秀甫、秀栄、十番碁第1局

2024/11/02

09.古碁を楽しむ

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こんにちは。こんばんは。

ご訪問いただきありがとうございます。

管理人の柿門です。(。・(エ)・。)ノ

今回は、「秀甫、秀栄、十番碁第1局」をご紹介いたします。


白:秀甫、黒:秀栄

十番碁第1局、白:秀甫、黒:秀栄

明治17年(1884年)12月21日、方円社にて、秀栄の定先

過去記事にて、本因坊秀策、秀甫の十番碁をご紹介いたしましたが、その十番碁から約23年後に、秀甫、秀栄の十番碁が実現いたしました。

時に秀甫は46才。秀栄は32才。

秀栄は、秀策、秀甫の師匠である、本因坊秀和の次男です。

秀栄は、林家の養子となり十三世を継ぎましたが、十五世本因坊の長男の秀悦の急死、十六世本因坊の三男の秀元の実力不足などがあり、林家を絶家として、十七世本因坊に就くとともに方円社の秀甫を訪れ、十番碁を申し込みます。

秀甫は八段(方円社の八段)、秀栄は五段ながら定先で立ち向かいます。

しかし、この二人、12年ほど前には、年齢差はあるものの2人で美濃、尾張、伊勢などを遊歴し、あまりの放埓に宿賃に窮し人質になった逸話があるとのことで、元々は仲が良かったものと思われます。

まるで、落語の「居残り佐平次」のようですね。

十番碁第9局終了後、秀甫が第一人者であるのは明らかとして、秀栄は、宗家として秀甫に八段を贈り、同時に十八世本因坊を譲りました。

十八世本因坊となった秀甫は、即日その名において秀栄に七段を進めました。

生涯の夢が叶った秀甫は、それはそれは喜んだとのことです。

「ひと戦(いくさ)して隈(くま)もなし竹の月」と詠んだ秀甫は、最終の第10局の2か月後に亡くなりました。

十八世本因坊として残した棋譜は、十番碁の第10局のみでありました。

その第10局は「絶局」としても有名であります。


十番碁の成績

【十番碁の成績:秀栄の定先】

秀甫、秀栄ともに早打ちで、この十番碁はすべて一日で打ちきったとあります。

十番碁第1局:秀栄中押し勝ち

十番碁第2局:秀甫8目勝ち

十番碁第3局:秀甫2目勝ち

十番碁第4局:秀甫4目勝ち

十番碁第5局:秀栄3目勝ち

十番碁第6局:秀甫中押し勝ち

十番碁第7局:秀栄7目勝ち

十番碁第8局:秀甫2目勝ち

十番碁第9局:秀栄12目勝ち

十番碁第10局:秀栄4目勝ち 


独創的な白10

実戦図:白10まで

棋譜解説図(数字、記号入り)
棋譜再生

実戦図:白10まで

両者、小目の打ち合いから始まりました。

白10は、独創的です。

当時ですと大斜カケやハサミが主流かと思います。


平穏な手を避ける白16

実戦図:黒25まで

棋譜解説図(数字、記号入り)
棋譜再生

実戦図:黒25まで

白14はヒラキとハサミを兼ねた好点に見えます。

白16では下辺を守るのが「平穏の手」と秀甫のコメントがあります。

それではと黒17の打ち込みに対して、それではと白18とタタキます。

黒19、白20とお互いに一間にトビ、戦いが始まりました。


先手を取って黒45

実戦図:黒45まで

棋譜解説図(数字、記号入り)
棋譜再生

実戦図:黒45まで

白26から整形します。

黒は31のノゾキを効かして、黒33とハネ出します。

白36の様子見から、白44まで二眼の生きです。

先手を取った黒は上辺に黒45と向かいました。

先手を取った分、この折衝は黒がポイントをあげたようです。


好調な黒

実戦図:黒89まで

棋譜解説図(数字、記号入り)
棋譜再生

実戦図:黒89まで

白48のハサミ返しに黒49のツケはサバキの手です。

好手に見えます。

黒59も急所のようで好手に見えます。

黒85、87、89で上辺、左辺の黒一団をシノギ、黒に弱い石がなくなりました。

黒がここまで好調に打ち進めております。

秀甫のコメント
「黒67は、いかがなりや。先ず75に打つを手順とす。後に白76とツケコシて眼を欠く手なければなり」

秀甫のポカ

実戦図:白128まで


実戦図:白128まで

白90と遠目で左辺の黒一団を狙っています。

白128を秀甫は、ポカとコメントしています。

「ポカ」と言えば、秀行先生の代名詞のようですが、秀甫も負けず劣らずポカが多いことで知られています。


秀甫のコメント

秀甫のコメント図:白1~白7

棋譜解説図(数字、記号入り)

秀甫のコメント図:白1~白7

「白128の手思い違いなり。惜しむべきとす」

白128を白1と打てば、黒2とワタリ、白3の犠打から白5、7とはみ出して、実戦のように右辺が固まることもなかったとしております。

AIの一手(無料のAIソフト)も白128は敗着としており、白128では、上図の白2のワタリ止めを示していました。

この碁は、149手まで打たれ、黒番の本因坊秀栄の中押し勝ちとなっております。

この十番碁は打ち分けとなりましたが、秀甫の敗局のほとんどがポカによるものであると福井正明先生のコメントがあります。


近代非凡人三十一人

ところで、歴史の教科書に登場する中江兆民(東洋のルソー)の著書「一年有半」(明治34年発行)の中で「近代非凡人三十一人」を選出しております。

「余近代において非凡人を精選して、三十一人を得たり」

31人は次のとおりです。

藤田東湖、東京亭猫八(物真似)、紅屋勘兵衛(三味線)、坂本竜馬、麗々亭柳橋(落語)、竹本春太夫(三味線)、橋本左内、豊沢団平(三味線)、大久保利通、杵屋六翁(勧進帳を作曲)、北里柴三郎(生物学者)、桃川如燕(講釈)、陣幕久五郎(相撲)、梅ケ谷藤太郎(相撲)、勝安房(勝海舟)、三遊亭円朝(落語)、松林伯円(講釈)、西郷隆盛、松永和楓(長唄)、常磐津林中(浄瑠璃)、岩崎弥太郎(実業家)、福沢、越路太夫(三味線)、大隅太夫(三味線)、市川団洲(歌舞伎)、村瀬秀甫(囲碁)、市川九女八(歌舞伎)、星亨、大村益次郎、雨宮敬次郎(実業家)、古川市兵衛(実業家)


  • 総譜は、こちらより、つぶや棋譜2 Viewerで、ご確認ください。
  • 手順は、図の左下にある青文字の「棋譜再生」でご覧いただけます。
  • つぶや棋譜2 Viewer左上にある「自動再生」にチェックで再生致します。
  • つぶや棋譜2 Viewer碁盤の下にある「NUM」で手順が表示されます。

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    囲碁とは黒と白が交互に打って、自分の陣地の大きさを競うゲームであります。碁盤の目は361あり、黒白交互に打つと10の360乗ものパターンがあり、無限の世界と言われております。また、囲碁は、礼節を重んじ、礼に始まり礼に終わる競技でもあります。私はネット碁を楽しんでおりますが、ネット碁のおかげで囲碁は世界中に広まり、世界中で楽しまれるようになりました。囲碁に国境はありません。そんな囲碁の魅力や楽しさを少しでも伝えることができればと考えております。

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