瀬越憲作先生のコメント
「秀策先生は、強力と読みの深さを奥深く蔵して、碁の複雑性を簡明にしている」
石田芳夫先生のコメント
「秀策先生の布石の骨子は、局面を簡明化し、先着の効を確実に維持させるところにある。これで勝てると見れば無理をせず、一番わかりやすい手を打つ」
李昌鎬(韓国の大棋士)のコメント
「私は一生かけても秀策先生には及ばないだろう」
瀬越憲作先生、石田芳夫先生のコメントにあるように
「碁の複雑性を簡明にしている」
「勝てると見れば無理をせず、一番わかりやすい手を打つ」
これが本因坊秀策の碁ではないかと思われます。
そうであれば、我々アマチュアとって最高のお手本となるのではないでしょうか。
本因坊秀策は「ヒカルの碁」の影響もあり、日本で特に有名な棋士のひとりとなりました。
これより、しばらく、本因坊秀策の碁を並べてみたいと思います。
黒:本因坊秀策、白:伊藤松和
実戦図:白8まで
棋譜再生
実戦図:白8まで
黒:本因坊秀策、白:伊藤松和
お城碁、寛永三年、十一月十七日、十八日とあります。
寛永三年一月一日を西暦にすると1850年2月12日だとのことです。
ウィキペディアによると秀策のお誕生日は、文政12年5月5日(1829年6月6日)とあります。
計算が面倒ですが、現代の数え方で秀策21才ですか。
秀策のお城碁の第4局であります。
秀策のお城碁の成績は、19勝無敗ですが、この第4局が一番苦戦した局と言われております。
対する伊藤松和は、秀策より28才年長の同門の大先輩であります。
白4と空き隅を占めたので、秀策流にはできませんでした。
白8のボウシは、堂々とした気合の一手です。
好手、白12
この白8のボウシに黒9のコスミ、白10のツケは、どうやら当時の定石のようです。
黒11は12とハネるのが当時の定石のようですが、秀策は黒11と変化しました。
白12の受けは良い手ですね。この手は覚えたい一手です。
黒11のカケを石田芳夫先生は「疑問手」とコメントされております。
そして、黒15から大斜定石が始まります。
大斜定石は江戸時代に開発され発展いたしました。
大斜定石の基本形
大斜定石の基本形の進行です。
白30で32が定石ですが、松和は白30の右下隅のシマリを優先いたしました。
この手にAIの一手(無料のAIソフト)は「素晴らしい一手」と評価いたしました。
石田芳夫先生は「松和の好判断であった」とコメントしております。
黒31は大場ですが一路遠慮しました。この手で32もあったと思います。
黒33に白34と受けましたが、その左上のカドの方が黒に迫っているように思えます。
白模様出現
私は黒35は全く気がつきませんでした。
打たれて見ると大きく見えました。
黒37、39の間に、白38、白40と白模様が形成されました。
ここまで、松和が2目ほど評価値を縮めておりますが、コミ無しなので黒が4目ほどリードの形勢であります。
白模様に突入する秀策
白44のツケも現代風で機敏であります。
秀策は黒47、51と白模様に突入を図りました。
秀策の碁は、先番で簡明に打って勝つが信条ですので、黒47はすでに容易ならざる形勢と判断しているのでしょう。
一難去ってまた一難
実戦図:白66まで
棋譜再生
実戦図:白66まで
黒53、55と秀策の好手の連打で、黒59とワタることができ、突入した黒一団は安全となりましたが、今度は左辺の黒7子が攻撃を受けることになりました。
白64、黒65の交換をして白66は気持ちのよいところです。
コミ無しでの形勢は、白66まで、黒が2目ほどのリードとなっております。
1回目のコウ争い
黒73から第一弾のコウ争いが始まります。
黒は93と右下隅で地を稼ぎ、白94のヌキと換わりました。
2回目のコウ争い
黒108から第二弾のコウ争いが始まります。
黒139をAIの一手(無料AIソフト)「敗着」△三目と評価しました。
「ただ度胸がいいだけで打てる手ではない。気迫の一手」と石田芳夫先生は評しております。
松和は秀策の気迫に押され、白140とコウを継続いたしました。
どうやら、ここはコウを解消するほうがよかったようです。
石田先生の参考図
このような大きなフリカワリの図を示されました。
プロの碁では、このような大きなフリカワリがよく現れます。
これで形勢は「極微」と石田先生は、評されておりました。
コウの決着
延々と続いたコウ争いですが、黒249と二眼を作って終わりました。
白250で4子を取りましたが、黒251のキリが手筋です。
白252に黒253のツケが、またまた手筋です。
この辺りでは、黒の勝ちは両者読み切っているようです。
この碁は、342手まで打たれ、黒番の本因坊秀策の3目勝ちとなっております。
この碁は、古来より名局とされおります。
蛇足の図
白252の参考図
白252の参考図
本来は、白1と下からアテたいところなのですが、黒2と白のダメを詰めると、黒4の出が成立いたします。
取り切られていた黒4子が生還しては、オワですね。
(。・(エ)・。)ノ↓ランキング参加中、ポチ応援をいただけると励みになります。
マイナビ 天頂の囲碁7 Zen(対応OS:その他) 目安在庫=△ |
基本布石事典(下巻)新版 星、小目、その他 [ 依田紀基 ] |
ヒカルの囲碁入門 ヒカルと初段になろう! [ 石倉昇 ] |
ひと目の詰碁 (マイナビ囲碁文庫) [ 趙治勲 ] |
0 件のコメント:
コメントを投稿
コメントありがとうございます。
大切に読ませていただきます。