第62期十段戦第4局
芝野 虎丸(十段)に井山 裕太(王座)が挑戦する第62期大和ハウス杯十段戦五番勝負の第3局が4月15日に大阪府大阪市北区「日本棋院関西総本部」で行われました。
十段戦は、囲碁の七大タイトルのひとつであります。七大タイトル以外のNHK杯や新人王戦なども「タイトル」でありますので、タイトル数には含まれることになります。
七大タイトルの序列は次のとおりです。
2024年3月末現在の七大タイトルの保持者は次の3名であります。
一力 遼 (棋聖、天元、本因坊)
芝野 虎丸(名人、十段)
井山 裕太(王座、碁聖)
現在の三強であります。
ゆえに、タイトル戦もこの三者の組み合わせが多くなっています。
昨年は名人戦で芝野さんと井山さんは激突しております。その時は、4勝2敗で芝野虎丸さんが名人位を防衛いたしました。
今回は、芝野虎丸(十段)に井山裕太(王座)が挑戦いたします。
第2局は、白番の井山さんが完勝で対戦成績をタイに戻しました。
芝野 虎丸さんのご紹介
芝野虎丸さんは1999年生まれの24才。
芝野さんは、入段から史上最短での全棋士参加棋戦優勝、史上最年少での七大タイトル獲得、名人戦リーグ入り、本因坊戦リーグ入りするなど、たくさんの最年少記録を打ち立て、デビュー当時から注目の逸材でありました。
なかでも、2019年に史上最年少(19才11か月)で名人を獲得後、すぐに井山さんから王座のタイトルまで奪い、20才で二冠を達成したときには碁界に衝撃が走りました。
名人、王座、十段など、数々のタイトルを獲得し、総タイトル獲得数は現在11と三強の一角として、活躍されております。
虎丸さんは、「ヒカルの碁」のファンだったご両親の影響で、5才くらいのころから囲碁を始めたとありました。また、一力遼さんや藤沢里菜さんといっしょの「洪道場」の出身であります。
虎丸さんはデビューがとても華々しかったのに比べ、最近は少し伸び悩んでおられるような印象を私は受けます。世界をも狙える逸材と信じておりますので、もう一段の高みを目指してがんばっていただきたく思っております。
井山 裕太さんのご紹介
井山裕太さんは1989年生まれの34才。
20才で名人位についてからは、破竹の快進撃を続け、井山1強時代を築きました。
日本囲碁史上初の七冠(棋聖、名人、本因坊、王座、天元、碁聖、十段)独占を2度も達成しております。
また、年間グランドスラム(その年の七大タイトルをすべて独占)という快挙も達成し遂げております。
日本囲碁史に燦然と輝く記録であることは、間違いありません。
一時代を築いた井山さんでありますが、30才を超え、現在は、令和三羽ガラス等、新時代の挑戦者から、必死の防戦を繰り広げております。
井山さんは5才のときにテレビゲームで囲碁を覚えたとのことです。
アンケート総投票数は6票
先に実施した投票アンケート(応援するのはどっち?)の結果をお知らせいたします。
投票総数:6票
芝野虎丸さんを応援:2票(33.3.%)
井山裕太さんを応援:1票(16.7%)
どちらもがんばれ!:3票(33.3%)
ご投票していただいたみなさま、ありがとうございました。
黒:芝野虎丸、白:井山裕太
現代の布石
黒1、白2が星、黒3、白4が小目と同じ形で始まりました。
白6からは現代定石である三々定石ですが、白12には手抜きして、黒13と大場に回るのが現代の打ち方です。
シチョウは黒よし
実戦は黒23とカミトリましたが、シチョウがよいので、私は抱えたくなりますが。
絶芸(最強のAI)に聞いてみましょう
絶芸の参考図
絶芸の黒23の参考図
絶芸の黒23の参考図
絶芸は黒1とシチョウにかかえました。
白2のシチョウアタリに黒3!
このように大きく取ろうとするのは良くないと影山先生に教わったのですが、これがAI流のようです。
本手の白50
白42で評価値が黒の方にに傾きました。絶芸はその上のカケツギを示していましたが、その差が私には分かりませんでした。
白50は、いわゆる「本手」ですね。
これは見習うべき一手です。
白50までの絶芸の評価値は、黒の62%であります。
三々入りの攻防
黒59と封鎖して、黒61の三々は厳しいですね。
私が白であれば、オロオロとすることでしょう。
勝負所
黒105が評価値を18.4%落とし、白70.4%となりました。
この手で絶芸の図を確認してみたのですが、何をやっているのかさっぱりわかりませんでした。
最終第5局へ
白114トリで、左辺の白一団を救出できたのは、とても大きかったようです。
黒115と中を囲いましたが、黒115までの評価値は、白91.4%となっております。
黒103、白104のキリチガエからの攻防が明暗を分けたようです。
優位になってからの井山さんは、その後も手綱を緩めることはありませんでした。
この碁は184手まで打たれ、白番の井山さんの中押し勝ちとなっております。
これで対戦成績は2勝2敗の五分となりました。
決勝の第5局は、4月30日に日本棋院東京本院にて行われます。
楽しみですね。
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コメントありがとうございます。
大切に読ませていただきます。