第10回黄竜士杯世界女子囲碁選手権
2024年6月19日~28日に中国の江蘇省姜堰で、第10回黄竜士杯世界女子囲碁選手権が行われました。
日本からは、藤沢里菜さんと上野愛咲美さんのお二人が日本国内予選を勝ち抜き、日本代表の座を勝ち取り、大会に出場いたしました。
第10回黄竜士杯世界女子囲碁選手権
主催:中国囲棋協会
優勝賞金:30万元
中国ルールで、コミは7目半です。
持時間は各2時間、秒読み60秒5回。
参加選手8名による、7回戦の総当たりのリーグ戦です。
参加選手の内訳は、中国選手4名、韓国選手2名、日本選手2名です。
最終の成績は次のとおりでした。
勝ち点12(6勝1敗):周泓余七段(中国)
勝ち点10(5勝2敗):上野愛咲美五段(日本)
勝ち点8 (4勝3敗):李赫五段(中国) 李小渓五段(中国)
勝ち点6 (3勝4敗):藤沢里菜七段(日本) 許瑞玹四段(韓国)
勝ち点4 (2勝5敗):陸敏全六段(中国)
勝ち点2 (1勝6敗):崔精九段(韓国)
上野愛咲美さんが、5勝2敗の成績で、準優勝を飾りました。
上野愛咲美さん。おめでとうございます。
世界戦での日本人選手の活躍は、とても嬉しいものです。
藤沢里菜さんも勝ち点6は、立派な成績だと思います。
里菜さんは、許瑞玹四段との黒番半目負けが、勝負の分かれ目になったような気が致しました。
優勝した周泓余さんに唯一の黒星をつけたのが、上野愛咲美さんです。
その対局を振り反ってみましょう。
黒:上野愛咲美、白:周泓余
実戦図:黒5まで
棋譜再生
実戦図:黒5まで
黒5まで、ありふれた普通の布石のように見えますが、私はこの黒5までの布石を経験したことがありません。
私が黒番であれば、黒5で小ゲイマシマリ、中国流、二連星へのカカリ、三々入り、などで、黒5の一間シマリは打った経験がありません。
私が白番であれば、二連星はよく打ちます。
しかし、お相手の方も、この黒5の一間シマリを打つことはなかったです。
アマチュアの碁では(私の対局経験)一間シマリは、ほとんど見かけないと思います。
たんたんと進行
実戦図:白24まで
棋譜再生
実戦図:白24まで
ところで、コミ7目半の影響か、第一打の黒1まで評価値は、白63.5%となっております。
たんたんと布石が進行中であります。
白16、白24と黒の厚みを無効化する方針です。
次は黒番です。
次の一手を絶芸先生に聞いてみましょう。
絶芸の参考図
絶芸の参考図:黒1~白10まで
絶芸の参考図:黒1~白10まで
黒1.3のツケ二段に対しての白4の二段バネに黒5とガッチリツギました。
私は、ここでは手抜きが最善と教えられて、いつも、同じように打っていましたが、局面に応じて、黒5と素朴にツグのも良いのだと教えられました。
左下黒7、黒9と、急がず、慌てず、しっかりと守っています。
何かAIの手というと、人間には突拍子もない手ばかり想像してみますが、このように自然で分かりやすい手を示してもらえると、とても勉強になります。
参考図と実戦図の違い
実戦図:黒35まで
棋譜再生
実戦図:黒35まで
黒35までの実戦と先ほどの絶芸(最強のAI)の参考図は、似たような進行に見えますが、参考図と実戦図とでは、3目ほど実戦図が悪くなっています。
第2ラウンドへ突入
実戦図:黒65まで
棋譜再生
実戦図:黒65まで
左辺での小競り合いがおさまり、黒63、白64、黒65と局面は第2ラウンドへ突入です。
ここまで黒が逆転した場面もありましたが、黒65まで白が4目半のリードと絶芸は示しておりました。
黒63でも黒65でも、絶芸先生は次の手を示しておりました。
左上隅が大きかったようです。
絶芸先生の狙いの手
絶芸の黒63の参考図:黒1から白10まで
絶芸の黒63の参考図:黒1から白10まで
絶芸先生は、なんと!黒1と飛び込んでいきました。
黒3には反発できないのでしょう。
10手までしか示しませんが、左上から上辺をガラガラにしたら、気分いいですね。
非勢を意識した打ち方
実戦図:黒101まで
実戦図:黒101まで
白66、68が深すぎで、ここで黒に評価値が傾いたのですが、黒79と取り切った手では、黒82とハネツギでがんばる手段があったようです。
非勢を意識してか、上野さんは黒101とツケて真ん中を目いっぱい広げようとします。
勝負に出た上野さん
非勢の上野さんは、黒139、141と、左辺の白をトリカケにいきました。
上野さんは皆から「ハンマー」と恐れられているくらいですから、その攻めは強烈です。
そして局面は難解です。
もし、実況中継を見ていたら、ドキドキしながら、上野さんを応援したことでしょう。
このような局面をいつもの雑談形式ではなく、まじめな検討陣を交えての解説がある実況中継であれば、視聴率が取れると素人ながらに思えるのですが、いかがでしょうか?
白154で評価値が黒に傾きました。
黒には切断のキズがあるので、間違いなく打てば白にシノギがあるようですが、人間の対局で、また、早碁です。
正確に打つのは至難の業です。
この碁は185手まで打たれ、黒番の上野愛咲美さんの中押し勝ちとなっております。
優勝者に対して、勝利しての準優勝ですから、価値がありますね。
上野愛咲美さん、準優勝、おめでとうございます。
ところで、今大会の優勝候補の第一本命に押されていた、崔精(チェ・ジョン)さんの不調が気になる大会でもありました。(。・(エ)・。)ノ↓ランキング参加中、ポチ応援をいただけると励みになります。
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大切に読ませていただきます。