第62期十段戦第2局
芝野 虎丸(十段)に井山 裕太(王座)が挑戦する第62期大和ハウス杯十段戦五番勝負の第2局が3月25日に「日本棋院」で行われました。
十段戦は、囲碁の七大タイトルのひとつであります。七大タイトル以外のNHK杯や新人王戦なども「タイトル」でありますので、タイトル数には含まれることになります。
七大タイトルの序列は次のとおりです。
2024年2月現在の七大タイトルの保持者は次の3名であります。
一力 遼 (棋聖、天元、本因坊)
芝野 虎丸(名人、十段)
井山 裕太(王座、碁聖)
現在の三強であります。
ゆえに、タイトル戦もこの三者の組み合わせが多くなっています。
昨年は名人戦で芝野さんと井山さんは激突しております。その時は、4勝2敗で芝野虎丸さんが名人位を防衛いたしました。
今回は、芝野虎丸(十段)に井山裕太(王座)が挑戦いたします。
芝野 虎丸さんのご紹介
芝野虎丸さんは1999年生まれの24才。
芝野さんは、入段から史上最短での全棋士参加棋戦優勝、史上最年少での七大タイトル獲得、名人戦リーグ入り、本因坊戦リーグ入りするなど、たくさんの最年少記録を打ち立て、デビュー当時から注目の逸材でありました。
なかでも、2019年に史上最年少(19才11か月)で名人を獲得後、すぐに井山さんから王座のタイトルまで奪い、20才で二冠を達成したときには碁界に衝撃が走りました。
名人、王座、十段など、数々のタイトルを獲得し、総タイトル獲得数は現在11と三強の一角として、活躍されております。
虎丸さんは、「ヒカルの碁」のファンだったご両親の影響で、5才くらいのころから囲碁を始めたとありました。また、一力遼さんや藤沢里菜さんといっしょの「洪道場」の出身であります。
虎丸さんはデビューがとても華々しかったのに比べ、最近は少し伸び悩んでおられるような印象を私は受けます。世界をも狙える逸材と信じておりますので、もう一段の高みを目指してがんばっていただきたく思っております。
井山 裕太さんのご紹介
井山裕太さんは1989年生まれの34才。
20才で名人位についてからは、破竹の快進撃を続け、井山1強時代を築きました。
日本囲碁史上初の七冠(棋聖、名人、本因坊、王座、天元、碁聖、十段)独占を2度も達成しております。
また、年間グランドスラム(その年の七大タイトルをすべて独占)という快挙も達成し遂げております。
日本囲碁史に燦然と輝く記録であることは、間違いありません。
一時代を築いた井山さんでありますが、30才を超え、現在は、令和三羽ガラス等、新時代の挑戦者から、必死の防戦を繰り広げております。
井山さんは5才のときにテレビゲームで囲碁を覚えたとのことです。
アンケート総投票数は5票
先に実施した投票アンケート(応援するのはどっち?)の結果をお知らせいたします。
投票総数:5票
芝野虎丸さんを応援:2票(40.0%)
井山裕太さんを応援:1票(20.0%)
どちらもがんばれ!:2票(40.0%)
ご投票していただいたみなさま、ありがとうございました。
黒:芝野虎丸、白:井山裕太
一間ジマリが二つ
黒5、白8と両者一間シマリです。
私は小ゲイマシマリばかりで、この一間シマリはほとんど打ったことがありません。
スソがスースーしているのが、どうも気になるのです。
黒7の大ゲイマ受けは、今までほとんど見ることはありませんでしたが、今後流行するかもしれません。
私も実戦で使ってみようかと考えております。
定石外れのアテツギ
黒19のアテから21のツギは、定石外れ(ハメ手)とokao研究所で見たような記憶がおぼろげながらあります。
黒19とアテずに単に21とツグのが定石とされております。
白26を28とカケツグと白ハマリとなります。
ただ、初見では、実戦の白22、白26を打てる方はほとんどいないと思われます。
実戦のように黒27と切られても白3子を捨て、先手を取って大場に廻れば、白に不満はありません。
黒は三子取って厚いのですが、この厚みを働かすことが難しいのです。
右辺はスソが空いていますし、下辺は、ノゾキなりなんなり、キカすことができますので、容易に消すことができます。
白が若干、ポイントを取ったように思います。
手順前後
白54のシチョウアタリが評価値を下げました。
絶芸(最強のAI)の図を次にごらんください。
絶芸の参考図
絶芸は白54とアテを打ってから白56のシチョウアタリを打ちました。
手順の大切さで、実戦だと55と逃げてくれませんでした。
手抜かれた黒69
白72で白三子を助け出し、黒79の包囲を待って白82から動き始めました。
コウがらみになりましたが、白116まで黒5子を取って、白は大いばりで生きてしまいました。
黒79の包囲が意味なし芳一になってしまいました。
この碁は190手まで打たれ、白番の井山さんの中押し勝ちとなっております。
芝野さんがいいところなく土俵をあっさり割った感があります。
これで、十段戦五番勝負は1勝1敗の五分となりました。
注目の第3局は、4月4日に長野県大町市「ANAホリデイ・インリゾート信濃大町くろよん」
楽しみですね。
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コメントありがとうございます。
大切に読ませていただきます。