瀬越憲作先生のコメント
「秀策先生は、強力と読みの深さを奥深く蔵して、碁の複雑性を簡明にしている」
石田芳夫先生のコメント
「秀策先生の布石の骨子は、局面を簡明化し、先着の効を確実に維持させるところにある。これで勝てると見れば無理をせず、一番わかりやすい手を打つ」
李昌鎬(韓国の大棋士)のコメント
「私は一生かけても秀策先生には及ばないだろう」
瀬越憲作先生、石田芳夫先生のコメントにあるように
「碁の複雑性を簡明にしている」
「勝てると見れば無理をせず、一番わかりやすい手を打つ」
これが本因坊秀策の碁ではないかと思われます。
そうであれば、我々アマチュアとって最高のお手本となるのではないでしょうか。
本因坊秀策は「ヒカルの碁」の影響もあり、日本で特に有名な棋士のひとりとなりました。
これより、しばらく、本因坊秀策の碁を並べてみたいと思います。
黒:桑原秀策、白:太田雄蔵
黒:桑原秀策、白:太田雄蔵
嘉永元年六月二十八日、於千石一宅、八十九手打掛七月六日同所、打継終
秀策が先相先の黒番です。
嘉永元年二月二十八日を西暦にすると、1848年4月1日だとのことです。
ウィキペディアによると秀策のお誕生日は、文政12年5月5日(1829年6月6日)とありますので、現在の数え方だと19才となります。
太田雄蔵は天保四傑の一人で、秀策より22才年長であります。
嘉永元年に秀策は六段に昇り、雄藏と同段になりましたが、手合は先相先を抜けませんでした。
雄蔵は、秀策が13才2子局から手合を行っておりますので、秀策にとっては第2の師匠ともいえるかもしれません、
目外しに対するカカリ
実戦図:黒17まで
棋譜再生
実戦図:黒17まで
現代感覚だと白6は、中途半端な位置であります。
黒9の反撃に白16と二間ビラキはできますが、黒の強いシマリに近づきすぎです。
また、目外しに対する、高いカカリの黒17は、現代では打たれることはありません。
ノゾキに対して
白22は中央に向かって出る自然な手ですが、ここでは、眼形の確保及び上方白との連絡をにらむ23が良かったようです。
秀策はすかざず、黒23と攻めに廻ります。
黒25のノゾキに白26のコスミは、雄蔵のセンスが垣間見れます。白26と28はセットです。
白30と自陣の強化のみの手を打たざる負えなったのは、白6の罪だと思います。
その分、黒がコミ分も含めてリードした布石となりました。
大場に先行
雄蔵は白38から下辺の黒模様化を事前に阻止しようとします。
白56まで下辺の模様化を阻止して右下白とも連絡をはたし、白がうまく立ち回っているようにも見えます。
しかし、その間に黒は51、59の大場に先行しています。
黒番で簡明に勝ちを目指す秀策の打ちからは、我々アマチュアには理解しやすいお手本といえるでしょう。
ここまで、AIの一手(無料AIソフト)の評価値は約9目ほど黒リードです。
両者力技の応酬
黒61ツケ、白62サガリ、黒63ツッパリ、白64ツケ、黒65デと、ここから戦いが激化し始めました。
力の雄蔵に対し、秀策も力で対抗しています。
しかし、錯覚だと思われますが黒97は打ちすぎでした。
ここで形勢不明となりました。
形勢不明のヨセ勝負
秀策はうまく中央をまとめましたが、白146にまわり、形勢不明の激闘が続いております。
雄蔵は、秀策戦においては無類の強さを発揮します。
形勢不明のまま、アマチュアにはほとんど理解できないヨセの勝負に突入です。
ヨセの手筋
黒187は常用のヨセの手筋です。
攻め取りを狙っています。
攻め取りとは、取っている相手の石を、自陣に手を入れて打ちあげなければならないようにする戦法をいいます。
自陣に手を入れるということは自陣を自ら減少させることになります。
「左下隅の白地は10目となりました」と石田芳夫先生のコメントです。
コウ材は白有利
白220に対して、黒はコウを仕掛けられないように黒221とガッチリツナギます。
セキよりもコウ
黒221の参考図
黒221の参考図
実戦図黒221で黒1とすると左下隅はセキになります。
しかし、白2とコウを仕掛けられます。
コウ材は白有利なので、秀策はセキの10目より、コウを仕掛けられないことを選びました。
この碁は266手まで打たれ、黒番の秀策の1目勝ちとなっております。
このように秀策の先番を苦しめる雄蔵を後に本因坊秀策は、天保四傑(安井算知、阪口仙徳、伊藤松和、太田雄蔵)の中で筆頭の実力であると認めておりました。
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