第62期十段戦第1局
芝野 虎丸(十段)に井山 裕太(王座)が挑戦する第62期大和ハウス杯十段戦五番勝負の第1局が2月27日に大阪府東大阪市「大阪商業大学」で行われました。
十段戦は、囲碁の七大タイトルのひとつであります。七大タイトル以外のNHK杯や新人王戦なども「タイトル」でありますので、タイトル数には含まれることになります。
七大タイトルの序列は次のとおりです。
2024年2月現在の七大タイトルの保持者は次の3名であります。
一力 遼 (棋聖、天元、本因坊)
芝野 虎丸(名人、十段)
井山 裕太(王座、碁聖)
現在の三強であります。
ゆえに、タイトル戦もこの三者の組み合わせが多くなっています。
昨年は名人戦で芝野さんと井山さんは激突しております。その時は、4勝2敗で芝野虎丸さんが名人位を防衛いたしました。
今回は、芝野虎丸(十段)に井山裕太(王座)が挑戦いたします。
芝野 虎丸さんのご紹介
芝野虎丸さんは1999年生まれの24才。
芝野さんは、入段から史上最短での全棋士参加棋戦優勝、史上最年少での七大タイトル獲得、名人戦リーグ入り、本因坊戦リーグ入りするなど、たくさんの最年少記録を打ち立て、デビュー当時から注目の逸材でありました。
なかでも、2019年に史上最年少(19才11か月)で名人を獲得後、すぐに井山さんから王座のタイトルまで奪い、20才で二冠を達成したときには碁界に衝撃が走りました。
名人、王座、十段など、数々のタイトルを獲得し、総タイトル獲得数は現在11と三強の一角として、活躍されております。
虎丸さんは、「ヒカルの碁」のファンだったご両親の影響で、5才くらいのころから囲碁を始めたとありました。また、一力遼さんや藤沢里菜さんといっしょの「洪道場」の出身であります。
虎丸さんはデビューがとても華々しかったのに比べ、最近は少し伸び悩んでおられるような印象を私は受けます。世界をも狙える逸材と信じておりますので、もう一段の高みを目指してがんばっていただきたく思っております。
井山 裕太さんのご紹介
井山裕太さんは1989年生まれの34才。
20才で名人位についてからは、破竹の快進撃を続け、井山1強時代を築きました。
日本囲碁史上初の七冠(棋聖、名人、本因坊、王座、天元、碁聖、十段)独占を2度も達成しております。
また、年間グランドスラム(その年の七大タイトルをすべて独占)という快挙も達成し遂げております。
日本囲碁史に燦然と輝く記録であることは、間違いありません。
一時代を築いた井山さんでありますが、30才を超え、現在は、令和三羽ガラス等、新時代の挑戦者から、必死の防戦を繰り広げております。
井山さんは5才のときにテレビゲームで囲碁を覚えたとのことです。
アンケート総投票数は10票
先に実施した投票アンケート(応援するのはどっち?)の結果をお知らせいたします。
投票総数:10票
芝野虎丸さんを応援:6票(60.0%)
井山裕太さんを応援:3票(30.0%)
どちらもがんばれ!:1票(10.0%)
ご投票していただいたみなさま、ありがとうございました。
黒:井山裕太、白:芝野虎丸
一間バサミ定石の定型
最近は、私はなぜかダイレクト三々がないと嬉しいです。
この局もありませんでした。
白8の一間バサミには、実戦のように黒はカケて、白デギリの定石を絶芸(最強のAI)も示していました。
勉強になる絶芸の参考図
絶芸は白16、黒17と手堅い図を示しました。
そして、白18の三々入りです。
この図はとても勉強になりますね。
果敢に動く白
白の芝野さんが果敢に動いています。
白24のツケ、白34のツケ、そして白40のハサミ攻撃。
白40までの絶芸(最強のAI)の評価値は黒72%と若干ですが黒に傾いております。
黒、やや打ちやすい形勢に
黒41のツケから黒43の三々入りは定型ですが、白44のグズミは最強の受け方です。
対して、井山さんは黒45のツケ!
この辺はの展開は、素人にはわかりません。無理です。
白72とカケて白が好調に見えますが、白72までの絶芸の評価値は黒82%となっており、黒が打ちやすいと評価しております。
鋭く踏み込む井山さん
黒85で生きを確認して、黒87と鋭く井山さんは踏み込みます。
とても厳しい手に見えます。
しかし、絶芸はおとなしい手を次のように示しました。
おとなしい絶芸
黒87と白を攻めるのではなく外から利かして、右下を囲いました。
黒91はごっつい手ですね。
白92からの白の動き出しは全く分かりません。
コウ材でも作っているのでしょうか?
黒の無理攻めだったか
黒91のキリから井山さんは厳しい攻めを見せますが、絶芸はちょっと無理気味と評価しておりました。
黒103まで、白94.5%の評価値でした。
分断されて絡み攻めに
評価値的に互角に戻した黒でしたが、黒143、白144と連絡を絶たれ、評価値を落としました。
評価値は、白80%であります。
絶芸の妙手
絶芸の黒143の参考図
絶芸の黒143の参考図
絶芸は黒143で、黒1を示しました。
これは妙手ですね。
黒は連絡を果たしました。
しかし、白は上辺を荒らしておりますので十分でしょう。
この参考図で黒41%の評価値ですので、この進行なら半目勝負でしょう。
この碁は160手まで打たれ、白番の芝野虎丸十段の中押し勝ちとなっております。
芝野さんの完勝だったと思います。
次の第2局は、3月25日に日本棋院東京本院で行われます。
楽しみですね。
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コメントありがとうございます。
大切に読ませていただきます。