丈和、米蔵十番碁その7(持碁)

2024/05/29

06.名局鑑賞

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こんにちは。こんばんは。

ご訪問いただきありがとうございます。

管理人の柿門です。(。・(エ)・。)ノ

今回は、「丈和、米蔵十番碁その7(持碁)」をご紹介いたします。


四宮米蔵の評価

藤沢秀行先生が、並べることを勧めた棋譜は、本因坊丈和と真剣師の四宮米蔵との十番碁でした。

藤沢秀行先生は、この十番碁には名局が何局もあるとし、米蔵を現代の九段に劣らない実力と評価しております。

本因坊丈和は、自選打碁集である「国技観光」に、米蔵との対局棋譜11局の全てを載せています。このことは、丈和もまた米蔵の碁を認めていると言えるでしょう。

高木祥一先生は、「力のない専門家との打碁よりも、魂をこめて打った素人との二子局を重視した丈和の気持ち、理解できるような気がする。」と述べられています。


日本の国技である囲碁

本因坊丈和の自選打碁集である「国技観光」の国技とは、「囲碁」のことです。

とても大切なところなので、もう一度言います。

国技とは「囲碁」のことです。

1626年に御城碁がはじまり、それ以来、囲碁は、日本の国技として発展していきました。

200年前の日本人は、丈和のように囲碁は、国技との認識でありました。

そう、囲碁は国技だったのですよ。

みなさん、知っていらっしゃいましたか?

日本棋院は、2020年になって慌てて、次のように定款変更を行っております。

棋院の目的を記す、定款第3条

「我が国の伝統文化である棋道」を

「我が国の国技であり伝統文化である棋道」

に改めました。


観光とは旅行するということではなく、「光を観る」です。

「国技観光」とは、「自分の碁に囲碁の光を観る!」ですか。

自分の打碁集に自信たっぷりな、すてきなタイトルですね。


丈和34才、米蔵52才。

丈和は、当時六段でありましたが、後年「米蔵と対局した文政時代の頃が自分の全盛期だった。」と振り返っています。

それに比べると米蔵は全盛期を過ぎていたのかもしれません。

この十番碁は、米蔵の体力を考慮してか、すべて一日で打ちきったとありました。


十番碁、3勝3敗で迎えたの第7局。両者にとって、とても大切な局となりました。

全盛期の丈和に対して、真剣師といえど素人の米蔵が五分の成績は立派だと思います。

二子:四宮米蔵、本因坊丈和、十番碁第7局、1821年(文政四年)1月25日


二子:四宮米蔵、本因坊丈和

実戦譜1:白19まで

棋譜解説図(数字、記号入り)
棋譜再生

実戦譜1:白19まで

左上隅は定石の途中ですが、手抜いて黒10を利かして、黒14から米蔵の攻めです。

そして両者はいつものように、白17、黒18、白19とキリチガエノビます。

この二人の対局はとても波長が合っているようで、観戦していて面白いです。


米蔵の34、丈和の37

実戦譜2:白37まで

棋譜解説図(数字、記号入り)
棋譜再生

実戦譜2:白37まで

黒34のカタツキに白35を誘い手順で黒35のマガリ。

まるでプロ棋士のような絶妙な黒の手順です。

対して、白37と柔らかく受けるのが丈和流です。

黒35、白37ともAIの一手(無料のAIソフト)とぴたり一致しておりました。


米蔵、主導権を取る

実戦譜3:黒56まで

棋譜解説図(数字、記号入り)
棋譜再生

実戦譜3:黒56まで

白53のツギが評価値を大きく下げました。

黒56となっては黒が打ちやすい局面となったようです。


克ち難き碁

実戦譜4:白111まで


実戦譜4:白111まで

右上隅での戦いは黒110で決着が着きました。

白21子(総数)が取られてしまいました。

白111までのAIの一手(無料のAIソフト)の評価値は、黒が約34目リードとなっております。

黒勝勢といってよいでしょう。

「勝ち碁を勝ちきる難しさ」

人間とAIの大きな差がここにあります。

人は勝ちを意識すると早く勝ちを確定させようと考えます。

そのとたん、手が縮み守りに入ります。手が伸びなくなってしまいます。

これは囲碁に限りません、将棋でも、スポーツでも、ギャンブルでも同じです。


福井正明先生の参考図

福井正明先生の参考図

棋譜解説図(数字、記号入り)

福井正明先生の参考図

「黒1から黒5であれば、黒の圧勝だったでしょう」

と福井正明先生のコメントがあります。


主客たちまち転倒

実戦譜5:白125まで


実戦譜5:白125まで

米蔵は守りに入るどころか、黒112、114と右下の白を攻めにいっています。

恐れ入りました。

しかし、丈和は逆にその黒一団を外から攻撃します。

白125となっては、黒が優勢とはいっても、このような乱戦になれば、棋力(ヨミ)の差がものをいいます。


追い上げる丈和

実戦譜6:黒170まで


実戦譜6:黒170まで

「激闘」という言葉がぴったりだと思われませんか?

黒は脱出することに成功しました。

白も中で眼を持つことができました。

黒170でひと息つきました。

AIの一手(無料のAIソフト)の評価値は、黒が約15目のリードでありました。

「吾一生中、文政の間、米蔵と対局せし時代は、全くの打ち盛りにして、其勝つべきは云わずもあれ、克ち難き碁にも、往々勝ちを得しことあり」

と丈和は後年、このように語っていますが、「克ち難き碁」には、この第7局も含まれていると思われます。


二子局の名局

実戦譜7:黒246まで


実戦譜7:黒246まで

黒246が敗着でしょうか?

246では、黒Aの方が勝ったような気がします。

この碁は305手まで打たれ、持碁(ジゴ:引き分け)となっております。

二子局の白の名局だと思います。

この十番碁の大勢を決めた一局ともいえます。

十番碁第7局を終わって、3勝3敗1持碁となりました。

四宮米蔵:談
「丈和は実に名人の器なり乎。予かって二子置くときは天下に敵なしと信ぜしに、その七番目の碁、百十の手で二十一石を打ち抜き、すでに勝ちを占めたりと思いきや、丈和が百二十五手を下すに及びて、主客たちまち転倒し、遂に持碁に帰せり」


  • 総譜は、こちらより、つぶや棋譜2 Viewerで、ご確認ください。
  • 手順は、図の左下にある青文字の「棋譜再生」でご覧いただけます。
  • つぶや棋譜2 Viewer左上にある「自動再生」にチェックで再生致します。
  • つぶや棋譜2 Viewer碁盤の下にある「NUM」で手順が表示されます。

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