第62期十段戦第5局
芝野 虎丸(十段)に井山 裕太(王座)が挑戦する第62期大和ハウス杯十段戦五番勝負の第4局が4月30日に東京都千代田区「日本棋院東京本院」で行われました。
十段戦は、囲碁の七大タイトルのひとつであります。七大タイトル以外のNHK杯や新人王戦なども「タイトル」でありますので、タイトル数には含まれることになります。
七大タイトルの序列は次のとおりです。
2024年3月末現在の七大タイトルの保持者は次の3名であります。
一力 遼 (棋聖、天元、本因坊)
芝野 虎丸(名人、十段)
井山 裕太(王座、碁聖)
現在の三強であります。
ゆえに、タイトル戦もこの三者の組み合わせが多くなっています。
昨年は名人戦で芝野さんと井山さんは激突しております。その時は、4勝2敗で芝野虎丸さんが名人位を防衛いたしました。
今回は、芝野虎丸(十段)に井山裕太(王座)が挑戦いたします。
第2局は、白番の井山さんが完勝で対戦成績をタイに戻しました。
第4局は、白番の井山さんが意地を見せ2勝2敗の五分に戻しました。
芝野 虎丸さんのご紹介
芝野虎丸さんは1999年生まれの24才。
芝野さんは、入段から史上最短での全棋士参加棋戦優勝、史上最年少での七大タイトル獲得、名人戦リーグ入り、本因坊戦リーグ入りするなど、たくさんの最年少記録を打ち立て、デビュー当時から注目の逸材でありました。
なかでも、2019年に史上最年少(19才11か月)で名人を獲得後、すぐに井山さんから王座のタイトルまで奪い、20才で二冠を達成したときには碁界に衝撃が走りました。
名人、王座、十段など、数々のタイトルを獲得し、総タイトル獲得数は現在11と三強の一角として、活躍されております。
虎丸さんは、「ヒカルの碁」のファンだったご両親の影響で、5才くらいのころから囲碁を始めたとありました。また、一力遼さんや藤沢里菜さんといっしょの「洪道場」の出身であります。
虎丸さんはデビューがとても華々しかったのに比べ、最近は少し伸び悩んでおられるような印象を私は受けます。世界をも狙える逸材と信じておりますので、もう一段の高みを目指してがんばっていただきたく思っております。
井山 裕太さんのご紹介
井山裕太さんは1989年生まれの34才。
20才で名人位についてからは、破竹の快進撃を続け、井山1強時代を築きました。
日本囲碁史上初の七冠(棋聖、名人、本因坊、王座、天元、碁聖、十段)独占を2度も達成しております。
また、年間グランドスラム(その年の七大タイトルをすべて独占)という快挙も達成し遂げております。
日本囲碁史に燦然と輝く記録であることは、間違いありません。
一時代を築いた井山さんでありますが、30才を超え、現在は、令和三羽ガラス等、新時代の挑戦者から、必死の防戦を繰り広げております。
井山さんは5才のときにテレビゲームで囲碁を覚えたとのことです。
アンケート総投票数は7票
先に実施した投票アンケート(応援するのはどっち?)の結果をお知らせいたします。
投票総数:7票
芝野虎丸さんを応援:3票(42.8.%)
井山裕太さんを応援:2票(28.6%)
どちらもがんばれ!:2票(28.6%)
ご投票していただいたみなさま、ありがとうございました。
黒:芝野虎丸、白:井山裕太
結果からお伝えいたします。
208手完、白番の井山さんの中押し勝ちとなっております。
井山さん、おめでとうございます。
これで、王座、碁聖、十段の三冠となりました。
先日の世界戦での好調さが続いているようです。
芝野さん、おつかれさまでした。
今後の巻き返しに期待しております。
ところで、前回の棋聖戦、第1局~第6局、今回の十段戦、第1局から第5局を白番が勝利しております。
偶然とはいえ偏りましたね。
新定石か
黒7の一間バサミに井山さんは、白8と二間にトビました。
これは珍しいですね。
芝野さんはすかさず、黒9のツケです。
人間らしい一手です。
さて、どんなワカれになるのでしょうか?
我が道を行く進行
白10のツケに黒11のツケと我が道を行く進行でした。
面白い変化ですね。
互角とはいえ、少なくとも先手をとって左上のカカリに回り、白に不満はありません。
絶芸の手を見てみましょう。
絶芸の白10から参考図
絶芸の白10から参考図
左下隅と右上隅は、現代大流行の定石です。
右下隅の大ゲイマシマリへのツケ定石は、実戦のようにシチョウが絡みますのでご使用には注意が必要です。
形勢は互角
右上隅での戦いは難解で私にはさっぱりでありました。
しばらく評価値は黒よりでしたが、黒69が評価値を白に傾けました。
絶芸はC13の小ゲイマカカりを示していました。
方向はどんぴしゃですが、微妙な変化があるのでしょう。
形勢が黒に傾く
白124に対して、黒125と上辺を食い破りました。
白124が大きく評価値を落としました。
白124では、125と上辺を大切にする手を絶芸は示しておりました。
黒125までの絶芸の評価値は、黒96.3%となっております。
形勢は白優勢に
実戦図:白154まで
実戦図:白154まで
白154となると真ん中の白一団は連絡し、右辺の白も完全に生きています。
白154までの絶芸の評価値は、白92.7%と逆転しております。
黒141が大きく評価値を落とし、黒143で、白95%となりました。
絶芸の参考図
正直、私の棋力ではなにも分かりませんが、この図であれば、真ん中の白は連絡するのが大変です。
また、右辺の白も生きていません。
とても変化図が多い難解な戦いだったといえるでしょう。
井山さん、おめでとうございます。
芝野さん、おつかれさまでした。
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