秀甫、秀栄、十番碁第4局

2025/01/08

09.古碁を楽しむ

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こんにちは。こんばんは。

ご訪問いただきありがとうございます。

管理人の柿門です。(。・(エ)・。)ノ

今回は、「秀甫、秀栄、十番碁第4局」をご紹介いたします。


【「今日の格言」と「漢字の読み方」】

湯飲み格言「負くるも会心の碁を打つべし」

漢字の読み方「姦しい」(かしましい):「めめしい」ではありません。

やかましい。そうぞうしい。


白:秀甫、黒:秀栄

十番碁第4局、白:秀甫、黒:秀栄

明治18年(1885年)2月26日、秀栄の定先

過去記事にて、本因坊秀策、秀甫の十番碁をご紹介いたしましたが、その十番碁から約23年後に、秀甫、秀栄の十番碁が実現いたしました。

時に秀甫は47才。秀栄は32才。

秀栄は、秀策、秀甫の師匠である、本因坊秀和の次男です。

秀栄は、林家の養子となり十三世を継ぎましたが、十五世本因坊の長男の秀悦の急死、十六世本因坊の三男の秀元の実力不足などがあり、林家を絶家として、十七世本因坊に就くとともに方円社の秀甫を訪れ、十番碁を申し込みます。

秀甫は八段(方円社の八段)、秀栄は五段ながら定先で立ち向かいます。

しかし、この二人、12年ほど前には、年齢差はあるものの2人で美濃、尾張、伊勢などを遊歴し、あまりの放埓に宿賃に窮し人質になった逸話があるとのことで、元々は仲が良かったものと思われます。

まるで、落語の「居残り佐平次」のようですね。

十番碁第9局終了後、秀甫が第一人者であるのは明らかとして、秀栄は、宗家として秀甫に八段を贈り、同時に十八世本因坊を譲りました。

十八世本因坊となった秀甫は、即日その名において秀栄に七段を進めました。

生涯の夢が叶った秀甫は、それはそれは喜んだとのことです。

「ひと戦(いくさ)して隈(くま)もなし竹の月」と詠んだ秀甫は、最終の第10局の2か月後に亡くなりました。

十八世本因坊として残した棋譜は、十番碁の第10局のみでありました。

その第10局は「絶局」としても有名であります。


十番碁の成績

【十番碁の成績:秀栄の定先】

秀甫、秀栄ともに早打ちで、この十番碁はすべて一日で打ちきったとあります。

十番碁第1局:秀栄中押し勝ち

十番碁第2局:秀甫8目勝ち

十番碁第3局:秀甫2目勝ち

十番碁第4局:秀甫4目勝ち

十番碁第5局:秀栄3目勝ち

十番碁第6局:秀甫中押し勝ち

十番碁第7局:秀栄7目勝ち

十番碁第8局:秀甫2目勝ち

十番碁第9局:秀栄12目勝ち

十番碁第10局:秀栄4目勝ち 


現代風カタツキの趣向

実戦図:白10まで

棋譜解説図(数字、記号入り)
棋譜再生

実戦図:白10まで

白2の星打ちは、当時はけっこう珍しいです。

秀和も秀策も星打ちを試みたことはあります。

後年、秀栄が白番での星打ちを得意とします。

しかし、黒番の星打ちが当時、打たれることはなかったとのことです。

どうしてなんでしょうね?

白10が現代的です。このような手は、昭和、平成時代に打たれることはありませんでした。

唯一、呉清源先生がこのカタツキを推奨されていました。

「白10の趣向おもしろし」と秀甫のコメントがあります。


白22は古い定石

実戦図:黒35まで

棋譜解説図(数字、記号入り)
棋譜再生

実戦図:黒35まで

黒15ツケから定石のような形ですが、白22のアテは現代では、25とノビるのがよいとされています。

黒25のカミトリでこの黒が一気に強くなり、白24が強い石に近づきすぎとされてしまいました。

黒29のカタツキからの荒らしはいい形ですね。覚えたい打ち方です。

現代なら、黒29では、多くの方が三々に入りそうです。

黒35まで、序盤は黒がポイントをあげたようです。


黒優勢の局面に

実戦図:黒67まで

棋譜解説図(数字、記号入り)
棋譜再生

実戦図:黒67まで

黒51が厳しい一手でした。

ここを分断されて、黒67には、白は61の石をトル一手ですから、、先手で中央を厚くしました。

黒優勢の局面となりました。

秀甫は白50を後悔しております。


秀甫の後悔

秀甫の参考図:白1~白5

棋譜解説図(数字、記号入り)

秀甫の参考図:白1~白5

秀甫のコメント

「白1とノゾキを効かすのでした。黒は効かされを嫌って黒2であろうから、白3、5の形が大いにおもしろかった」

この参考図ですと、白の形がおしゃれです。


ついに形勢不明に

実戦図:白98まで

棋譜解説図(数字、記号入り)
棋譜再生

実戦図:白98まで

黒87ツケ、89ヒキ、白90ノビで上辺が大きな白地となりました。

黒87では、秀甫が指摘するように、黒88まで踏み込むところだったでしょう。

白98まで、白は追いつき、形勢不明となりました。

この対局の棋譜は190手まで残っており、白番の秀甫の4目勝ちとなっております。

優勢の碁を負けにした、秀栄にとって惜しむべき一局となりました。

十九世本因坊秀栄は、偉大な大名人と称されていますが、秀栄が強くなったのは、40才を過ぎてからからでした。いわゆる晩成型で、この十番碁当時は、秀甫に定先を保つのがやっとだったようです。


近代非凡人三十一人

ところで、歴史の教科書に登場する中江兆民(東洋のルソー)の著書「一年有半」(明治34年発行)の中で「近代非凡人三十一人」を選出しております。

「余近代において非凡人を精選して、三十一人を得たり」

31人は次のとおりです。

藤田東湖、東京亭猫八(物真似)、紅屋勘兵衛(三味線)、坂本竜馬、麗々亭柳橋(落語)、竹本春太夫(三味線)、橋本左内、豊沢団平(三味線)、大久保利通、杵屋六翁(勧進帳を作曲)、北里柴三郎(生物学者)、桃川如燕(講釈)、陣幕久五郎(相撲)、梅ケ谷藤太郎(相撲)、勝安房(勝海舟)、三遊亭円朝(落語)、松林伯円(講釈)、西郷隆盛、松永和楓(長唄)、常磐津林中(浄瑠璃)、岩崎弥太郎(実業家)、福沢、越路太夫(三味線)、大隅太夫(三味線)、市川団洲(歌舞伎)、村瀬秀甫(囲碁)、市川九女八(歌舞伎)、星亨、大村益次郎、雨宮敬次郎(実業家)、古川市兵衛(実業家)


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  • 手順は、図の左下にある青文字の「棋譜再生」でご覧いただけます。
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  • つぶや棋譜2 Viewer碁盤の下にある「NUM」で手順が表示されます。

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