【「今日の格言」と「漢字の読み方」】
湯飲み格言「狙いすぎは大勢を失う」
漢字の読み方「三和土」(たたき):「さんわど」ではありません。
日本式住宅の玄関における靴を脱がせるためのスペースを「三和土」と言う。
購買層が限られておりますので、出版してしばらくすると絶版になってしまいます。
ゆえに、ここでご紹介した棋書もすでに書店の店頭にはないかもしれません。
その点はご了承をお願いいたします。
著者:依田紀基 発行者:野間佐知子 発行所:株式会社講談社
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依田ノート――すぐに役立つ上達理論 |
まえがき(要約)
最近は、囲碁が大変なブームになっています。その理由は、私も愛読していた人気漫画「ヒカルの碁」の影響が大きいでしょう。
インターネットが普及して、24時間、いつでも世界中の人たちと碁が打てるようになったこともあるでしょう。
こうやって世界中の囲碁ファンが増えているのは、大変にうれしいことです。
私たちプロ棋士も、囲碁ファンの人たちの役に立ちたいと、つねに考えています。
そこで、囲碁ファンの棋力向上のために少しでも貢献できればと考え、この本を刊行することになりました。私の前半生のすべてが凝縮されているといっても過言ではありません。
本書を制作するに当たっては数年間という歳月を要し、膨大な時間を費やしています。それだけ充実した内容になっていると確信しています。
囲碁で上達するのに必要な理論は、わずかに四つだけなのです。
まず、「最大の手を打つ」こと。
次は、「厚みに近づかない」ことです。
そして、「将来の可能性を大切にする」こと。最後は、「利き筋を決めない」ことです。
本書は、この四つの上達理論を基本にして、わかりやすく、実戦ですぐに役立つように考えて構成されています。大切なのは、何度も繰り返して復習することなのです。 そうするうちに、理解しているところは飛ばせるようになるはずです。
そして、図を見ただけで内容がわかるようになれば、相当に棋力が向上している証拠です。第四章の「基本死活」は、中盤を有利に戦うためには必要不可欠なので収載しました。
これも繰り返し繰り返し眺めて、形を覚えてください。ひとめ、形を見ただけで死活がわかるようになれば、間違いなく二目強くなります。これは、私が保証します。
読者の皆様が、囲碁を打ちながら人生を楽しんでくださるよう、心よりお祈り申し上げます。
2003年3月依田紀基
本書の構成
第1章:上達するための「布石」基本理論 1~18項目
第2章:実戦的「布石」講座 19~42項目
第3章:有利に戦うための実戦的「序盤」講座 43~76項目
第4章:二目強くなるための「基本死活」講座 77~100項目
2003年3月時点、依田先生は37才。
Wikipediaによると2003年は次のとおりです。
「第28期碁聖戦で小林光一に挑戦し3勝2敗で勝利、自身四度目の碁聖位に就くとともに、名人・碁聖の二冠となる。第28期名人戦でも、山下敬吾の挑戦を4勝1敗で退け勝利、名人位四連覇」
俗にいう全盛期です。まえがきにありますよう、本書作成には数年の歳月を要したとあります。
本書は、囲碁ファンの棋力向上を願い依田先生が精魂込めた全317ページにわたる囲碁理論書です。
間違いなくバイブルとなるでしょう。
何といっても第4章だけで二目強くなりますからね。
第2章:実戦的「布石」講座
(34)ハメ手を破って外勢を築く
棋譜再生
私は、白1ツケを実戦で打たれたことはありません。
ほとんどの方が経験がないと思いますので、まずはご紹介いたします。
本書より
「いわゆるハメ手で、置碁ではよく現れる。結論からいえば、白がやや無理筋で、正しく応じれば黒がよくなる。ところがそこはハメ手。受け方を間違えれば失敗する」
左失敗図:黒4まで、右失敗図:白3まで
棋譜再生 |
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左失敗図:黒4まで
三連星の勢力を考えて外勢を張ろうと、黒2と外からオサエるのは、白3と三々にノビ込まれ、黒4となる。
右失敗図:白3まで
また、手堅く黒2とサガるのも白3三々にノビ込まれる。
左図、右図、どちらも、黒がハマりとなります。
理由は、白1でただちに白3と三々に入ってくれば、黒は8と可能性の高い幅の広い方からオサエる一手だが、逆に狭い方からオサエたことになる。
細かいようだが、この違いは大きく、これは白のハメ手が成功したことになる。
失敗図:白7まで
棋譜再生
失敗図:白7まで
白は黒二目をトルことはできますが、黒は8のアテから10、12を決めて、14まで、十二分の外勢を築く。
これは黒が圧倒的にいい。
左正解図:黒12まで、右正解図:黒12まで
棋譜再生 |
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左正解図:黒12まで
白7とこちらをオサエると黒8、10と白1子を取り、黒12とトビ、白を二分します。
白はサカレ形で苦しい。
右正解図:黒12まで
「切違い一方ノビよ」の格言どおりの黒4ノビも正解です。
黒10、12と制して、白のハメ手は不発となりました。
第3章:有利に戦うための実戦的「序盤」講座
(73)隅のサバキ「一間ジマリ編」(2)
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黒の一間シマリに白1ツケは、現代でも打たれています。
白5に黒6ではツギが普通ですが、手抜かれて黒6と迫られました。
実は、私は実戦でこの黒6と迫られたらどうすのだろう?といつも思っていました。
幸いなことに、実戦でこの黒6を打たれたことはありませんが、対応策の検討は大切だと思います。
正解図:白15まで
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正解図:白15まで
白7とアテて、白9とツケるのが手筋です。
黒10と抵抗してくれば、白11とハネる。
黒12のアテに白13とアテて、黒14と取らざるをえず、そこで白15と出る。
こんなところを出られては、黒が明らかに悪い。
左正解図:白17まで、右正解図:白13まで
棋譜再生 |
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左正解図:白17まで
白9のツケに対して、黒10と突きあたるぐらいで、白は11とオサエる。黒12とアテて白13ツギに黒14とサガる。
そこで白15とハサミツケるのが手筋です。
もし、黒16と出ようものなら、白17がカケツギも兼ねて、黒は収拾がつかなくなります。
ゆえに、黒16と出ることはできません。
白15のハサミツケが手筋たるゆえんです。
右正解図:白13まで
白9のツケに対して、黒10とだまってヒケば、白11を利かして、白13と中央へ頭を出していく。
白9ツケが大きな利かしで、これは黒が悪い。
黒6フクラミへの対応
正解図:白9まで
正解図:白9まで
黒6で上図のふくらみへの対応策も大切です。
白7のアタリを利かしましょう。
白9とトンでこの白石は、相当に強い石です。
この形は、あとでAとサガる手があり、最低でも白Bのオサえが利きます。
白Bが利くとこの白の眼形が相当に厚いのです。
この形は白が打てるとの評価であります。
第4章:二目強くなるための「基本死活」
(88)急所の一着を覚える
テーマ図:黒4まで
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黒の変則シマリに白1と三々入りしました。
黒2コスミツケに白3突き当り、黒4立ちとなっては、白が生きるのは大変そうに見えます。
白が生きるための急所の一着を覚えましょう。
正解図:白13まで
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白5のヘコミが急所の一着です。
白6のハネと白7のハネを見合いにしています。
黒6とこちらを守るのであれば、白7とハネます。
黒8押さえに、白9とこちらのカケツギが急所です。
黒10と切られても白11と逃げることができます。
白9の効果ですね。
正解図:白11まで
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黒6とこちらを打つのであれば、白7とハネ、白9を決めて、白11のサガリで、テトリス型の生きです。
白5のヘコミが急所の一着として、覚えておきたい手筋でした。
(97)実戦で基本死活を応用(3)
実戦でよく現れる攻め合いの形です。
白先:いかに
正解図:白5まで
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白1のマガリが正解です。
黒2も最善です。白3アテに白5とハネます。
黒の次の手も手筋なので覚えましょう。
正解図:白13まで
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黒6のオキが手筋です。
白7の押さえは好手。
黒8、白9と外ダメを詰め合っての攻め合いとなります。
以下、白13まで。
黒は、白2子を取りました。
白は、黒5子を取りました。
黒も白も手筋の応酬でした。
形で覚えてしまいたい手筋ですね。
白の失敗図:黒12まで
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白の失敗図:黒12まで
前図の白7が好手で、上図のように白7とツグと攻め合いは、白の一手負けとなってしまいますので、ご注意を。
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コメントありがとうございます。
大切に読ませていただきます。