珍瓏(香餌懸魚勢)

2023/10/22

04.囲碁のお勉強

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こんにちは。こんばんは。

ご訪問いただきありがとうございます。

管理人の柿門です。(。・(エ)・。)ノ

今回は、「珍瓏(香餌懸魚勢)」をご紹介いたします。


日本囲碁連盟(株ユーキャン)の囲碁用語には、次のようにあります。

珍瓏(ちんろう)
詰碁のこと。尊い玉の響きという意味から転じて「作り物」となった。
『玄玄碁経』の詰碁は「珍瓏の部」に収められている。

ウィキペディア(Wikipedia)では、シチョウの手筋を用いて指定された石を取る詰碁の問題とありますが、珍瓏にシチョウの制約はございません。

よって、上記の日本囲碁連盟の解説が正しいと思います。


珍瓏とは


*珍瓏(ちんろう)
珍瓏(ちんろう)とは、最後が面白い形になる詰碁であります。

シチョウを使って最終形をきれいな形に仕上げるものが多く、中山典之先生の代表作の「ハート」は世界中の囲碁愛好家に知られているとあります。

私は、今までまったく、この「珍瓏(ちんろう)」なるものを知りませんでした。

他のことならいざ知らず、囲碁に関する事についても知らないことが多いものです。

小説、「賭碁放浪記 続懸賞打ち」に、この珍瓏が登場して、その存在を私は初めて知りました。

小説の場面にて、碁会所の席亭が碁盤にサラサラと並べて、お客さん相手に面白おかしく講釈していた珍瓏をこれからご紹介いたします。

作品のタイトルは、「香餌懸魚勢(こうじけんぎょのせい)」

本因坊道策の作品と伝えられている名作であります。

(注:作者は、道策の弟子である名人因碩との説もあります。)

香餌懸魚勢


香餌懸魚勢(こうじけんぎょのせい)
白先黒死の問題
棋譜解説図(数字、記号入り)

珍瓏は、作り物の詰碁ですから、配石は不自然です。

左下隅をご覧ください。

白14子は、ウッテガエシで取られています。

問題は、白先黒死です。

黒死とは、盤面の黒、全てを指しています。

白14子が取られているにも関わらず、白がこの黒全体をトル問題であります。


始まりは白15子取られから

(左図):白1まで、(右図):白3まで
棋譜解説図(数字、記号入り)
棋譜解説図(数字、記号入り)

(左図)

スタートは白1です。

ウッテガエシで取られることを承知で、白15子を取らせます。


(右図)

黒は喜んで2と取りますが、白3が好手でした。

右図を見れば、白3は、誰でもひとめですが、私は15子も取られた後の形まで、考えようとしなかったです。

これで、黒3子は取られています。

そして、なんと、左下の黒は1眼しかありません。

生きるためには、二眼が必要ですから、もうひとつ眼を作るために、ここから黒は、もがき苦しむことになるのです。

続きが楽しみですね。


(左図):白9まで、(右図):白13まで
棋譜解説図(数字、記号入り)
棋譜解説図(数字、記号入り)

(左図):白9まで

黒4と連絡を図ります。

白は、1眼も与えられませんから、白7と2目して捨て、欠け眼にします。


(右図):白13まで

黒12で両アタリです。

白は7子の方を捨て、白13と大切な石を取られないように逃げ出します。


(左図):白19まで、(右図):白25まで
棋譜解説図(数字、記号入り)
棋譜解説図(数字、記号入り)

(左図):白19まで

黒14で白7子は取られてしまいますが、白15、17で、欠け眼にします。

黒18で白10子がアタリですが、そんな事は気にせず白19!


(右図):白25まで

黒は喜んで20と白10子を取りますが、白は21をキカシて、23、25が好手。

石の下からのウッテガエシと大技のコンビネーションが炸裂いたしました。


白25までおさらいの図

(白25までおさらいの図)
棋譜解説図(数字、記号入り)
棋譜再生
←(棋譜再生で手順を確認しましょう。)

ところで、棋譜の手順を目で追っていく作業はとても疲れるものであります。

私のように年を取ると余計に疲れを感じてしまいます。

脳が焼き切れるといけませんので、棋譜再生で白25までの手順を確認しましょう。


(左図):白31まで、(右図):白39まで
棋譜解説図(数字、記号入り)
棋譜解説図(数字、記号入り)

(左図):白31まで

真ん中で7子、右辺で白10子を取りながらも眼作りに失敗した黒は、黒26から28と右上隅ときれいに連絡を果たします。

そして、黒30の2目アタリに白は、31とすなおにツギます。


(右図):白39まで

しかし、すなおに白31とツイだおかげで、黒32でまとめて白9子が取られてしまいました。

そんなことは先刻ご承知とばかりに、白33!

これで、黒は、右上隅でも眼を作ることができなくなりました。

しかたなく、今度は左辺の黒との連絡を図ろうとします。

黒38で白3子を取りましたが、白39と差し込んでここも欠け眼となりそうです。

なかなか、あと1眼が作れません。


(左図):白51まで、(右図):白55まで
棋譜解説図(数字、記号入り)
棋譜解説図(数字、記号入り)

(左図):白51まで

白41と差し込み、やはり欠け眼となってしまいました。

黒48には白49!

黒50の両アタリが見えていますが、白51で、白4子は、石の下の形になっています。


(右図):白55まで

黒52と白4子を取りますが、白53で二目を取られ、左辺でも1眼を作ることができませんでした。

黒54でウッテガエシで白4子は取られていますが、かまわず、白55!


(左図):白59まで、(右図):白63まで
棋譜解説図(数字、記号入り)
棋譜解説図(数字、記号入り)

(左図):白59まで

当然、黒56と白5子を取りますが、白57と真ん中に打ち眼形を奪います。

黒は左上隅に転身を図り、黒58と白6子をアタリします。

白59!

なんと、白は6子を助けません。ここでも捨ててしまいます。


(右図):白63まで

それならと黒60で、白6子をぶち抜きますが、白61のクロスカウンターで、黒3子を取り返されてしまいました。

黒は気を取り直して、上辺、黒62と白7子をアタリします。

白はここでも、7子を助けることなく、ウッテガエシに自らはまっていく白63!


白63までおさらいの図

(白63までおさらいの図)
棋譜解説図(数字、記号入り)
棋譜再生
←(棋譜再生で手順を確認しましょう。)

脳が焼き切れるといけませんので、棋譜再生で白63までの手順を確認しましょう。


(左図):黒64まで、(右図):白71まで
棋譜解説図(数字、記号入り)
棋譜解説図(数字、記号入り)

(左図):黒64まで

当然、黒は白8子をぶち抜きます。

こんな取られ方をしたら、普通は気がめいり、投了となるものです。


(右図):白71まで

取り跡を白は65とキリ、67、69の白3子を白71の両アタリで、生還させました。

またしても、黒は1眼を作ることができませんでした。


(左図):白73まで、(右図):最終手、白79まで
棋譜解説図(数字、記号入り)
棋譜解説図(数字、記号入り)

(左図):白73まで、

黒72と2子を取りますが、白73も当然のホウリコミ。

また、欠け眼となりました。


(右図):最終手、白79まで

白77と三子を生還させて、黒78のアテには、すなおに79と逃げて、ゲームセット。

これ以上、黒は手出しできません。


最終図:白79まで

最終図:白79まで
棋譜解説図(数字、記号入り)
棋譜再生

図では取られた石まで表示されているので、非常に見づらいです。

棋譜再生で手順をご確認ください。

15+2+7+10+9+3+4+5+6+8+2+1=72個を取っても一眼を作ることができないという全局詰碁の作品(香餌懸魚勢:こうじけんぎょのせい)でございました。

ありがとうございました。


追記


  • 総譜は、こちらより、つぶや棋譜2 Viewerで、ご確認ください。
  • 手順は、図の左下にある青文字の「棋譜再生」でご覧いただけます。
  • つぶや棋譜2 Viewer左上にある「自動再生」にチェックで再生致します。
  • つぶや棋譜2 Viewer碁盤の下にある「NUM」で手順が表示されます。

  • 最後までご覧いただきありがとうございました。
    よろしかったら、ご感想などをコメントでお聞かせください。




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    囲碁とは黒と白が交互に打って、自分の陣地の大きさを競うゲームであります。碁盤の目は361あり、黒白交互に打つと10の360乗ものパターンがあり、無限の世界と言われております。また、囲碁は、礼節を重んじ、礼に始まり礼に終わる競技でもあります。私はネット碁を楽しんでおりますが、ネット碁のおかげで囲碁は世界中に広まり、世界中で楽しまれるようになりました。囲碁に国境はありません。そんな囲碁の魅力や楽しさを少しでも伝えることができればと考えております。

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