棋書の紹介その17(世界一わかりやすい打碁シリーズ山下敬吾の碁)

2023/07/22

02.棋書の紹介

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*初めにお断り
初めにお断りしておきますが、囲碁の本は、有名作家の小説にようにベストセラーになることはありません。
購買層が限られておりますので、出版してしばらくすると絶版になってしまいます。
ゆえに、ここでご紹介した棋書もすでに書店の店頭にはないかもしれません。
その点はご了承をお願いいたします。


  世界一わかりやすい打碁シリーズ 山下敬吾の碁」著者:山下敬吾九段 マイコミ

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*戦いを仕掛ける時の注意点と碁の勉強方法
山下敬吾九段は、まえがきでこのように述べています。
私の碁の基本は、「戦い」にあります。戦いの碁は、自分と相手の石の強弱の判断ができないといけません。
自分の石が強いと判断できたときに初めて戦いを仕掛けることができるのです。

私の普段の勉強方法は、棋譜並べが中心です。
最近の碁はもちろん、江戸時代の碁もよく並べています。
棋譜並べからは、手筋や形など、上達に役立つものをたくさん得ることができるのです。


アジア競技大会 男子団体予選、5回戦、2010年11月25日

このアジア大会にて、囲碁が、マインドスポーツとして初めて競技種目となり、男女ペア碁、男子団体戦、女子団体戦の3種目が実施されました。

黒:山下敬吾(日本)、白:古力(中国)(コミは7.5目です。)

黒:山下敬吾、白:古力


棋譜解説(数字、記号入り)
棋譜解説(数字、記号入り)

一昔前の布石

(左図:黒19まで)
コミは7.5目です。
コミが7.5目でもAIの一手(無料のAI)は、何も打たない状態で白が1.2目リードしていました。
黒1から白10まで、一昔前の布石って感じで懐かしさを感じます。
アマチュアの観点からすると、現代のダイレクト三々の布石より、この時代の中国流や三連星の布石を勉強するほうが上達には役に立つと思います。

*山下敬吾九段の解説
左下隅を白18と受けたので黒19と攻めました。
中央に厚みができれば下辺の黒模様が盛り上がります。


黒55を後悔

(右図:白56まで)

*山下敬吾九段の解説
黒43、45に白46はやや疑問だったと思います。
白46では、白4子を早逃げするべきだったと思います。
黒47が厳しく黒49と突きだす感触が良いので黒成功でしょう。黒51,53と白1子を飲み込めば、黒に不満はありません。
黒55と左辺に向かったのは疑問でした。
白56のツケが鋭く、黒はやや困っています。

黒33に対する白34(S9)のキリチガイが「神の一手」で、サバキの手筋でした。
普通に白36と受けるのは重いとのことです
そして、白38と根拠を確保し軽い打ちまわしです。
山下九段の解説のとおり、黒55は凡手でした。
白56のツケまでの形勢は、白2.7目のリードであります。

棋譜解説(数字、記号入り)
棋譜解説(数字、記号入り)

つらい黒67は悪手

(左図:白70まで)(右図:山下九段の参考図)

*山下敬吾九段の解説
黒67はつらいですが、しかたありません。
白70とツガれ、下辺の黒模様が荒れました。黒67で、右図、黒1とキルと、白2、4と反撃してくるでしょう。
白6とハネ出されては白不満です。

白56のツケからの下辺での攻防ですが、白62のハサミツケから評価値が黒に傾いています。
もしかしたら、山下九段は悲観しすぎていたのかもしれません。
上の解説にあるとおり、つらいとしながらも泣く泣く黒67と打っています。

AIの一手(無料のAI)は、たとえ、右図の山下九段の想定どおりに進んでも、白6に対して、素直に黒7(K9)とノビて問題ないとしています。
この想定図での評価値は、白0.5目ですから、互角の形勢です。
これはあくまでも、無料AIを信じればのことですが・・
実戦の進行の白70までの形勢は、白3.7目リードと差が少し広がっています。

棋譜解説(数字、記号入り)
棋譜解説(数字、記号入り)

白144が敗着

(左図:白144まで)

*山下敬吾九段の解説
黒141,143と白2子を切り離し、実利を稼ぎました。
対する白144が敗着となりました。

白144では、白82(J10)の石をニョキニョキと動きだした方が難しく、白は最強に戦えます。

AIの一手(無料のAI)も白144は、悪手としています。
山下九段の解説のとおり、白82(J10)の石をニョキニョキと動きだしを示しておりました。
白144で、若干ですが評価値は、黒に傾き、これ以降ずっと山下九段がこのリードを守り切りました。

不可思議な結末

(右図:黒249まで)

*不可思議な結末
この大会で日本の主将として全力で戦ったことは、良い経験となりました。

私の記憶では、古力さんは、黒249を見て投了したと思います。
少なくとも整地した覚えはありません。
しかし、棋譜は最後まで打ったと記録されています。
不思議な結末ですね。

記録としての棋譜は、263手まで打たれ、黒の7目半勝ちとなっております。
249手以降、14手も勝手に付け加えられ、結果も変えられたことになります。
団体戦であるため、この対局の勝ち負けは結果には何も影響はありませんが、そういう問題ではありません。
また、山下敬吾さんの記憶違いなども100%ありえません。
この本のみ、真実であろう249手完、黒の中押し勝ちとはっきりと記しております。

アジア競技大会


*アジア大会での山下さんの感想
アジア競技大会で最も印象に残ったのは閉会式です。
オリンピックで見たような光景を自分が体験したのは、不思議な感覚でした。
他の競技に出場した選手とユニフォーム交換したりするなど、普段では味わえない経験ができました。

懸念されていたドーピングの件ですが、栄養ドリンクや虫刺されの薬も控え、大会開催中は選手村で食事を済ませ、万全の対策をとっていたのですが、実際に検査されることはありませんでした。
寝室は井山さんと同部屋でした。対局前に他人と過ごすことなどありませんから、お互いに気を使っていたと思います。



  • 総譜は、こちらより、つぶや棋譜2 Viewerで、ご確認ください。
  • つぶや棋譜2 Viewer左上にある「自動再生」にチェックで再生致します。
  • つぶや棋譜2 Viewer碁盤の下にある「NUM」で手順が表示されます。

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    囲碁とは黒と白が交互に打って、自分の陣地の大きさを競うゲームであります。碁盤の目は361あり、黒白交互に打つと10の360乗ものパターンがあり、無限の世界と言われております。また、囲碁は、礼節を重んじ、礼に始まり礼に終わる競技でもあります。私はネット碁を楽しんでおりますが、ネット碁のおかげで囲碁は世界中に広まり、世界中で楽しまれるようになりました。囲碁に国境はありません。そんな囲碁の魅力や楽しさを少しでも伝えることができればと考えております。

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