丈和、米蔵、十番碁その3(中押し勝ち)

2023/12/31

06.名局鑑賞

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こんにちは。こんばんは。

ご訪問いただきありがとうございます。

管理人の柿門です。(。・(エ)・。)ノ

今回は、「丈和、米蔵、十番碁その3」をご紹介いたします。


四宮米蔵の評価

藤沢秀行先生が、並べることを勧めた棋譜は、本因坊丈和と真剣師の四宮米蔵との十番碁でした。

藤沢秀行先生は、この十番碁には名局が何局もあるとし、米蔵を現代の九段に劣らない実力と評価しております。

本因坊丈和は、自選打碁集である「国技観光」に、米蔵との対局棋譜11局の全てを載せています。このことは、丈和もまた米蔵の碁を認めていると言えるでしょう。

高木祥一先生は、「力のない専門家との打碁よりも、魂をこめて打った素人との二子局を重視した丈和の気持ち、理解できるような気がする。」と述べられています。


日本の国技である囲碁

本因坊丈和の自選打碁集である「国技観光」の国技とは、「囲碁」のことです。

とても大切なところなので、もう一度言います。

国技とは「囲碁」のことです。

1626年に御城碁がはじまり、それ以来、囲碁は、日本の国技として発展していきました。

200年前の日本人は、丈和のように囲碁は、国技との認識でありました。

そう、囲碁は国技だったのですよ。

みなさん、知っていらっしゃいましたか?

日本棋院は、2020年になって慌てて、次のように定款変更を行っております。

棋院の目的を記す、定款第3条

「我が国の伝統文化である棋道」を

「我が国の国技であり伝統文化である棋道」

に改めました。


観光とは旅行するということではなく、「光を観る」です。

「国技観光」とは、「自分の碁に囲碁の光を観る!」ですか。

自分の打碁集に自信たっぷりな、すてきなタイトルですね。


丈和34才、米蔵52才。

丈和は、当時六段でありましたが、後年「米蔵と対局した文政時代の頃が自分の全盛期だった。」と振り返っています。

それに比べると米蔵は全盛期を過ぎていたのかもしれません。

この十番碁は、米蔵の体力を考慮してか、すべて一日で打ちきったとありました。


第1局、第2局と丈和の連勝で迎えた第3局です。

米蔵としてはもう負けられない一局となっております。

二子:四宮米蔵、本因坊丈和、十番碁第3局、1820年(文政三年)12月20日

【参考譜】

十番碁第1局

十番碁第2局


二子:四宮米蔵、本因坊丈和

実戦譜1:黒24まで

棋譜解説図(数字、記号入り)
棋譜再生

(上図):黒24まで

左下隅は第2局に続いて、白の両ガカリです。

黒10、白11、13は、この時代の定石だったんですね。

白23は置き碁の白ならではの構えです。

そして、米蔵らしく、黒24と攻撃態勢に入ります。


実戦譜2:黒52まで

棋譜解説図(数字、記号入り)
棋譜再生

(上図):黒52まで

この2人の対局では、当然の黒52のキリです。

AIの一手(無料のAIソフト)の2子局の差は19.2目。

黒52までのAIの一手(無料のAIソフト)の評価値は、黒15.1目リードと少しずつ白が差を詰めております。


差を詰める丈和

実戦譜3:白75まで

棋譜解説図(数字、記号入り)
棋譜再生

(上図):白75まで

右辺の黒7子は捨てざるえない状況となりました。

代わりに黒72とポンヌキ、白75と頭を出した時点の評価値は、黒12.3目のリードとまた少し差が縮まっています。


実戦譜4:黒100(E13)まで

棋譜解説図(数字、記号入り)
棋譜再生

(上図):黒100(E13)まで

黒86のツギは重たく感じます。黒98も同様です。

黒100とキリ、最後の勝負所となりました。

黒100までの評価値は、黒9.8目リードと縮まってまいりました。

ところで、この時代は星からは、すべて大ゲイマでした。

これは昭和に入るまで続きます。

そして、米蔵はこの局でいうと黒82の守りを多用しています。

そうすると3手必要ということになります。

また、実戦の白91のような手も残っています。

そういう意味では、小ゲイマは2手ですので、効率が良いように思えます。


終盤は細碁

黒202手まで

棋譜解説図(数字、記号入り)

(上図):黒202手まで

激戦が続いておりま。

正直、専門家の解説が欲しいところであります。

黒は左下隅を制した代償に右上隅を失いました。

黒202手までのAIの一手(無料のAIソフト)の評価値は、黒0.5目リードとなっております。米蔵はとうとう土俵際まで追い込まれてしまいました。


黒222手まで

棋譜解説図(数字、記号入り)

(右図):黒222手まで

終盤は細碁(さいご:勝敗が僅差の形勢)、細かいヨセ勝負となっております。

よって素人には解説不能な局面が続いております。

そして、黒222!

当然取られることになりますが、左下隅のコウと連動しております。

最終的に右上隅がコウになり、この負担に耐えられず、丈和の投了となります。

この碁は、248手まで打たれ、黒の米蔵の中押し勝ちとなりました。

これで十番勝負の対戦成績は、米蔵の1勝2敗となりました。

真剣師、四宮米蔵の反撃開始です。


  • 総譜は、こちらより、つぶや棋譜2 Viewerで、ご確認ください。
  • 手順は、図の左下にある青文字の「棋譜再生」でご覧いただけます。
  • つぶや棋譜2 Viewer左上にある「自動再生」にチェックで再生致します。
  • つぶや棋譜2 Viewer碁盤の下にある「NUM」で手順が表示されます。

  • 最後までご覧いただきありがとうございました。
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