韓国 女流棋聖戦 第1局(2024年12月3日)

2024/12/04

01.タイトル戦

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こんにちは。こんばんは。

ご訪問いただきありがとうございます。

管理人の柿門です。(。・(エ)・。)ノ

今回は、「韓国 女流棋聖戦 第1局(2024年12月3日)」をご紹介いたします。

湯飲み格言「取ろう取ろうは取られのもと」


韓国 女流棋聖戦

仲邑 菫さん(15才)が、武者修行で今年3月に韓国棋院に移籍して、早くもメジャータイトル戦に挑戦です。

韓国の女流棋聖戦にて、現在女流世界一の崔精(チェ・ジョン)九段との三番勝負です。

女流棋聖戦は、優勝賞金5000万ウォン(約550万円)で韓国で賞金額が最も高いタイトル戦です。

昨日(2024年12月3日)第1局が行われ、見事に仲邑 菫さんが勝利いたしました。

三番勝負ですからあとひとつ勝利すれば、女流棋聖のタイトル獲得です。

仲邑 菫さんは、日本での初タイトルがドコモ杯女流棋聖戦なので、ゲンのいいタイトル戦になるといいですね。

それでは、第1局をご紹介いたします。

女流棋聖戦三番勝負第1局

持ち時間:各1時間

黒:崔精(九段)、白:仲邑菫(三段)


黒:崔精、白:仲邑菫

実戦図:白12まで

棋譜解説図(数字、記号入り)
棋譜再生

黒は金毛流、白は二連星の布石で始まりました。

仲邑 菫さんは若いころから(今でも十分若いですが・・)、ダイレクト三々のようなAIが打つような手を打ちませんでした。

AIによる研究はされていると思いますが、自分の手を打ちます。そこが彼女の最大の魅力です。

白6の一間高ガカリから黒7、そして白12まで。昔懐かしきツケヒキ定石が現れました。

アマチュアの対局であれば、今でも一番人気の定石だと思いますが、プロの対局では、久しぶりに見た気がします


金毛流の打ち方

実戦図:白30まで

棋譜解説図(数字、記号入り)
棋譜再生

実戦図:白30まで

ツケヒキ定石への黒15のツメは、次の打ち込みが相当に厳しいと昔の教科書の教えでした。

しかし、世界最強女子の崔精さんは、打ち込みではなく、黒17のカケから攻めていきました。

金毛流の右上隅シマリと呼応した黒17カケだと思います。これは、絶芸(最強AI)と一致しております。

対して、白18のカタツキも絶芸先生と一致しております。

白22のハネに対して黒23受けが少し評価値を落としました。

絶芸先生はキル手を示していました。

白30まで。白が若干ポイントをあげたようです。


自然な一手にも検討の余地

実戦図:黒71まで

棋譜解説図(数字、記号入り)
棋譜再生

実戦図:黒71まで

白70で黒3子を制し、この白一団は安定して一段落。黒71コスミまでの絶芸の評価値は、白31.4%となっており、黒が若干のリードの局面であります。

黒33ツケに白34ノビは自然な一手です。

黒33までの評価値は白91.1%、白34までの評価値は、白61.1%です。

???ですよね。

白34では35を示していました。ここが最大なようです。戻って黒33でも絶芸先生は、35を示していました。

黒37の一間トビに、白38の一間トビは自然な一手です。

次の黒39のトビマガリは、形がきれいな一手であります。

黒37までの評価値は、白61.7%。

白38までの評価値は、黒61.1%。

黒39までの評価値は、白60.4%。

と白黒白と入れかわっております。

???ですよね。


絶芸の白番の厳しい差し手争い

白38の絶芸の参考図:白38~黒47まで

棋譜解説図(数字、記号入り)
棋譜再生

白38の絶芸の参考図:白38~黒47まで

絶芸先生は、実戦の白38一間トビで、上図の白38コスミツケを示しました。以下黒47まで。

実戦に比べて、右上白の大石が若干のゆとりがあります。また、左上隅に46と先着しております。

この図で、白61.7%であります。


絶芸の黒番の厳しい差し手争い

黒39の絶芸の参考図:黒39~白48まで

棋譜解説図(数字、記号入り)
棋譜再生

黒39の絶芸の参考図:黒39~白48まで

絶芸先生は、実戦の黒39トビマガリで、上図の黒39ノゾキを示していました。

連続の黒41ノゾキから黒43、45と強引に封鎖しました。

この図で、黒61.1%であります。


絶芸先生の構え方指南

実戦図:白106まで


実戦図:白106まで

黒優勢で局面が進んでおりましたが、左上隅、黒83、85、87が温くここで互角の形勢に戻りました。

白106までの絶芸の評価値は、黒45.5%となり、半目を争うヨセ勝負となりました。

ところで、白106のケイマは、現代の打ち方で昔は、コスミと一路控えていました。

すでに終盤ですので、私はここでは、昔のコスミの方が良いのでは?と考えて、絶芸先生にお尋ねしたところ、絶芸先生は、無言で白Aを示しました。

白Aの形はインプットしたい手ですね。


最高難度のヨセ勝負

実戦図:白182まで


実戦図:白182まで

黒129、131と左下隅に、いやらしく手をツケていきました。

これはしょうがないところなのですかね。

ヨセは本当に分からないです。

時間が短い碁とはいえ、トッププロが間違えるのですから、アマチュアが理解できるわけがありません。

白152までの評価値は、黒89.1%

黒153までの評価値は、白74.3%

上辺ワタリより、左下隅にぽっかり出来た白地が大きかったようです。

黒155までの評価値は、白73.3%

白156までの評価値は、黒51.3%

と目まぐるしく数値が変わりますから、繊細な半目勝負が続いているということでしょう。

黒179とアテた手が一瞬評価値を大きく落としましたが、白180ツギとあいさつしたため、評価値は互角に戻りました。

白180では、M7(白140の下)を絶芸先生は示していました。

そして、黒181が大きく評価値を落としました。

白182と押さえて、白97%となりました。

黒181では、182とハネ出すのが手筋で、手順に黒1目を助けるのが大きかったようです。


黒237が敗着

実戦図:白242まで


実戦図:白242まで

黒181以降、評価値的には白95%以上で進行していましたが、細碁であることには違いありません。

白226が少し評価値を落としました。

黒231までの評価値は、白92.1%

白232ツギの評価値は、黒57.9%

ここで、形勢が振出しに戻りました。

白234までの評価値が、黒54.6%

黒235までの評価値は、白99.3%

白236までの評価値が、黒59.9%

黒237までの評価値は、白92.4%

200手を超えての半目勝負ですから、最高の熱戦譜です。

結果的には、黒237が敗着となりました。


絶芸先生の黒の勝ち筋

黒237の絶芸の参考図:黒1~黒7まで

棋譜解説図(数字、記号入り)

黒237の絶芸の参考図:黒1~黒7まで

半目勝負ですから、微妙な手順が大切となります。

黒1を利かして、黒5から白の二眼を作りを強要して、先手で左下隅に手を戻すのが正解だったようです。

この参考図で、黒59.9%ですから、やはり半目勝負です。

実戦は、右下隅と左下隅のフリカワリとなりましたが、ここで勝負が決まったようです。


絶芸先生の白の勝ち筋

白236の絶芸の参考図:白1~黒10まで

棋譜解説図(数字、記号入り)

白236の絶芸の参考図:白1~黒10まで

菫さんの白236では、上図の白1を示しました。コウ残りです。

黒はかまっていられずに、黒10までヨセていますね。

この図で、白99.3%です。

このように、唯一人間が計算できる(理解できる)と言われていたヨセが、これほど難しいのが囲碁の複雑さを示していると言えるでしょう。


半目勝ちの中押し勝ち

終局図:白258まで

棋譜解説図(数字、記号入り)
棋譜再生

終局図:白258まで

白258(N11)が最終手です。(図は3桁表示できず、58と表示されています)

あとは、ダメを詰めるだけです。

崔精さんは、ここで投了いたしました。

日本では、古来から、ここまで打ったのなら、たとえ100目違っていても作るのがマナーとされてきました。

日本の柔道が世界で行われるようになって、ルールから変わっていったように、世界のスポーツとなった囲碁も日本の常識が通用しなくなったようです。

作れば、白の半目勝ちでしたが、158手で、白番の仲邑 菫さんの中押し勝ちとなっております。

三番勝負を先勝して優位に立ちましたが、お相手は女流世界一の崔精さんです。

これで、互角かもしれません。

注目の第2局は、12月9日に行われます。

楽しみですね。


  • 総譜は、こちらより、つぶや棋譜2 Viewerで、ご確認ください。
  • 手順は、図の左下にある青文字の「棋譜再生」でご覧いただけます。
  • つぶや棋譜2 Viewer左上にある「自動再生」にチェックで再生致します。
  • つぶや棋譜2 Viewer碁盤の下にある「NUM」で手順が表示されます。

  • 最後までご覧いただき、ありがとうございました。
    よろしかったら、ご感想などをコメントでお聞かせください。



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