昔々のお話
昔々、あるところで、ネット碁を打っておりました。
私のはっきりとした勝勢でありました。
「早く投げてくれないかなぁ~」
唯一の泣き処が、自身の切れ負けでありました。
私の残り時間は7秒。
7秒で3手打たなければなりません。
それをしのげば、また、10分25手の考慮時間を貰えますので、一息つきます。
お相手が打ったら、即打てるように身構えておりましたところ、お相手が長考を始めました。
お相手が打つ手はAの一手で他に考えられない局面でした。
私は次の次の手を考え始めました。
お相手が打った気配を感じたので、次の手をマッハのごとく打ち下ろしました。
すると、私の目の前で、私の大石が忽然と姿を消してしまったのです。
「な… 何を言っているのか、分からないと思いますが・・」
「私も何をされたのか、わからなかったのです…」
なんと!
お相手は、Aと打たずに、私の大石をアタリしていたのでした。
そのアタリに対して私は、お相手の大石をぶち抜いてあげればよかったのですが・・・
「えーえー。そりゃぁね。私が悪いでやんすよ。あなたさまの手を確認してなかったわけですからね」
「しかしね、旦那ぁ。そこにアタリする意味が、あっしには、わからねーでござんすよ」
私は、心穏やかに投了ボタンをクリックしたのでした。
新人王は三浦太郎(三段)
2024年10月1日に第49期新人王戦第2局が行われました。
250手完、黒番の三浦太郎(三段)が藤井浩貴(三段)に半目勝ちし、三番勝負を二連勝して、新人王のタイトルを獲得いたしました。
三浦さん、新人王のタイトル獲得、おめでとうございます。
藤井さん、おつかれさまでした。
尚、新人王戦の出場資格は、予選開催年の9月1日時点で25歳以下、六段以下となっております。
痛恨の敗着
さて、この一局は、藤井浩貴(三段)には、とても辛い一局となってしまいました。
終局後、がっくりとうなだれ、しばらく顔を上げることができなかったそうです。
白236 白99.3%
黒237 白99.0%
白238 黒99.6%
結果、白238手目が痛恨の敗着となってしまいました。
黒Aと受ける一手
実戦図:白236(白1)まで
実戦図:白236(白1)まで
上図の白1が、実戦図の白236です。
絶芸の評価値は、白99.3%となっておりますが、大差ではなく、半目勝負です。
しかし、打つところはありませんので、ここからの逆転は通常はありえません。
白の半目勝ちは、動かざるものでした。
藤井浩貴(三段)は、白236に対して、黒Aと受ける一手ですから、次に白Bのハネを打とうと考えていたと思います。
黒237の絶芸(最強のAI)の参考図は次のとおりです。
絶芸の終局図も白半目勝ち
黒237の絶芸の参考図:黒1~白10まで
黒237の絶芸の参考図:黒1~白10まで
絶芸の参考図は10手までしか見ることができませんが、白10でぴったし終局となりました。
これで、白の半目勝ちです。
絶芸のみならず、誰もがこの図を思い描いて、白の半目勝ちと予想しておりました。
プロのヨミに入らない黒2
実戦図:黒237(黒2)まで
実戦図:黒237(黒2)まで
三浦太郎(三段)は、黒2(237)と打ったのです。
当然、白ツギに黒押さえで何事もないのですが、この黒2は意味がありません。
プロのヨミ(思考)に入らない手です。
藤井浩貴(三段)は、黒237を黒Aと思い込み、白B(白238)と打ったのではないかと想像されます。
後味の悪い一局
実戦図:白1(白236)~黒4(黒239)
実戦図:白1(白236)~黒4(黒239)
かくして、黒4(黒239)と打たれて、白1目を取られてしまいました。
白の半目勝ちが白の半目負けとなってしまいました。
上図の黒2がなんとも後味の悪い一局としてしまったように感じました。
(。・(エ)・。)ノ↓ランキング参加中、ポチ応援をいただけると励みになります。
マイナビ 天頂の囲碁7 Zen(対応OS:その他) 目安在庫=△ |
基本布石事典(下巻)新版 星、小目、その他 [ 依田紀基 ] |
ヒカルの囲碁入門 ヒカルと初段になろう! [ 石倉昇 ] |
ひと目の詰碁 (マイナビ囲碁文庫) [ 趙治勲 ] |
0 件のコメント:
コメントを投稿
コメントありがとうございます。
大切に読ませていただきます。