「人生を変えた一局」(囲碁人ブックス)囲碁・将棋チャンネル記憶の一局制作部
「人生を変えた一局」、小林光一
囲碁人ブックス マイナビ
黒:小林光一、白:加藤正夫
小林光一さんは、記憶に残る一局として、加藤正夫(王座)さんとの第11期名人戦七番勝負の第4局、1986年10月8日の対局を選びました。
加藤さんとの対局は100局を超えていて、治勲さんの次に多いのです。タイトル戦も10回くらいやっています。それで私は、唯一加藤さんに負け越しているのですね。
私が大きなタイトルを獲れるようになってからも、加藤さんには、よくやられて、「天敵」だなんて言われていましたが、それは結局実力なんですよね。
このシリーズは、名人を獲った次の年の防衛戦で3連敗したあとの第4局でした。
この碁は「なんとか一矢報いたかな」と思ったところで、加藤さんに妙手を打たれてしまい、見事に負かされてしまいました。
本当に衝撃が大きかったですし、今でも鮮明に、その時の心境を思い出しますね。結局、4連敗で名人位を獲られてしまいました。
その2年後に名人位を取り返して、その後7連覇することができたのですが、毎年、「この期だけ、何とか勝たせてください」という気持ちでした。序盤における二線のハネツギ
黒:小林光一、白:加藤正夫、第11期名人戦第4局、1986年10月8日
棋譜再生 |
(左図)
右下隅の白8から白16までは、二人で何回も打っていたので、当時、「加藤小林定石」と言われていたそうです。
私(柿門)はこの当時は、囲碁からまったく離れていましたので、この定石は、ぜんぜん知りませんでした。囲碁に復帰して、コミが6目半に変わっていたのを知って、とても驚いたくらいですからね。
白26は定石だとその右斜め下のE13とケイマに外すのですが、「名人に定石無し」で白26と素直にビシっと打つのもありなんですね。
この序盤で、黒29、31と二線のハネツギを決めた理由は、右図で説明します。
(右図):参考図
逆に白から1、3と二線のハネツギを決められると、黒4が省けず、将来、白Aがくると、隅に手入れが必要になります。
白Aを利かされるのは、とてもつらいので、黒29、31を先着しました。と小林光一先生の解説があります。
二線のハネツギの価値は、局面によってずいぶんと変わるものですね。
模様に入るタイミングとその位置
小林光一先生の解説に「黒47は、白模様に入るタイミング」とあります。
この手は、AIの一手(無料のAIソフト)の最高評価である「神の一手」を得ました。
この呼吸と位置のバランス加減、とても勉強になる一手だと思います。
この局は歴史に残る大妙手が後に出現いたしますが、アマチュアにとっては、この黒47の方が勉強になります。
ここまでの序盤は、わずかではありますが、黒が優位に進めております。
(右図):実戦図、白64まで
黒63と左辺の攻防がいったん落ち着いたところで、白64と第2ラウンド開始です。
私などは、白64の右の三々入りを真っ先に考えるのですが、それは次図でご説明いたします。
三々入りはパンチ不足
「白1はパンチ不足。白7に続いて黒A、白Bでコウですが、黒Aを保留してCなどとコウをにらみながら策動する余裕を与えてしまいます。」と小林光一先生の高級な解説です。
(右図):実戦、黒115(A12)まで
「黒97の二線のツギは約14目。黒113も考えましたが計算できる手を選びました。白112で、aなら黒b。白112に黒bと受けると白cを打てる分、1目違います。」と小林光一先生の解説です。
歴史に残るヨセの妙手
白▲116が歴史に残る妙手となりました。
加藤正夫先生は、「殺し屋」のあだ名が有名ですが、実はヨセの達人。
半目勝負で一番勝っているというデータもあるほどなのです。
この碁を振り反っても手どころの追及が正確ですし、やはりヨセが強いですね。
(右図):黒117の参考図
黒1とがんばると以下白18まで、セメアイは黒の一手負けとなります。
この碁は230手まで打たれ白の2目半勝ちとなっております。
(。・(エ)・。)ノ ↓ブログ村ランキング参加中
|
マイナビ 天頂の囲碁7 Zen(対応OS:その他) 目安在庫=△ |
基本布石事典(下巻)新版 星、小目、その他 [ 依田紀基 ] |
ヒカルの囲碁入門 ヒカルと初段になろう! [ 石倉昇 ] |
ひと目の詰碁 (マイナビ囲碁文庫) [ 趙治勲 ] |
FC2 ブログランキング |
0 件のコメント:
コメントを投稿
コメントありがとうございます。
大切に読ませていただきます。