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管理人の柿門です。(。・(エ)・。)ノ
今回は、「秀甫、秀栄、十番碁第4局」をご紹介いたします。
【「今日の格言」と「漢字の読み方」】
湯飲み格言「負くるも会心の碁を打つべし」
漢字の読み方「姦しい」(かしましい):「めめしい」ではありません。
やかましい。そうぞうしい。
白:秀甫、黒:秀栄
十番碁第4局、白:秀甫、黒:秀栄
明治18年(1885年)2月26日、秀栄の定先
過去記事にて、本因坊秀策、秀甫の十番碁をご紹介いたしましたが、その十番碁から約23年後に、秀甫、秀栄の十番碁が実現いたしました。
時に秀甫は47才。秀栄は32才。
秀栄は、秀策、秀甫の師匠である、本因坊秀和の次男です。
秀栄は、林家の養子となり十三世を継ぎましたが、十五世本因坊の長男の秀悦の急死、十六世本因坊の三男の秀元の実力不足などがあり、林家を絶家として、十七世本因坊に就くとともに方円社の秀甫を訪れ、十番碁を申し込みます。
秀甫は八段(方円社の八段)、秀栄は五段ながら定先で立ち向かいます。
しかし、この二人、12年ほど前には、年齢差はあるものの2人で美濃、尾張、伊勢などを遊歴し、あまりの放埓に宿賃に窮し人質になった逸話があるとのことで、元々は仲が良かったものと思われます。
まるで、落語の「居残り佐平次」のようですね。
十番碁第9局終了後、秀甫が第一人者であるのは明らかとして、秀栄は、宗家として秀甫に八段を贈り、同時に十八世本因坊を譲りました。
十八世本因坊となった秀甫は、即日その名において秀栄に七段を進めました。
生涯の夢が叶った秀甫は、それはそれは喜んだとのことです。
「ひと戦(いくさ)して隈(くま)もなし竹の月」と詠んだ秀甫は、最終の第10局の2か月後に亡くなりました。
十八世本因坊として残した棋譜は、十番碁の第10局のみでありました。
その第10局は「絶局」としても有名であります。
十番碁の成績
【十番碁の成績:秀栄の定先】
秀甫、秀栄ともに早打ちで、この十番碁はすべて一日で打ちきったとあります。
十番碁第4局:秀甫4目勝ち
十番碁第5局:秀栄3目勝ち
十番碁第6局:秀甫中押し勝ち
十番碁第7局:秀栄7目勝ち
十番碁第8局:秀甫2目勝ち
十番碁第9局:秀栄12目勝ち
十番碁第10局:秀栄4目勝ち
現代風カタツキの趣向
実戦図:白10まで
棋譜再生
実戦図:白10まで
白2の星打ちは、当時はけっこう珍しいです。
秀和も秀策も星打ちを試みたことはあります。
後年、秀栄が白番での星打ちを得意とします。
しかし、黒番の星打ちが当時、打たれることはなかったとのことです。
どうしてなんでしょうね?
白10が現代的です。このような手は、昭和、平成時代に打たれることはありませんでした。
唯一、呉清源先生がこのカタツキを推奨されていました。
「白10の趣向おもしろし」と秀甫のコメントがあります。
白22は古い定石
黒15ツケから定石のような形ですが、白22のアテは現代では、25とノビるのがよいとされています。
黒25のカミトリでこの黒が一気に強くなり、白24が強い石に近づきすぎとされてしまいました。
黒29のカタツキからの荒らしはいい形ですね。覚えたい打ち方です。
現代なら、黒29では、多くの方が三々に入りそうです。
黒35まで、序盤は黒がポイントをあげたようです。
黒優勢の局面に
黒51が厳しい一手でした。
ここを分断されて、黒67には、白は61の石をトル一手ですから、、先手で中央を厚くしました。
黒優勢の局面となりました。
秀甫は白50を後悔しております。
秀甫の後悔
秀甫の参考図:白1~白5
秀甫の参考図:白1~白5
秀甫のコメント
「白1とノゾキを効かすのでした。黒は効かされを嫌って黒2であろうから、白3、5の形が大いにおもしろかった」
この参考図ですと、白の形がおしゃれです。
ついに形勢不明に
実戦図:白98まで
棋譜再生
実戦図:白98まで
黒87ツケ、89ヒキ、白90ノビで上辺が大きな白地となりました。
黒87では、秀甫が指摘するように、黒88まで踏み込むところだったでしょう。
白98まで、白は追いつき、形勢不明となりました。
この対局の棋譜は190手まで残っており、白番の秀甫の4目勝ちとなっております。
優勢の碁を負けにした、秀栄にとって惜しむべき一局となりました。
十九世本因坊秀栄は、偉大な大名人と称されていますが、秀栄が強くなったのは、40才を過ぎてからからでした。いわゆる晩成型で、この十番碁当時は、秀甫に定先を保つのがやっとだったようです。
近代非凡人三十一人
ところで、歴史の教科書に登場する中江兆民(東洋のルソー)の著書「一年有半」(明治34年発行)の中で「近代非凡人三十一人」を選出しております。
「余近代において非凡人を精選して、三十一人を得たり」
31人は次のとおりです。
藤田東湖、東京亭猫八(物真似)、紅屋勘兵衛(三味線)、坂本竜馬、麗々亭柳橋(落語)、竹本春太夫(三味線)、橋本左内、豊沢団平(三味線)、大久保利通、杵屋六翁(勧進帳を作曲)、北里柴三郎(生物学者)、桃川如燕(講釈)、陣幕久五郎(相撲)、梅ケ谷藤太郎(相撲)、勝安房(勝海舟)、三遊亭円朝(落語)、松林伯円(講釈)、西郷隆盛、松永和楓(長唄)、常磐津林中(浄瑠璃)、岩崎弥太郎(実業家)、福沢、越路太夫(三味線)、大隅太夫(三味線)、市川団洲(歌舞伎)、村瀬秀甫(囲碁)、市川九女八(歌舞伎)、星亨、大村益次郎、雨宮敬次郎(実業家)、古川市兵衛(実業家)
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