瀬越憲作先生のコメント
「秀策先生は、強力と読みの深さを奥深く蔵して、碁の複雑性を簡明にしている」
石田芳夫先生のコメント
「秀策先生の布石の骨子は、局面を簡明化し、先着の効を確実に維持させるところにある。これで勝てると見れば無理をせず、一番わかりやすい手を打つ」
李昌鎬（韓国の大棋士）のコメント
「私は一生かけても秀策先生には及ばないだろう」
瀬越憲作先生、石田芳夫先生のコメントにあるように
「碁の複雑性を簡明にしている」
「勝てると見れば無理をせず、一番わかりやすい手を打つ」
これが本因坊秀策の碁ではないかと思われます。
そうであれば、我々アマチュアとって最高のお手本となるのではないでしょうか。
本因坊秀策は「ヒカルの碁」の影響もあり、日本で特に有名な棋士のひとりとなりました。
これより、しばらく、本因坊秀策の碁を並べてみたいと思います。
黒：村瀬秀甫、白：本因坊秀策
黒：村瀬秀甫、白：本因坊秀策
文久元年九月二十九日、於三客庵、秀甫が定先の黒番です。
文久元年二月十九日を西暦にすると、1861年3月29日だとのことです。
ウィキペディアによると秀策のお誕生日は、文政12年5月5日（1829年6月6日）とありますので、現在の数え方だと32才となります。
秀甫は秀策の9才年少の弟弟子であります。
この頃、秀策と秀甫は、「坊門の竜虎」、「碁界の圭玉（けいぎょく）」と称されていたとのことです。
秀甫が六段昇段の機会に弟弟子を鍛える意味での本因坊秀策との十番碁が実現いたしました。
この十番碁の戦績は、秀甫（定先）の６勝３敗１持碁となっております。
今回ご紹介するのは、秀策、秀甫の十番碁の第６局です。
この第６局も秀策の白の名局とされております。
ご覧ください。
黒15カカリは旧定石
実戦図：黒19まで
棋譜再生
実戦図：黒19まで
白12は、隅の白石を動き出すための手だと思いますが、強い黒に近づいている感があります。
黒15の高いカカリは、現代の定石書にも載っていますが、素人目にも地に甘い感じがいたします。
白の動き出し
白は、狙い通り早速、白20から動き始めました。
黒29の下ハネより、上ハネの方が良かったように思えます。
白は隅を生きましたが、黒33と制しては、黒の外勢に軍配が上がるように思えます。
互角の形勢
白36は、ツケコシに備えた大切な一手です。
白38は厳しいキリでした。
白41に対して、黒43は疑問です。形悪くとも54と助けるところだと思います。
白55と種石を取って、白に不満があるはずがありません。
白56は大きな一手です。
黒57のサガリも大きな一手です。
白は58と押さえるしかありません。
白56や黒57は、地味に見えるかもしれませんが、大きな価値ある一手として、記憶したいものです。
しかし、形勢はバランスよく、ほとんど互角です。
黒59はやや緩
秀策は、白60と厳しく打ち込みます。
黒61は好手です。しかし、黒63は普通に64で良かったように思えます、
秀甫は白60の石を断固、攻撃するつもりです。
退忍してＡに打つべし
秀甫の攻めを秀策は巧妙にかわし、白81まで連絡を果たしました。
黒95と一手かけたところへ、白96のご機嫌伺いが飛んできました。
この碁は、261手まで打たれ、白番の本因坊秀策の３目勝ちとなっております。
第６局を終わって、対戦成績は本因坊秀策の２勝３敗１持碁となりました。
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