「人生を変えた一局」(囲碁人ブックス)囲碁・将棋チャンネル記憶の一局制作部
「人生を変えた一局」、吉原由香里
囲碁人ブックス マイナビ
吉原由香里さんは、記憶の一局として、武宮正樹九段との第36期棋聖戦、予選B、2010年9月2日の対局を選びました。
武宮九段といえば、雲の上の存在。たくさんのタイトル獲ったことのある先生に打っていただく機会はめったになかったので、真剣に打ってくださるその空気だけで喜びでした。
このときは、打てることが楽しくて嬉しくて、そしてすごく謙虚な気持ちで、ひたすら一手一手に集中していました。
たぶん、その気持ちが良い結果に結びついたのかなと思います。
私もどちらかといえば、手厚い碁が好きで、武宮先生のような碁を打ちたいタイプなのですが、この碁では地をしっかり取ることを意識して打っていました。
それがうまく成功した一例です。珍しく落ち着いた雰囲気をお楽しみいただけたらと思います。黒:梅沢由香里、白:武宮正樹
黒:梅沢由香里、白:武宮正樹、第36期棋聖戦、予選B、2010年9月2日
黒、両ガカリに対して、白22の二間高バサミの時は、実戦の黒27、または、その1路左のD17(実戦の白28)とは打たず、三々に入り、転身を図ることにしています。
白の二間高バサミの位置が黒のツケノビの急所に来てるので鬱陶しいと感じるのです。
(右図)
3隅でそれぞれ、定石が打たれ、アマチュアにとっては、分かりやすい碁形となりました。
右下隅で、由香里先生は、黒17は、難解なナダレ型を避けた打ち方です。と解説しています。たぶんですが、由香里先生がナダレを仕掛けても、武宮先生が乗ってこないと思います。武宮先生にナダレ定石は似合わないです。
由香里先生は、「だんだん真ん中が白っぽくなってきています。」「これが武宮先生の世界なんだ。」などと思いながら打たれていたそうです。
私も真ん中が白っぽく見えます。不思議です。
突如現れた白模様
黒49の備えも大きなところです。逆に白に切られると左上隅が大きな白地となります。
「白50が意外に大きくて驚いた」と由香里先生の解説です。
(右図)
「黒61は、絶対に譲れない待望のハネです。」と由香里先生の解説があります。
このハネがあるので、下辺の白模様は見かけほど大きくありません。
AIの一手(無料のAIソフト)の評価は、白64まで、黒6.2目リードとなっています。
由香里先生、好調な序盤です。
中央はお互いに一段落
由香里先生は次のように解説をしています。
黒73は、手厚く備えながら中央の黒に援軍を送った手。
白は74と守り、黒も75と一手入れて眼形を確保し、中央は一段落です。(右図)
黒79とノビて先手を取り81にヒラキました。
白84からは勉強になった打ち方。キカサれを嫌って黒87と守りましたが、すると白88が何気なく見えて狙いを秘めた恐ろしい手。次図にて「狙いを秘めた恐ろしい手」をご紹介します。
狙いを秘めた恐ろしい手
黒が手を抜くと、白1から27まで、黒は取られてしまいます。これはゲームセットとなりますので、この備えが必要となります。
棋譜再生
ゆえに、由香里先生は、黒89、91と守りました。
ギャラリーが見守る終盤戦
ヨセに入り、半目勝負の熱戦が続いております。
ギャラリーも減らず、中でも結城九段が何度も見にきていたとのことで、由香里先生は、「あれ?もしかして、私、結構いい線いってるのかな?」と考えてながら打っていたそうです。
白212以降は、1度も形勢が白に傾くことがありませんでした。
AIの一手は白212で右図を示していました。
(右図):AIの一手の白212の変化図
AIの一手(無料のAIソフト)は、白212で白1の妙手を示しました。
図は黒2と受けていますが、黒がどう受けても実戦図より勝りそうです。
この碁は259手まで打たれ、黒の1目半勝ちとなっております。
そして、自信にもなりました。
これからも、こうやって伝えたくなるような碁を打っていきたいです。(。・(エ)・。)ノ ↓ブログ村ランキング参加中
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