購買層が限られておりますので、出版してしばらくすると絶版になってしまいます。
ゆえに、ここでご紹介した棋書もすでに書店の店頭にはないかもしれません。
その点はご了承をお願いいたします。
「依田流 並べるだけで強くなる古碁名局集」著:依田紀基(マイコミ囲碁ブックス)
本因坊秀和vs太田雄蔵
黒:本因坊秀和 対 白:太田雄蔵(コミ無し)1846年2月22日
本因坊秀和は、秀策、秀甫の兄弟子であり、後の大名人、秀栄のお父さんであります。治勲先生がよく秀和を並べていたとのことです。
太田雄蔵は、天保四傑の一人です。「天保四傑」って、呼び方は、四天王みたいでカッコイイです。秀行先生や依田先生が好きな棋士として、太田雄蔵をあげています。目外しが好きで、常識にとらわれない棋風だとのことです。
第1図:黒1から白20まで
江戸時代の定石
右下隅の大斜かけの形は、当時の定石です。見ためは、お互い堂々としており、定石らしい形をしていますが、昭和になってからは、打たれなくなりました。
白20の二間高バサミは、当時、ほとんど見ることはできなかったそうです。高くハサむというのがなかったようです。この時代は、星や三々打ちもありませんでした。この二間高バサミに雄蔵のセンスが感じられます。二間高バサミは、昭和の時代に一時期、花形定石として大流行いたします。
第2図:黒21(黒1)から黒55(黒35)まで
現代と同じ手筋
白10、白12(19)は手筋です。現代で実戦でもよく現れます。黒15は、16とツナぐのが普通ですが、アテてひっくり返しました。突き抜いた白の形は、白不満ないとのことです。
白24は形の急所。黒35とノビこまれた時がこの碁のポイントと依田先生の解説です。
第3図:白36(白1)から白74(白19)まで
棋譜並べでリズムを楽しむ
白1のキリです。黒石がだぶっているのでカカえさせても惜しくないという考え方です。このツケノビの形のキリも実戦でよく現れる手筋です。
白9と出て、どっちにを切りを入れるかですが、依田先生は「取られてうれしい方を切る。」とおっしゃってます。
黒12で13とツイだら上部がピッタしに止まるので、黒12と取りました。白15とツケて白17に切るのがまた手筋です。
黒18には手抜きがまた手筋で2つのアテ(Q4とS2)を保留しています。白17のキリでR2とサガってしまっては、黒に19を先着されて遅れをとるとのことです。
依田先生の解説は、この白74(白19)までです。
棋譜並べはこのくらいの手数で十分だと思います。依田先生は、相当なレベルが必要ですが、本局で形、リズムを楽しみ、並べて、気持ちがいいと思えるくらいになってほしいとあります。私も早く気持ちがよいと思えるレベルになりたいものです。
この碁は、243手まで打たれ、白の太田雄藏の4目勝ちとなっております。
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