購買層が限られておりますので、出版してしばらくすると絶版になってしまいます。
ゆえに、ここでご紹介した棋書もすでに書店の店頭にはないかもしれません。
その点はご了承をお願いいたします。
「簡明二・三子局の布石」碁がたきに追いつくために
著者:武宮正樹九段 誠文堂新光社
武宮正樹九段は、二子局の要領について、次のように記しております。
下手側のペース配分からいえば、九子局が9割の消極性と1割の積極性が要求されるなら、二子局は2割の消極性と8割の積極性でちょうど釣り合いがとれているようです。
上手側にすればその逆で、8割の互先感覚で打てば、まずまず勝負に持ち込めるといったところでしょうか。
二子局は当初のタスキ星の配置をどう活用し、どう制限して、自分の好みの布石に持っていくかが序盤の争点になるでしょう。
現代ではプロ棋士の置き碁はありませんが、昔は真剣勝負の置き碁が数ありました。
本書には、本因坊秀甫の「方円新報」、本因坊秀栄著書の「囲碁新報」より、真剣勝負の置き碁が紹介されております。
本書の一番の目玉は、木谷道場入門前の武宮先生が11才、12才のころの棋譜です。
田中先生との3子局、2子局と貴重な棋譜が題材とされております。
本書は、黒の立場で解説されており、武宮先生のとても分かりやすい解説となっています。
しかし、ここで紹介する棋譜はそれらではありません。
本書の巻末に付録として、「白の打ち方」があります。
置き碁の名局4局が総譜で紹介されています。
そのうちの一局をご紹介いたします。
なお、本因坊道策が安井春知に二子で1目負けになった碁は、あまりにも有名すぎるのでここでは省略しました。とありました。
先二 二子番 中川千治(六段)、本因坊秀哉(八段)第5次、十番碁の第5局、1908年5月4日の対局です。
本書に次のように記されています。
AIはカケがお好き
二子局は、AIの一手(無料のAIソフト)では、黒19目リードから始まりましたので、19目を基準に形勢判断していきます。
早くも白5を悪手(マイナス2.1目)としました。白5は定石とされていますし、私には自然な手に見えます。
AIの一手(無料のAIソフト)は、Aのカケを推奨しています。このAのカケはAI登場時からさかんに打たれています。
AlphaGoもLeelaZeroもKatagoも絶芸もどんな種類のAIも、このカケと三々入りは大好きなようです。
堂々たる布石
黒26までのAIの一手(無料のAIソフト)の評価は、黒20.3目リードですからほとんど互角の形勢です。
白25のカケツギは、その上にツグ方が良いと思います。
巧妙な名人の打ち回し
棋譜再生
白27から黒を封鎖し、先手で左上隅をサラリと荒らして、黒54と断点を守った時点の形勢は、黒16.4目のリードとなりました。
本書のこの対局に武宮先生が付けたタイトルは、「模様の名局」です。黒54の時点では、どこに模様が出来るのかまったく、見当もつきません。
模様に対して深入りするべからず
棋譜再生
黒60の打ち込みは、誰もが打ちたくなるところです。
白はまたしても黒を閉じ込めます。
白83まで、右辺と下辺に白の巨大な壁が出来ました。
白の模様がはっきりと見えてきました。
さて、相手の模様に対しての考え方ですが、この局面で考えてみましょう。
黒60の打ち込みから、黒はさほど悪い手を打ってるわけではありません。確実に黒地を増やしています。
囲碁は交互に打つゲームですから、自分が悪い手を打っていなければ、そう差がつくものではないのです。
突如、白模様ができようとも、慌てなくて良いのです。
相手の模様が大きく見えるのは人間の常のようですが、たとえ模様が大きく見えても深入りしないことです。
よくある失敗は模様に深入りし、お相手の反撃にあいボコボコにされるの図です。
模様に対しては「軽く消す」を第一に考えるのが良いと思います。
模様を消す公式
黒84は変ですね。見たことがないです。
AIの一手(無料のAIソフト)の評価は、悪手のマイナス3.7目となりました。
この白2子を攻めるのであれば、上からだと思います。
黒84では、模様を消すのが良いと思います。深入りしないように目安としてAからGまで印を付けました。
白43(L4)と白83(O14)を直線で結んでその内側に入ると深入りとなります。
直線上かその1路外側が模様を消す公式とされております。
この公式は万能ですので、ぜひとも習得ください。
模様に入ってきた石を攻めることにより最初の模様は消えますが、新たな模様ができることがあります。
林海峰先生は、これを「模様は移動する」と表現されていました。
いつのまにやら中央に白地がついてしまいました。名人のうまさだと思います。
上図の最終の黒166(E6)まで、AIの一手の評価は、黒0.1目リードとありますから全くの互角です。
この碁は325手まで打たれ、白の4目勝ちとなっております。
十番碁において二子に打ち込んでの勝利は秀哉名人の強さの証明であります。
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コメントありがとうございます。
大切に読ませていただきます。