購買層が限られておりますので、出版してしばらくすると絶版になってしまいます。
ゆえに、ここでご紹介した棋書もすでに書店の店頭にはないかもしれません。
その点はご了承をお願いいたします。
著者:小林光一九段 独楽書房
その意味で本書の題名「小林流・必勝置碁」は、二子局なるがゆえに絶対必勝たり得るかは別として、「小林流」であることだけはたしかです。
第二部は、第一部の応用、実戦編です。ここでは、さるアマチュア高手との三番碁をとりあげ、解説、研究を試みました。
第三部は、古今の名人の二子の名局鑑賞です。
歴史に名を残したほどの名手が、二子置かせ、あるいは二子置いていかに戦ったか。
これら二子局の中に、古今の名人生涯の傑作があるとすれば、二子局の研究は決しておろそかにできないのを知ります。
1979年11月 小林光一
本書は、日本棋院出版のポケットシリーズと同じ大きさですので、気軽に読めます。
はじがきにあるように本書は三部構成となっております。
ご紹介するのは、第三部からといたします。
第三部には、二局が掲載されておりますが、その内の1局は、木谷実先生と大竹英雄先生の二子局なので、すでに当ブログでは紹介済でありました。
ゆえに残りの1局である、本因坊元丈と井上安節(幻庵因碩)との二子局をご紹介いたします。
十一世本因坊元丈は、後の名人である本因坊丈和の師匠であります。
八段準名人には、ライバルの安井知得と同時に昇段しており、囲碁四哲(いごしてつ)と称されています。
ちなみに囲碁四哲とは、元丈、安井知得、幻庵因碩、本因坊秀和の四名です。
井上安節(幻庵因碩)も後に八段準名人にまで昇り詰めております。
幻庵因碩と本因坊丈和との名人碁所争いは有名であります。また、秀策との「耳赤の局」でも知られております。
この対局時、井上幻庵因碩は22才で井上家の跡目として、お城碁初出仕であります。
段位は、当時五段ながらも実力は七段といわれ本人も「元丈先生に二子置けば、八、九十手でつぶしてみせる。」と友人間に公言していたとあります。
このお城碁では、丈和も初出仕でありました。お相手は元丈と並ぶ一方の棟梁である安井仙知(中野知徳)。元丈、仙知の時代から丈和、因碩の時代に移りかわろうとしていました。
二子、井上安節、本因坊元丈
棋譜再生
二子局、AIの一手(無料AI)は、19.3目黒リードから始まりましたので、これを基準に判断したいと思います。
白29まで、黒19.5目リードですから、全くの互角です。二子のハンデ分を守り切っております。
このあたりから、しばらく、黒番でAIの一手は、O2(黒6からのコスミ)を推奨しています。
安節の仕掛け
棋譜再生
黒36のツケと積極的に黒が仕掛けてきました。白37は三角してて辛い受けです。
この部分の折衝で黒は少しポイントを取ったようです。
白43は工夫した一手です。普通はその左にツケるところですが、現代では少し甘いとの評価に落ちついているようです。本書での小林光一先生もそれだと黒が簡明としています。
黒44と棒石にして46と足もとをさらったのも、まことに好調子。黒50も当然で、迫力満点の猛攻が続きます。と小林光一先生は、解説しています。
AIの一手は、黒44最良の一手、黒46神の一手(AI以上)、黒50最良の一手としています。
素人目ながらも黒50に回ったら気持ちよいですね。黒好調といえます。AIの一手の評価は、黒24.9目リードです。
取り掛けにいった黒72
この前後の数十手、安節の強襲につぐ強襲は目を見はるばかりですが、相手に太刀をふり回させてヒラリヒラリとかわしていく元丈の底力も恐ろしい。
今にも潰れそうで潰れない攻防が延々と続くのです。中央が厚くなり、安節は黒72と取り掛けに行きました。黒72までのAIの一手の評価は、黒20目のリードです。
攻めとシノギの名局
棋譜再生
以下は小林光一先生の解説です。
とうとう、黒96と白の4子を取ってしまいました。
かねての宣言どおりに100手足らずで潰したかというと、なかなかそうとも申しません。
白はいじめられながらも地を持って治まりつつあり、碁はいよいよ難解です。黒100までのAIの一手の評価は、黒15.5目リードとなっています。
小林先生の解説のとおり、太刀をぶんぶんとふり回す安節に対して、元丈はヒラリヒラリと交わしているかのような進行です。
この碁は、287手まで打たれ、黒の1目勝ちとなっております。
最後にこう書かれています。
この碁を負けなかったのは、さすがに後年の幻庵因碩だけのことはあります。
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コメントありがとうございます。
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