第71期王座戦五番勝負の第5局が12月8日に神奈川県秦野市鶴巻温泉の「陣屋」で行われました。
対局場である「陣屋」さまの「松風の間」では、囲碁、将棋の数々のタイトル戦が行われてきました。
将棋の升田幸三先生の「陣屋事件」はつとに有名でございます。
囲碁界、将棋界がとてもお世話になっている老舗旅館であります。
井山裕太王座に挑戦するのは、余 正麒(よ せいき)八段。
余 正麒さんは、台湾生まれの今年で28才です。
主な戦績として、関西棋院第一位決定戦6連覇があげられます。
タイトル戦への挑戦は、今回が5回目、王座戦挑戦は、3回目となります。
そろそろ、初タイトルがあってもおかしくない戦績です。
対する井山さんは王座のタイトルを通算で8期保持しており、現在2連覇中であります。
井山さんは、日本の囲碁の歴史において最強の棋士のひとりであります。
第2局は、半目を争う名局となり、接戦を余正麒さんが制しました。
両者2勝2敗で迎えた最終の第5局。
タイトル防衛なるか、それともタイトル奪取なるか。
それでは、対局を見ていきましょう。
井山さん
フルーツ盛り合わせとアイスコーヒー
余正麒さん
フルーツ盛り合わせとコーラ
井山さんは確実にフルーツ盛り合わせですね。
井山さん
天麩羅そば(冷)
余正麒さん
陣屋カレー
井山さんは、お昼を軽くしたかったのか、「陣屋カレー」を避けました。
陣屋特製の「陣屋カレー」は、SNSでも大好評であります。
奥野大児さんのブログ「明日やります」 の記事に、この「陣屋カレー」の誕生秘話などありますので、下記の記事よりご覧ください。
「宿泊料3万7000円を払って食べるカレーは将棋界で「神グルメ」として知られていた」
アンケート総得票数は9票
先に実施した投票アンケート(応援するのはどっち?)の結果をお知らせいたします。
投票総数:9票
井山裕太さんを応援:6票(66.7%)
余 正麒さんを応援:1票(11.1%)
どちらもがんばれ!:2票(22.2%)
ご投票していただいた皆様、ありがとうございました。
黒:余正麒、白:井山裕太
主催 :日本経済新聞社
優勝賞金:1,400万円
持ち時間:各3時間
3時間は、世界戦の標準の持ち時間であります。
第71期王座戦五番勝負第5局(2023年12月8日)
神奈川県秦野市鶴巻温泉「陣屋」にて
黒:余正麒(八段)、白:井山裕太(王座)
二連星対小目2つ
黒の二連星に白は自ら向かい合った小目です。
この自ら向かい合う小目もありそうで、昔はあまりなかったです。
白6からお馴染みのツケヒキ定石ですが、黒11で左辺星や星下に構える手は現代では打たれないようになりましたね。
現代では、左上黒3子は強い石との認識で構えを省略しているようです。
しかし、我々アマチュアは定石どおり、しっかりと構えて問題はありません。
4隅取った白
黒が構えなかったので、すかさず、白12と打ち込みました。
黒23の本手に白24と二間に軽く飛びました。
白30の三々入り、白42の三々入りと地が大好きな井山さんらしい打ち方です。
第2ラウンド開始
白42に対する押さえの方向ですが、昔なら黒44と押さえ、右辺を厚くするように教えられたものです。
白60は見習うべき手でした。右上黒が厚いので一間にヒラキました。
私などは何も考えず、二間にヒラキそうです。
黒61と真正面から止めて、第2ラウンドのゴングが鳴りました。
柿門の参考図
白50の柿門の参考図
白50の柿門の参考図
黒はこの図を目指しての黒43からの押さえだったのだと思います。
白はこの図を嫌い、実戦の白50とし、右辺の模様化を防ぎました。
形勢少し傾く
白62のツケに対して、突然の転進の黒63ですが、白に手抜かれて、少し形勢が白に傾きました。
上辺黒2子を強くした後、左辺の白を攻撃する作戦だったのかもしれませんが、白64と連打できたので、左辺の白一団に余裕ができました。
白、深い踏込み
実戦図:白108まで
実戦図:白108まで
白108の手が評価値を、88.6%→66.2%に落としました。
最近のタイトル戦において、井山さんの意表を突く手が、ことごとくAIの評価値を落としてるように思えます。
敗着は、黒159
実戦図:黒159まで
実戦図:黒159まで
白158までの絶芸(最強のAI)の評価値は、黒54.2%でした。
形勢は全くの互角の半目勝負でした。
しかし、黒159で白80%の評価値となってしまいました。
もちろん、黒159も大きなところではありますが、必争点がありました。
絶芸の参考図
黒159の絶芸の参考図
黒159の絶芸の参考図(黒5、白8はコウトル)
黒1が見た目より大きかったようです。
黒9が絶対の効きとなるうえに、黒が白のワタリ止めたときも先手となります。
実戦は、参考図の黒1を、白162ですかさず打たれてしまいました。
この碁は258手まで打たれ、白の井山裕太さんの中押し勝ちとなっております。
井山さんは、これで王座のタイトル三連覇となりました。
井山さん、おめでとうございます。
余正麒さん、紙一重でした。おつかれさまでした。
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