こんにちは。こんばんは。
ご訪問いただきありがとうございます。
管理人の柿門です。(。・(エ)・。)ノ
今回は、「棋書の紹介その44(置碁ー白の作戦)」をご紹介いたします。
購買層が限られておりますので、出版してしばらくすると絶版になってしまいます。
ゆえに、ここでご紹介した棋書もすでに書店の店頭にはないかもしれません。
その点はご了承をお願いいたします。
囲碁有段シリーズ 「置碁-白の作戦」
解説:藤沢秀行、編集:相場一宏 山海堂
実力差のある者同士も、ゲームの質をそこなうことなく、同等に楽しむことができるのです。
本書では上手がいかに置かせて楽しむか、に重点を置いて説明しています。
置かせた碁を、序盤で大失敗して形勢不利となった互先の碁、と考えたらどうでしょうか。
緩んだ手は打てませんし、小利にこだわって局面を狭くすることも禁物です。これはそっくり置かせた碁の打ち方につなばり「緩みなく手広く」という姿勢は、上手の碁の質をも向上させるに違いありません。
置碁の上手に、盤上では追うものの楽しさがあります。
逆転できなくて、もともとと思えば、こんなに気楽で楽しい碁はありません。1994年5月 藤沢秀行
本書は、第1章:白の名局、第2章:マギレの手、第3章:実戦・次の一手と3章に分かれて構成されております。
第1章は、本因坊道策の置碁の解説。
第2章は、第1型から第51型まで置碁での白の妖しい手の紹介。
第3章は、秀行先生の置碁(9子局から2子局)の実戦の解説。
第3章の秀行先生とアマとの対局の解説は、大変貴重なものだと思っております。
今回は、第1章より本因坊道策(1645年~1702年)の白の名局をご紹介いたします。
本因坊道策は、圧倒的強さを誇り、当時の一流棋士達をことごとく先以下に打ち込み、実力十三段と称揚(しょうよう)されておりました。
また、名人を九段、名人上手間を八段(準名人)、上手を七段とし、以下二段差を1子とする段位制を確立し、この段位制は1924年に日本棋院が設立されるまで使われておりました。
道策は手割の考え方など多くの革新的な手法を生み出し、従来の力戦ではなく、全局の調和を重視した合理的な打ち方を用いたことなどから、近代囲碁の祖と呼ばれております。
当時の棋士の晴れ舞台は、御城碁でありました。
道策のお城碁の戦績は、14勝2敗であります。
この2敗は、いずれも2子置かせての1目負けであり、秀策の戦績(19勝無敗)に引けをとらないものだとされております。
黒:浜比賀、白:本因坊道策
四子局、黒:浜比賀、白:本因坊道策、1682年4月17日
浜比賀は、当時の琉球の棋士であります。
当時の琉球は、日本と唐(中国)に朝貢(ちょうこう:外国人が来朝して朝廷にみつぎものを差し上げること)し、独立王国でありました。
琉球の碁は、中国の影響を強く受け。互先置き石制のまま戦闘技術を発達させ、現代でいえば、筋は悪いが実戦で鍛えた力自慢とのこと。
その力をどういなし、どう逆用するかが見どころとなるでしょう。と本書にありました。
道策の奇襲攻撃
「黒18とカカえ、白19のコウ仕掛けなら、黒20とトリ返して「初コウにコウなし」と打ちたい。」
「コウは上手(うわて)の武器ですが、恐れすぎてはコウに負けた以上の損をこうむることになるのです。」
と秀行先生の解説であります。
まさに、「初コウにコウなし」ですね。
実戦図:白53まで
棋譜再生
実戦図:白53まで
道策先生は、上辺でも再度の白27、29のツケです。
「黒36までは、いちおうキカサレといっても安心したプラスも小さくありません。」
「黒38は悪手です。いわゆる、キレるところをツガせる手。ここは単に40とツグところです。」との秀行先生の解説です。
囲碁用語の「単に」は、「余計なことをせずに」という意味であります。
「隅を強化しようとした黒38、40ですが、白はその心理の裏をかき、41の三々入りです。」
「堅実に打とうとする黒の発想に付け入って、必要以上の譲歩をさせた白のうちまわし。守りの気分は、現実の守りにつながらないという好例でしょう。」と秀行先生の解説です。
図の白53までは、白がうまくやっているように思えます。
捨て石を攻める黒
実戦図:白87まで
棋譜再生
実戦図:白87まで
「黒 54、56は打たずもがな。いつでも打てる手は必要あるまで打たぬ、というのがキカシの鉄則で、このばあいも黒はコウダテを二つ損しただけです。」
「白63とがっちり右辺を 固め、上辺はもともとキカした石ですから軽く見ます。」と秀行先生の解説です。
白65、67のツケギリは、相手の固い所を、コリ形に導く基本の手筋です。
340年前の棋譜からも、このような手筋の勉強ができます。
白73の地点が急所でした。
黒は上辺の白石を攻めているようですが、道策先生は、上辺は捨て気味に打ち、左辺を重視しております。
敗着は黒126
実戦図:黒126まで
実戦図:黒126まで
黒108とハサんで、最後の戦いの場となりました。
第1打の白1のサバキ具合が勝負となりました。
ここまでは、わずかながら黒がリードしているとのことです。
黒112は、S4とアテるところ。
白の眼形を奪うつもりの黒118だと思いますが、118では、単に122とトンで大きく白を攻めるところであります。
白121、123と逆に白が攻める形となりました。
黒126が敗着と秀行先生の解説です。
秀行先生の黒126の参考図
棋譜再生(注:百の位が表示されておりません)
秀行先生の黒126の参考図
「黒126(S3)とサガって右下隅を固め、右辺を黒132までと生きてなおも白への攻め味を見ておけば、黒はわずかな優位をそのまま保っていたのです。」と秀行先生の解説です。
この碁は、241手まで打たれ、白の本因坊道策先生の14目勝ちとなっております。
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