瀬越憲作先生のコメント
「秀策先生は、強力と読みの深さを奥深く蔵して、碁の複雑性を簡明にしている」
石田芳夫先生のコメント
「秀策先生の布石の骨子は、局面を簡明化し、先着の効を確実に維持させるところにある。これで勝てると見れば無理をせず、一番わかりやすい手を打つ」
李昌鎬(韓国の大棋士)のコメント
「私は一生かけても秀策先生には及ばないだろう」
瀬越憲作先生、石田芳夫先生のコメントにあるように
「碁の複雑性を簡明にしている」
「勝てると見れば無理をせず、一番わかりやすい手を打つ」
これが本因坊秀策の碁ではないかと思われます。
そうであれば、我々アマチュアとって最高のお手本となるのではないでしょうか。
本因坊秀策は「ヒカルの碁」の影響もあり、日本で特に有名な棋士のひとりとなりました。
これより、しばらく、本因坊秀策の碁を並べてみたいと思います。
黒:本因坊秀策、白:安井算知
お城碁、寛永二年十一月十七日(1849年)とあります。
寛永二年年一月一日を西暦にすると1849年1月24日だとのことです。
ウィキペディアによると秀策のお誕生日は、文政12年5月5日(1829年6月6日)とありますので、現代の数え方だと秀策20才となります。
この碁は秀策がお城碁に初出場したときのものです。
お相手の安井算知は「天保四傑」の一人です。
秀策より19才年長で、秀策の師である本因坊秀和との対局棋譜を数多く残しております。
同じく天保四傑の一人である太田雄蔵とはライバル関係にありました。
悪力と言われるほど力碁の棋風でありました。
黒:本因坊秀策、白:安井算知
黒1の小目に白2と右下隅を占められたとき、黒3の位置に小目するのは、後に本因坊秀哉が愛用した布石です。
白6からは当時流行の大斜定石です。
黒7に白8とハネるとツケノビと同じような簡明形になりますね。
黒13まで定石です。
左下隅が空いてるのに白14のカカリにまわりました。
これは当時の考え方であって、現代では空き隅優先が良いとされております。
現代にない高いカカり
黒15の目外しは黒5とのバランスを考えてのものでしょう。
目外しに対して白16と高くカカるのは、昭和のころまで定石書にありましたが、地に甘いので17へのカカりが現代では普通です。
白20は、黒5の石を攻める意図だと思われますが、力碁の棋風とはいえこれは打ちすぎでしょう。
バランスの白30
白24と白26と力をため、左辺黒5の石の攻めをみています。
黒25のタケフは本手なのでしょう。
白30が形を整える好手です。
AIの一手(無料AIソフト)は神の一手と評価しました。
力強い白44
黒31の大ゲイマカカリも下辺のバランスを考えてのものでしょう。
黒33のツケに白34とハネましたが、ここは35とハネ出す方がよかったようです。
白44と三間に開きましたが、これも力強いです。
現代ではAI推奨の小ゲイマカケ(Q15)が良いと思われます。
しかし、ここまでの形勢は互角です。コミ分黒が優勢となっております。
黒51のナラビ
黒45のコスミは形の急所です。
黒51のナラビを私は実戦でなかなか打てないです。
このように棋譜を見て「なるほど」と思うのですが、実戦になるとすっかり忘れております。
白52から算知は満を持して攻めに入ります。
白52まで黒6.5目ほどリードです。
ちょうどコミ分です。
秀策の妙手
白54、56と直線的な算知の攻めに対して、黒57のノゾキが秀策の返し技です。
黒63までしっかりと生き、算知の攻めは空振りとなりました。
ここまで黒9.5目のリードとなりましたので、これから秀策は簡明に勝ちを目指します。
石田先生の参考図
白58と遮ると黒59を利かして黒61としっかりとツギます。
やはり白の攻めは空振りとなります。
店じまい
黒75で黒に嫌味な所がなくなり、俗にいう「店じまい」です。
黒78から黒81と丁寧に受けます。
黒91、95と白地を削減して黒地を増やします。
黒99は「もう負けませんよ」と言ってるような感じます。
この碁は267手まで打たれ、黒番の本因坊秀策の11目勝ちとなっております。
石田芳夫先生のコメント
「算知は途中から力を出そうにもその機会がなかった。白52以下など、算知がかけた勝負手に違いないのだが、黒57という妙手で応戦され、なんの効果もなかったのである」
「初出場のお城碁を、秀策はのびのびと、しかも堅実に打ち、完勝で飾った」
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コメントありがとうございます。
大切に読ませていただきます。