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管理人の柿門です。(｡･(ｴ)･｡)ﾉ
今回は、「丈和、米蔵、十番碁その１」をご紹介いたします。
四宮米蔵の評価
藤沢秀行先生が、並べることを勧める棋譜は、本因坊丈和と真剣師の四宮米蔵との十番碁でした。
藤沢秀行先生は、この十番碁には名局が何局もあるとし、米蔵を現代の九段に劣らない実力と評価しております。
本因坊丈和は、自選打碁集である「国技観光」に、米蔵との対局棋譜11局の全てを載せています。このことは、丈和もまた米蔵の碁を認めていると言えるでしょう。
高木祥一先生は、「力のない専門家との打碁よりも、魂をこめて打った素人との二子局を重視した丈和の気持ち、理解できるような気がする。」と述べられています。
日本の国技である囲碁
本因坊丈和の自選打碁集である「国技観光」の国技とは、「囲碁」のことです。
とても大切なところなので、もう一度言います。
国技とは「囲碁」のことです。
1626年に御城碁がはじまり、それ以来、囲碁は、日本の国技として発展していきました。
200年前の日本人は、丈和のように囲碁は、国技との認識でありました。
そう、囲碁は国技だったのですよ。
みなさん、知っていらっしゃいましたか？
日本棋院は、2020年になって慌てて、次のように定款変更を行っております。
棋院の目的を記す、定款第3条
「我が国の伝統文化である棋道」を
「我が国の国技であり伝統文化である棋道」
に改めました。
観光とは旅行するということではなく、「光を観る」です。
「国技観光」とは、「自分の碁に囲碁の光を観る！」ですか。
自分の打碁集に自信たっぷりな、すてきなタイトルですね。
丈和34才、米蔵52才。
丈和は、当時六段でありましたが、後に「米蔵と対局した文政時代の頃が自分の全盛期だった。」と振り返っています。
それに比べると米蔵は全盛期を過ぎていたのかもしれません。
この十番碁は、米蔵の体力を考慮してか、すべて一日で打ちきったとありました。
二子：四宮米蔵、本因坊丈和、十番碁第１局、1820年（文政三年）11月28日
二子：四宮米蔵、本因坊丈和
実戦図：黒10まで
棋譜再生
実戦図：黒10まで
黒６の大ゲイマ受けは、当時の一択の定石です。
この手について意見することは、時代を否定することになるのでいけません。
上手の白７の大斜ガケを無視して、黒８、10と早くも攻撃態勢に入ります。
よほどの自信と肝が据わってないと、なかなかこうは打てないとしたものです。（ネット碁なら別ですが）
真剣師のキリ黒18
実戦図：黒18まで
棋譜再生
実戦図：黒18まで
私はこれまで大斜ガケに対して、手抜など考えたこともなかったので、この形、全く知りませんが、黒18のキリは真剣師のキリだと思います。
並みの打ち手であれば、ここで勝負がつくかもしれません。
しかし、今回の相手は専門家。
それも全盛期の丈和にはたして、黒18のキリが通用するのかワクワクしてきますね。
前図の黒22のアテを上図の黒22にノゾキにした変化図です。
たとえ後手でもこのように工夫するものかと高木祥一先生の解説です。
前図よりこちらの図の方が、黒は良いと思います。
実戦図：黒32まで
棋譜再生
実戦図：黒32まで
実戦図：白57まで
高木祥一先生は、「十番碁全体を通してみて、この碁は不出来。米蔵の本来のパワーが十分に発揮されているとはいえない。」と述べられています。
開幕初戦の緊張があったのかもしれませんし、闘志が空回りしたのかもしれません。
白51の三々が大きく、白57にまわって、白が打ちまわしています。
黒34の変化図
実戦、黒34の変化図
実戦の黒34は、黒１にトビ、白２なら黒３とこちらからアオリたいと高木祥一先生の解説があります。
実戦：黒44の変化図
実戦：黒44の変化図
実戦の黒44は、黒１、３とハネツギを打って隅の三々を守りたい。
黒７までなら黒優勢との高木先生の解説があります。
両変化図とも、我々にも分かりやすい解説で、ごもっともごもっとと納得させられます。
戦いにつぐ戦い
下辺から、黒66と打ち込んで戦いは右辺へと拡大しました。
真剣師の打ち方は、局面をより複雑にして、翻弄しようとしています。
相手が専門家でなければ、すぐに潰してしまいそうな打ち方です。
黒174の参考図
黒174の参考図
実戦は黒174（N13）とアタリにツイだのですが、黒AをAIの一手（無料のAIソフト）は示していました。
これなら、まだ黒が有望だったかもしれませんが、私は、戦いの局面になるとよく分かりません。
全体を通して、全盛期の丈和に対して、とても良く戦っていると思います。
この碁は266手まで打たれ、白の９目勝ちとなっております。
高木祥一先生は最後に次のように書かれております。
第一戦はまず、お互い腹のさぐり合いという意味もある。
第二局以降、肩の固さがほぐれたか、毎局息もつかせぬ、はげしい戦いが繰り広げられて行く。
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大切に読ませていただきます。