです。


白66アテコミ

実戦図:白70まで

棋譜解説図(数字、記号入り)
棋譜再生

実戦図:白70まで

黒43と深く踏み込みました。

秀甫はあっさりと白44と受け、黒49の連絡を許し、先手を取って白50のカタツキ。

消しに回ったと思いきや、白52と分断しての強烈な攻めを見せました。

これは凄いのひとことです。

白66のアテコミが好手です。こういう手に気がつけるようになりたいものです。

さて、白68のハネにほとんどの方が、黒70と受けると思います。

実戦の黒69は、勘違いだったのでしょうか?


柿門の参考図

黒69の柿門の参考図:黒1~黒11

棋譜解説図(数字、記号入り)
棋譜再生←(棋譜再生で手順をご確認ください)

黒69の柿門の参考図:黒1~黒11

黒69を普通に黒1と受けた時の参考図です。

黒の眼形ははっきりとしませんが、黒11まで頭を出せば十分のような気が致します。

この碁は120手まで打たれ、白番の秀甫の中押し勝ちとなっております。

秀甫がパワーで押しつぶしたような感じがしました。

第6局までの対戦成績は、秀甫の4勝2敗です。

十九世本因坊秀栄は、偉大な大名人と称されていますが、秀栄が強くなったのは、40才を過ぎてからからでした。いわゆる晩成型で、この十番碁当時は、秀甫に定先を保つのがやっとだったようです。


近代非凡人三十一人

ところで、歴史の教科書に登場する中江兆民(東洋のルソー)の著書「一年有半」(明治34年発行)の中で「近代非凡人三十一人」を選出しております。

「余近代において非凡人を精選して、三十一人を得たり」

31人は次のとおりです。

藤田東湖、東京亭猫八(物真似)、紅屋勘兵衛(三味線)、坂本竜馬、麗々亭柳橋(落語)、竹本春太夫(三味線)、橋本左内、豊沢団平(三味線)、大久保利通、杵屋六翁(勧進帳を作曲)、北里柴三郎(生物学者)、桃川如燕(講釈)、陣幕久五郎(相撲)、梅ケ谷藤太郎(相撲)、勝安房(勝海舟)、三遊亭円朝(落語)、松林伯円(講釈)、西郷隆盛、松永和楓(長唄)、常磐津林中(浄瑠璃)、岩崎弥太郎(実業家)、福沢、越路太夫(三味線)、大隅太夫(三味線)、市川団洲(歌舞伎)、村瀬秀甫(囲碁)、市川九女八(歌舞伎)、星亨、大村益次郎、雨宮敬次郎(実業家)、古川市兵衛(実業家)


  • 総譜は、こちらより、つぶや棋譜2 Viewerで、ご確認ください。
  • 手順は、図の左下にある青文字の「棋譜再生」でご覧いただけます。
  • つぶや棋譜2 Viewer左上にある「自動再生」にチェックで再生致します。
  • つぶや棋譜2 Viewer碁盤の下にある「NUM」で手順が表示されます。

  • 最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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    囲碁とは黒と白が交互に打って、自分の陣地の大きさを競うゲームであります。碁盤の目は361あり、黒白交互に打つと10の360乗ものパターンがあり、無限の世界と言われております。また、囲碁は、礼節を重んじ、礼に始まり礼に終わる競技でもあります。私はネット碁を楽しんでおりますが、ネット碁のおかげで囲碁は世界中に広まり、世界中で楽しまれるようになりました。囲碁に国境はありません。そんな囲碁の魅力や楽しさを少しでも伝えることができればと考えております。

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