第79期本因坊戦、第3局
一力 遼(本因坊)に余 正麒(八段)が挑戦する第79期本因坊戦五番勝負の第2局が5月30日に三重県鳥羽市「戸田家」で行われました。
さて、2024年4月末現在の七大タイトルの保持者は次の3名であります。
一力 遼 (棋聖、天元、本因坊)
芝野 虎丸(名人)
井山 裕太(王座、碁聖、十段)
現在の日本囲碁界の三強であります。
今期から七大タイトルのひとつである本因坊戦は、序列5位、五番勝負の1日制へと縮小されております。
歴史ある本因坊戦の縮小に対しては、心を痛めているファンが多数いるかと思います。
昨年、本因坊戦11連覇中であった井山さんから本因坊のタイトルを奪取した一力遼(本因坊)に挑戦するのは、余正麒(八段)です。
余正麒(八段)は、挑戦者決定戦の準決勝戦において、井山裕太(王座)を、決勝戦において、芝野虎丸(名人)をそれぞれ破っての堂々の挑戦です。
五番勝負ですから、余正麒さんが、カド番に追い込まれた第3局であります。
一力 遼さんのご紹介
一力遼さんは1997年生まれの26才。
一力遼、芝野虎丸、許家元のお三方は「令和三羽烏」と呼ばれておりますが、現在では一力さんが1歩リードといったところでしょうか。
棋聖、天元、本因坊、碁聖、阿含桐山杯、竜星戦、NHK杯など、数々のタイトルを獲得し、総タイトル獲得数は現在23と日本囲碁史に残る大棋士となりました。
また、新聞社「河北新報社」の創業家が一力家であり、一力さんは名門の家だとのことです。
一力遼さんのお父さんが現在の社長で、社主のおじいさんから5才のとき囲碁の手ほどきを受けたとのことです。
余 正麒さんのご紹介
余 正麒(よ せいき)さんは、1995年台湾生まれの28才。
関西棋院所属の棋士です。
主な戦績として「関西棋院第一位決定戦」7連覇(史上初、現在更新中)があげられます。
タイトル戦への挑戦は、王座戦が3回、十段戦が2回、昨年の井山さんとの王座戦五番勝負の激闘は記憶に新しいと思います。
そして今回の本因坊戦は初挑戦となります。
そろそろ、初タイトルがあってもおかしくない、りっぱな戦績です。
囲碁を始めたきっかけは、お父さんがやっているのを見て自然に覚えたとのことです。
アンケート総得票は9票
先に実施した投票アンケート(応援するのはどっち?)の結果をお知らせいたします。
得票総数:9票
一力 遼さんを応援:5票(55.6%)
余 正麒さんを応援:1票(11.1%)
どちらもがんばれ!:3票(33.3%)
目標の10票にあと一歩でした。
ご投票をしていただいた皆さま、ありがとうございました。
一力遼さん
伊勢茶プリンとレモンティー
余正麒さん
フルーツ盛り合わせとレモンティー
レモンティーが被りました。
一力遼さん
海の幸が豊富な「海鮮カニクリームパスタ」「スープ」「サラダ」
余正麒さん
海の幸が豊富な「海鮮カニクリームパスタ」「スープ」「サラダ」
おもいっきり被りました。
今期から歴史ある本因坊戦が1日制になってしまいました。
序列も5位まで落ちてしまいました。寂しいです。
一力遼さん
フルーツ盛り合わせとアイスコーヒー
余正麒さん
フルーツ盛り合わせとアイスコーヒー
またまた、被りました。
黒:余正麒、白:一力遼
主 催 :毎日新聞社
優勝賞金:850万円
持ち時間:各3時間
3時間は、世界戦の標準の持ち時間であります。
第79期本因坊戦五番勝負第3局(2024年5月30日)
三重県鳥羽市「戸田家」にて
黒:余 正麒、白:一力 遼
結果からお伝え申し上げます。
白番の一力さんが258手で中押し勝ちとなっております。
一力さんは3連勝で本因坊連破!
そして、棋聖、天元、本因坊の三冠を堅持致しました。
一力さん、おめでとうございます。
余正麒さん、おつかれさまでした。
それでは、第3局をご紹介いたします。
素人がマネしたい布石
白4まで星と小目の同形。
黒5の三々入りからの白10は、中国流のようで面白いなと思いました。
アマチュアがマネしやすい布石かと思います。
これが現代流の布石
ちなみに、絶芸(最強のAI)は白10では、左下隅の一間ジマリを示しました。
黒11の高いワリウチには、白12右下隅へカカリ、右上隅への三々入りとまさに現代流の打ち方でした。
どうも私は白10の一間ジマリがなかなか打ません。いつも小ゲイマジマリばかりです。
手抜いてのツケにびっくり
右上隅白12の三々入りから黒21まではアマチュアには分かりやすく、また最近、この形をよく見るように思えます。
白22のカケに手抜いて黒23ツケ!
白22のカケに、手抜く発想が私には全くありませんでした。
中国流の形に黒23とツケるのは、AI登場後の手です。
白の捨て石構想
左下隅は絶芸も同じ図を示していました。私は初めて見た形なのですが定石なのですかね?
黒49に対して、さっと白2目を捨てる発想は、ぜひとも身につけたい打ち方です。
白3子を捨て白60を効かし、白62とケイマまでは、白がノビノビとしてるように見えます。
逆襲の黒91
黒63カタツキから黒65が面白い手でした。絶芸(最強のAI)はその一つ上を示していましたので、方向的にはこう打つものなのですね。
白は右辺を根こそぎ荒らしましたが、黒91と迫られると白の大石がとたんにさみしくなりました。
黒91までの絶芸(最強のAI)の評価値は、白54.2%なのでほぼ互角の形勢であります。
白生きが確定
白108でこの白一団は生きが確定したようです。
白108までの絶芸の評価値は、白の79.5%となっております。
黒95のハサミツケが黒の評価値を落としました。
絶芸の参考図
黒95の絶芸の参考図
黒95の絶芸の参考図
絶芸は実戦の黒95で、参考図の黒1を示しました。
以下、白10まで。絶芸の評価値は、黒55.3%でした。
ここからが難しいですね。
コウ争いの結末
実戦図:白200まで
実戦図:白200まで
難しい戦いが続き、コウ争いが始まりました。
そのコウ争いもが終わり、黒199で真ん中の白の大石をぶち抜きました。
白200で黒5子を取りました。
この結果、白の勝勢となりました。
この碁は、258手まで打たれ白番の一力さんの中押し勝ちとなっております。
シリーズを通じて、一力さんの強さが際立ちました。
本因坊連破と三冠を堅持した一力さんを止めることができるのは、現状、井山さんか芝野さんしか見当たらないように思えます。
それくらい、現在の3強と4位以下には差があるように思います。
次のタイトル戦は、碁聖戦です。
井山碁聖に芝野名人が挑戦します。
三強のつぶし合いが激化しております。
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大切に読ませていただきます。