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管理人の柿門です。(。・(エ)・。)ノ
今回は、「第50期天元戦五番勝負第1局(2024年10月7日)」をご紹介いたします。
50th Tengen Match 5th Match 1st Game (October 7, 2024)
第50期天元戦第1局
一力 遼(天元)に芝野 虎丸(名人)が挑戦する、第50期天元戦五番勝負の第1局が10月7日に愛知県名古屋市「文化のみち橦木館」で行われました。
一力 遼(天元)は、二連覇を目指します。
対する挑戦者は、芝野虎丸(名人)です。
両者は現在、名人戦を争っております。名人戦七番勝負の第3局までの戦績は、芝野名人1勝、一力天元2勝となっております。
また、先の第31期 阿含・桐山杯 全日本早碁オープン戦の決勝戦でも両者はぶつかり、一力さんが半目残して、優勝しております。
七大タイトルの保持者
天元戦は、囲碁の七大タイトルのひとつであります。七大タイトル以外のNHK杯や新人王戦なども「タイトル」でありますので、タイトル数には含まれることになります。
七大タイトルの序列は次のとおりです。
1位:棋聖(4300万円、二日制、七番勝負、持ち時間各8時間)
2位:名人(3000万円、二日制、七番勝負、持ち時間各8時間)
3位:王座(1400万円、五番勝負、持ち時間各3時間)
4位:天元(1300万円、五番勝負、持ち時間各3時間)
5位:本因坊(850万円、五番勝負、持ち時間各3時間)
6位:碁聖(800万円、五番勝負、持ち時間各4時間)
7位:十段(700万円、五番勝負、持ち時間各3時間)
2024年9月末現在の七大タイトルの保持者は次の3名であります。
一力 遼 (棋聖、天元、本因坊)
芝野 虎丸(名人)
井山 裕太(王座、碁聖、十段)
現在の三強であります。
現在、闘争中タイトル戦は、次のとおりです。
天元戦(一力vs芝野)
名人戦(芝野vs一力)
王座戦(井山vs芝野)
三強の争いはますます激化しております。
一力 遼さんのご紹介
一力遼さんは1997年生まれの27才。
一力遼、芝野虎丸、許家元のお三方は「令和三羽烏」と呼ばれておりますが、現在では一力さんが1歩リードといったところでしょうか。
棋聖、本因坊、天元、碁聖、阿含桐山杯、竜星戦、NHK杯など、数々のタイトルを獲得し、総タイトル獲得数は、現在26と日本囲碁史に残る大棋士となりました。
そして先日の第10回応氏杯世界選手権での優勝は日本の囲碁ファンに感動をもたらしました。
また、新聞社「河北新報社」の創業家が一力家であり、一力さんは名門の家だとのことです。
一力遼さんのお父さんが現在の社長で、社主のおじいさんから5才のとき囲碁の手ほどきを受けたとのことです。
芝野 虎丸さんのご紹介
芝野虎丸さんは1999年生まれの24才。
芝野さんは、入段から史上最短での全棋士参加棋戦優勝、史上最年少での七大タイトル獲得、名人戦リーグ入り、本因坊戦リーグ入りするなど、たくさんの最年少記録を打ち立て、デビュー当時から注目の逸材でありました。
なかでも、2019年に史上最年少(19才11か月)で名人を獲得後、すぐに井山さんから王座のタイトルまで奪い、20才で二冠を達成したときには碁界に衝撃が走りました。
名人、王座、十段など、数々のタイトルを獲得し、総タイトル獲得数は、現在12と三強の一角として、活躍されております。
虎丸さんは、「ヒカルの碁」のファンだったご両親の影響で、5才くらいのころから囲碁を始めたとありました。また、一力遼さんや藤沢里菜さんといっしょの「洪道場」の出身であります。
虎丸さんはデビューがとても華々しかったのに比べ、最近は少し伸び悩んでおられるような印象を私は受けます。世界をも狙える逸材と信じておりますので、もう一段の高みを目指してがんばっていただきたく思っております。
アンケート総得票は8票
先に実施した投票アンケート(応援するのはどっち?)の結果をお知らせいたします。
得票総数:8票
一力 遼さんを応援:2票(25.5%)
芝野虎丸さんを応援:2票(25.5%)
どちらもがんばれ!:4票(50.0%)
目標の10票が遠いです。もっとがんばらないと票は伸びませんね。
ご投票をしていただいた皆さま、ありがとうございました。
芝野さんは、天元戦、名人戦、王座戦とタイトル戦が続きます。体調管理も大切になりますね。
黒:芝野虎丸、白:一力遼
主催:新聞三社連合、日本棋院、関西棋院
優勝賞金:1,200万円
持ち時間:各3時間
第50期天元戦五番勝負第1局(2024年10月7日)
愛知県名古屋市「文化のみち橦木館」にて
黒:芝野虎丸、白:一力遼
星には三々入り
実戦図:白10まで
棋譜再生
黒1、白2と星に打ち合い、いきなり黒3と三々入りしました。
白8、黒9と空き隅を占め合い、白10と三々入りです。
今では見慣れましたが、最初は違和感以外の何ものでもありませんでした。
ツケノビ定石の評価
実戦図:白20まで
棋譜再生
実戦図:白20まで
黒17、白18と自身を守る大場に打ち合いました。
黒17で絶芸(最強のAI)は、下辺(J3)を示し、白18で右辺(Q12)を示していました。
黒19の小ゲイマかかりに、絶芸も白20のツケを示していました。
誰もが最初に教わる基本定石の「ツケノビ定石」ですが、現代では評価が変わったようです。
黒21以下の絶芸の参考図を次図で示してみます。
初めて見た変化図
黒21の絶芸の参考図(黒1~白10まで)
黒21の絶芸の参考図(黒1~白10まで)
白20のツケに絶芸はハネるのではなく、黒1とここでも三々入りを示しました。
以下、白10まで。
私はこの変化は、初めて見ました。黒5ナラビが勉強になる打ち方です。
黒の大模様作戦
実戦は、黒21、23と従来のツケノビ定石でした。
黒23には、白24と三々を守るのがこの定石のポイントです。
黒27から局面が動きました。
黒は中央に厚みを作り、左辺はうまく連絡いたしましたが、この折衝は白がポイントをあげたようです。
黒57と五線のカタツキで黒は、右辺から中央にかけての大模様作戦にでました。
ちなみに、黒57で絶芸は、同じ五線のカタツキでも逆側のJ5のカタツキを示していました。
AIは「見た目」が分からないのかもしれませんね。
ただ事では済まない戦いへ
白66に黒67と真正面から進出を止め、大模様が地模様になってきました。
ここで、白68とドカンと打ち込みました。
当然の黒69ツメに対して、白70を効かしてから白72です。
これは、もう、ただ事ではすまない戦いになりそうです。
観戦する分には、見ごたえ十分ですね。
白72までの絶芸の評価値は、白74%となっております。
大石の攻め合いは白の一手勝ち
この局面を見て、どうなっているのか分かるかたはプロ棋士なみの実力と言ってもよいでしょう。
私には何が何やらわかりません。
右下から真ん中にかけての白の大石と真ん中から上辺にかけての黒の大石の攻め合いです。
黒161ツギは手数を伸ばす好手です。
黒165キリは手数を伸ばす好手です。
白168はキリは、攻め合い白一手勝ちを読み切った、絶対のコウ材作りの妙手です。
この辺りでは、両者1分の秒読みだったと思われます。
トッププロの凄みを見せつけられました。
じつは、中継のAIは、この攻め合いを読めていなかったようでした。
実戦も黒の大石は、攻め合い負けで打ち抜かれることになります。
普通、このような派手な攻め合いは勝った方がそこで、中押し勝ちになるものですが。なんと、この碁は255手まで打たれ、白番の一力さんの半目勝ちとなっております。
AIを超えた両者の死闘は、名局として語り継がれることでしょう。
注目の第2局は、2024年10月18日に北海道札幌市「京王プラザホテル札幌」で行われます。
楽しみですね。
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大切に読ませていただきます。