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管理人の柿門です。(。・(エ)・。)ノ
今回は、「第80期本因坊戦予選A(2024年11月7日)」をご紹介いたします。
80th Honinbo Match Preliminary A (November 7, 2024)
本因坊戦予選について
第79期本因坊戦は、一力遼本因坊が、余正麒八段に三連勝し、二連覇を達成いたしました。
一力本因坊への挑戦を目指して、第80期本因坊戦の予選が始まっております。
その予選は、予選C、B、A、最終予選、本戦トーナメントとあります。
予選Cは、東京24枠、関西中部7枠でそれぞれ、約6名によるトーナメント戦。
勝ち上がり者が予選Bに進めます。
予選Bはシード選手を加え、各枠4名によるトーナメント戦。
予選Cから続く各枠のトーナメント戦の勝利者が予選Aに進めます。
予選Aのトーナメント戦を勝ち抜くと、最終予選に進めます。
前回の79期の最終予選は、12枠で行われ、それぞれの勝者12名が本戦トーナメントに進出できました。予選勝ち上がり12名に加え、シード選手4名(井山裕太、芝野虎丸、余正麒、許家元)を加えた16名による挑戦者決定戦トーナメント戦が行われ、余正麒八段が挑戦者となりました。
とにかく、挑戦者になるまでの道のりは実に険しいのであります。
前回(79期)の特筆すべきことは、この挑戦者決定戦本戦トーナメントに上野愛咲美さんが出場されたことです。
本因坊戦予選Aの現状
現在、予選A(東京8枠、関西・中部3枠)の決勝戦が行われております。
東京1枠:中小野田 智己(九段)
東京2枠:安斎 伸彰(八段)
東京3枠:孫 喆(七段)
東京4枠:広瀬 優一(七段)
東京5枠:山下 敬吾(九段)vs福岡 航太朗(五段)
東京6枠:林 漢傑(八段)vs藤沢 里菜(七段)
東京7枠:河野 臨(九段)
東京8枠:高尾 紳路(九段)
関西中部1枠:大竹 優(七段)vs三戸 秀平(三段)
関西中部2枠:伊田 篤史(九段)
関西中部3枠:中根 直行(九段)vs卞 聞愷(四段)
私的に注目は関東5枠、6枠です。
山下 敬吾(九段)vs福岡 航太朗(五段)は、実力者同士の好カード。
そして、林 漢傑(八段)vs藤沢 里菜(七段)戦は、視聴率をも取れる屈指の好カードです。
YouTubeで活躍されている、中根 直行先生が奮闘しています。応援したいですね。
今回は、東京4枠、7枠の決勝戦の模様をご紹介いたします。
黒:内田修平、白:広瀬優一
黒:内田修平(八段)、白:広瀬優一(七段)
広瀬優一さんは現在23歳で関航太郎さん上野愛咲美さんと同じ高校の同級生であります。
第43期新人王、第18回広島アルミ杯・若鯉戦のタイトルを獲得しており、昨年は新人賞と勝率第一位賞(39勝12敗)を受賞しております。将来を期待されている若手棋士のひとりであります。
内田修平さんは現在35歳。第33期新人王、第4回と6回広島アルミ杯・若鯉戦を優勝しております。2005年15才で入段、2008年新人王とその将来を期待されておりました。
黒は小目、白は星と小目の布石で始まりました。
二間ジマリをバックに黒7の三間バサミです。
このハサミが再評価されるようになって、私としてはほっとしています。
黒の三間バサミに対して、白8と大斜にかけました。
私は一時期「大斜定石」にハマったことがありますので、プロの対局で大斜定石が始まると興味津々になります。
大斜定石の新手
大斜定石(たいしゃじょうせき)は、江戸時代から無数の専門家によって研究されてきた定石です。
まさか、ここで、新手を見られるとは!
この白18は、広瀬さんの新手でしょうか?
それとも、他で打たれているのでしょうか??
とにかく、コロンブスの卵のような新手です。
有効な新手
白18では19とツグ一手だと思っていました。
何ごとにおいても固定観念はいけませんね。
黒23のカケに対して、白24の押さえが好手です。
実戦は白26と構えましたが、すぐに下ハネ(Q2)でもよいと思います。
黒はとても醜い団子石となってしまいます。
黒25が堅すぎのような気もします。
三間バサミに対して、大斜定石はとても有効のような気がしました。
私は、こういう手を知るとすぐに実戦で試したくなるんですよねー。
序盤は白リード
実戦図:黒51まで
棋譜再生
実戦図:黒51まで
黒51まで、黒石が右辺に偏りすぎのように私には見えます。
序盤から白がリードされることはなく、白の完勝のように見えました。
この碁は142手まで打たれ、白番の広瀬優一さんの中押し勝ちとなっております。
黒:河野臨、白、謝依旻
黒:河野臨(九段)、白、謝依旻(七段)
河野臨さんは現在43歳。天元位三連覇などタイトル獲得数は9。
2019年に本因坊戦、2020年、21年に棋聖戦の挑戦者となり七番勝負を戦っており、現在でもトップ棋士の一人であります。
謝依旻さんは現在34歳。「名誉女流本因坊」「名誉女流名人」「名誉女流棋聖」の称号を獲得されております。また、史上初の女流五冠独占、女流グランドスラム達成などを誇り、女流タイトル獲得数27は歴代1位と女流最強棋士であることは間違いありません。
ずいぶんと前のことですが、晴れ着姿の謝依旻さんと小学生名人との対局が放映されていました。対局時の真剣な眼差しが印象的で、私はいっぺんにファンになってしまいました。その対局は持碁(ジゴ)となりましたが、これは謝依旻さんが持碁に持ちこんだものだと私は信じております。
まだまだ若いです。もっともっと謝依旻さんの活躍を見てみたいものです。
黒は、臨戦中国流(スモール中国流)、白は二連星の布石で始まりました。
この臨戦中国流は、河野臨さんが全盛期に多用されていたことから臨さんの名前が付けられました。
小目周辺の攻防に強いという利点があり、AI登場によって再び脚光を浴びることになった布石であります。
本家の臨戦中国流でありますから、序盤から楽しみです。
鋭い反撃はこの一手
白16までの白の動きはちょっと重たく感じられました。
黒17のカカリに対しての白18の反撃は鋭い一手で、絶芸(最強AI)も白18を示していました。
黒21が要所のようです。白20では、いったん21として黒に受けさせてから白20とトブ手を絶芸は示していました。
謝依旻さんは白22と堂々と向かっていきました。
本家の臨戦中国流の使い方を次図で見てみましょう。
本家の臨戦中国流の使い方
白22一間高ガカリに黒23の一間トビに対しては、白24のノゾキから白26が現代の定石です。
黒23の一間トビに対しての白22に下ツケは黒にハネ出されて、現代では不利とされているようです。
白28に黒が隅を受けて、白26とカケツぐのが定石だと記憶していたのですが、黒29のノゾキが一本取ったようです。
白28では、足早に32とトビ出す手を絶芸は示していました。
先手を取って、黒39、41に回り、黒に不満はありません。
謝依旻さん優勢に
黒優勢が続いていましたが、黒93、95が評価値を下げました。
白98と止めた局面までの絶芸の評価値は、白71.3%となっております。
形勢不明の半目勝負
前図から、謝依旻さんが優勢に打ち進めています。
熱戦譜です。
黒143までの絶芸の評価値は、白73.8%
白144までの絶芸の評価値は、白53.2%
黒157までの絶芸の評価値は、黒52.2%
形勢不明の半目勝負となりました。
この碁は、269手まで打たれ、黒番の河野臨さんの4目半勝ちとなっております。
好局でした。
謝依旻さんにとっては、中盤過ぎまで優勢であったので惜しい一局となりました。
これで、女流棋士は藤沢里菜さんおひとりとなってしまいました。
東京6枠の決勝戦(林漢傑vs藤沢里菜)がいつあるのか不明ですが、自分としては、藤沢里菜さんに勝ち抜けしてもらいたいものです。
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